病院とAIとわたし|未受診顛末
AIに勧められて、電話をした。
電話口で伝えるべきこともAIがまとめてくれたから、思いきってそれをやってみた。
なににもならなかった。
普段のわたしは医者にはかからないし、
電話をかけない。
わたしという人間の性根は「メンドウクサイ」で
できている。
何かの拍子に体調不良をAIモードで
検索してみる気になった。
すると、受診を強く勧められた。
『明日の朝一番に、こう伝えよ』
と、わたしの電話口の台詞を提示するAI。
『そうすれば病院側も緊急性を察知し、予約がいっぱいであっても〈○日の×時に来てください〉などと案内してくれる可能性が高い』
と言う。
聞いておきながらAIには悪いが、メンドウクサイから放置した。
放っておいていいことではなさそうな気がやっとしてきて、3週間ほど経って受診を決意。・・・・したものの、気が重い。
病院シロウトが突然出かけて、待ち時間やら問診やら検査やらに疲弊してしまうのは目に見えている。AIが言うように、病院の方から『○日の×時に来てください』と言ってもらえるなら、ものすごく助かるのだ。
かかりつけ医などないわたしは、AIが受診候補の一つに上げていた医院へ電話をした。
案の定、やっぱり、どうしたって、わたしの口は電話口でしどろもどろ。
『目も当てられない』。スマホに耳を押し当てながら、そんなことを思っていた。
「初めての受診のことでお伺いしたいのですが」
と伝えると、電話対応の方が
「どのような?」
と言うので、『ここだ!』と思いAI作成の台詞をつらつらと喋りはじめた。すると、途中で遮られてしまった。
「あの、私は事務の者でして、細かな症状などを聞く立場にございません」
(あ、そうなの? なんか話すのを促された気がしましたが・・・・失礼しました。ってか、はずっ!)
と思っていると、その事務員さんは
「そして、受診の予約はWEBで・・・・」
と、テレビコマーシャルでよく聞くような台詞を宣った。
そっか、そっか。
どこも人手不足、電話対応に人を取られるわけにはいかない。
日本のスマホ普及率は世帯の90%を超えているらしいじゃないか。
現に今わたしがかけているのは、自分のスマホだ。
西暦2000年を過ぎて26年。
合理的にまいりましょう。
しかし、わたしはWEBで予約をするつもりはないから、こちらの医院では診てもらわないことが決まった。
お時間とらせてしまい、すみません。
だけど、一言だけ言いたくなってしまいました。
「あの、WEBで予約できなければ、そちらでは受診できないってことですよね?」
WEBで予約できない人は、医療を受ける機会が減るのです。
いや、そんな人はいないのでしょう。
ましてや、なにを偏屈になっているのかよくわからないわたしのような人はいない。
だから、医院さん事務員さんは、今まで通りにするのが当然です。
電話の向こうから
「はい、あの、一応そのようになっておりまして・・・・」
と、少し小さくなったやさしい声がした。
AIは、人間の柔軟性を信じていたようだった。わたしの事情に合わせて医院が対応してくれるかもしれない、そう言っていたのだから。
しかし、実際人間は、システムの中できっちり働いている。
わたしはといえば、そんなAIの提案に疑問をもたなかった。自分に都合の良い、融通の利く対応を期待してしまった。よく考れば、正規に予約した人からきちんと受診されるべきだ。
病院とAIとわたし。
おかしな感覚だが、いちばんがっかりしたのはAIなのではないかという気がしている。
わたしは、ぼちぼち他の医院を探してみるさ。
いいなと思ったら応援しよう!
◇お読みいただきありがとうございます◇心の糧です◇記事の購入に使わせていただきます◇部屋を彩る花になるかもしれません◇犬のおいしいごはんやおもちゃになるかもしれません◇いただいたお気持ちを大切にいたします◇