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fmkxing
待ち合わせは巡る|シロクマ文芸部
この待ち合わせは、いつだって叶わない。わたしが待つ間に訪れることはないの。約束はいつも曖昧だから、できるだけ待とうとは思うのだけれど──。
もう少し待てば「おう!」とはっきりとした、圧力のある声が聞こえるのはわかっているのに、なぜかそわそわしてその場を離れてしまう……。いつも会えない。
──
なんだ、また会えなかったな。いつもの「すれ違い」ってやつだ。まだ、あいつの温かさがある。さっきまでいたんだろうな。俺も、遅れるつもりはないんだ。
でも、あの人には ─── 会えないだろうか。あの透き通った声を聞きたい。それだけで背筋が伸びるんだ。俺は、待っていられるだろうか。
──
ふふっ。あの人はまた、待ち切れなかったのね。むんとする気配を残していくのだから、熱をもって私を待っていたのでしょう。けれど。それよりも、私の会いたいのは……あの、冷たい目をした……彼……。
わかってる。私のところまでは来てくれない。ふと寂しくはなるけれど、自分の肩を抱くのは慣れているから。
──
どういうつもりだかは知らない。あいつはいつも待ち合わせ場所に実りを置いていく。ワタシはそれを眺めるだけ。あいつはこんなワタシでも「待っている」という。
小さなものたちは、動けなくて困ったようにしている。ワタシを待つものは多くないのも、わかる。仕方のないことだ。休息してもらうためにも、ワタシはまたここへ来よう。
……もし叶うなら、あの子のやわらかな声を一度聞いてみたいと思っている。ワタシを溶かしてゆく光も見たい。
でも、待ち合わせは叶わない。ワタシが去らなければ、あの子は来ない。
《お題》
「待ち合わせ」から始まる
小説・詩歌・エッセイなど
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