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「何が書いてある本なんだろ?」は、おもしろいののろし


読書する人には、わかるのだろうか?

今朝のうちの人の発言。数日前に図書館から借りてきて、もう半分読み終えた本を見ながら言った。
「やっぱこれ、おもしろいなぁ。──何が書いてある本なんだろ?」

これ、どういうことですか?

「え? おもしろいんでしょ? 何が書いてあるかわからないの?」

彼は、本の裏表紙に貼り付けてある帯や作者の経歴、過去作などを楽しそうに見ていた。

──どういうこと?

わたしは読書ができない。自己分析すると「読むスピードがゆっくり」「ぶっ通して読みたい」この辺りが、うまく読書と付き合えない理由と思っている。

一方彼は、サクサク読む。ジャンルは小説。図書館で大量に借りてくる。好きな作家のものも借りるし、目についたものを適当に借りてくる。とりあえず読んでみる。どうしても読めなかったら、読まない。ぶっ通さずに、ぶつ切りの隙間時間に読める。寝る前に本を開くのが習慣。同時に数冊読むこともある。

この属性の並びを見れば、いかにも読書好きっぽい。
読書に憧れるわたしが見れば、なんか、かっこいい。

そして、謎もある。

彼は読書の記憶をもたない。「あれ? これ、読んだことあるかも……」と言いながら、読んでいる。それも、すでに半分を読み終えた頃。記憶がないから、再び楽しめるらしい。先の展開は覚えていないのだけど、読みながら「知ってる……知ってる……」と感じるのだそうだ。

──あれ、かっこいい読書は?

なんなら、わたしの方が「その本、前借りてたよ」という記憶がある。題名や作者の名前、装丁などに覚えがあるのだ。一文も読んでいない。というか、開いてもいないのだけど。



今読んでいる本、「おもしろいなぁ」と言いながら「何が書いてあるんだろ?」とぶつぶつ言ってるやつ、「おもしろいのに、何が書いてあるかわからないの?」と彼に聞いてみた。

「うーん。なんかね。情景がはっきり見えるんだよね。他のはぼんやりしてるんだけど、この人のは書いてある情景が、次から次へとはっきりくっきりわかる」

のだそうだ。へぇ、普段はぼんやりした情景で読んでいるのか。

「でも、書いてある情景がはっきり見えるのに『なんの話だろ?』ってどういうこと? それ、もう半分以上読んでるじゃん。なんの話かわかんないの?」

「うん……。あ、ほら! ミステリーって書いてある! ミステリーなんだから何が書いてあるか、わかんないんだよ」

──へ? ちょっとわかんない。謎が謎を呼んじゃってる。

彼の言葉の選択ミスだろうか? わかんないわけ、ないよね? おもしろいんだもんね。ちなみに、彼はおしゃべり。よく話す。話ながら考えをまとめるので、わたしの返しは必要ないタイプのおしゃべりだ。わたしは、あまり話さない。会話もうまくないし、自分の思っていることをくちにするのも得意じゃない。

本をよく読み、よく話す彼なのだが、文が書けない。思いや考えを伝える文章も、事実をまとめる文章も、彼が書いたものは何が言いたいのか、よくわからない出来になる。

──日々、あれだけの言葉を吸い込み、吐き出してるのに。……はて、言葉のミステリー。





#ミステリーなヤツ




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くろいるすけ ◇お読みいただきありがとうございます◇心の糧です◇記事の購入に使わせていただきます◇部屋を彩る花になるかもしれません◇犬のおいしいごはんやおもちゃになるかもしれません◇いただいたお気持ちを大切にいたします◇