わたしは、まだ小学生の弘美だ。
弘美になろうと思う。
弘美は、きっちりしている。
だらだらなんてしやしない。
弘美だから。
生まれたときは
弘美って感じでもなかったのだけど、
小学校に上がる前くらいに
漢字で名前を書けるようになって
だいぶ弘美になった。
妹の実咲ができて
「弘美がお手伝いしてくれるから、助かる」
と言われると
腕まくり弘美となって活躍した。
弘美には、体育の意味がわからない。
土に埋め込んだ棒にぶら下がったり
回ったりしたところで、
この先の弘美らしさには
一向に関係ないからだ。
体育は、弘美的人生の外にある。
歯をみがくときは
やたらと弘美が目立つ。
歯医者さんで、衛生士さんが教えてくれたから
そのとおりにしている。
それ以外の歯みがきの方法などありえない。
同じクラスのあの子はよく
「ねぇ、そうでしょ? 弘美・・・・」
というけれど、このときの弘美は
わたしじゃないみたいだ。
知らない弘美だから、気持ちが悪い。
誰でもいい弘美なんて
弘美じゃない。
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