【漫画原作】ハナバト!2話-お花たちのガチナワバリバトル-(創作大賞2023応募作品)
2話『お花たちのガチナワバリバトル』
◯柔道場
柔道部の稽古をする一星。
モノローグ●高橋一星(たかはしいっせい)高校1年生。お花を助けたら、精霊が現れ、結婚を申し込まれる。
一星(女など大嫌いなのに…)
◯隣の道場で女子柔道部の青葉が見える。
激しい練習に道着がはだける。
シャツに透けた大きな胸。
顔を赤める男子部員達。
男子部員「女子が闘ってるのっていいよなあ…可憐な姿とのギャップとか」
一星、ヒナゲシとツユクサの闘いを思い出す。
一星(確かに…)
◯一星、水道のコップに生けてあるツユクサの花と、その近くで座って見学している、人間の姿のヒナゲシとツユクサの精霊に目をやる。
一星(花っておとなしいイメージだったけど、あんなに積極的で欲深いとは…闘いも激しいし…でもなんであんなに強いんだ?)
◯青葉が、ヒナゲシに声を掛ける。
青葉「良かったら体験入部してみない?ヒナちゃん、経験者なんだよね?」
ヒナゲシ「いや、ちょっと興味あるかな~ってだけで…」
青葉「じゃあやってみようよ!」
◯道着に着替えたヒナゲシ。
ツユクサがニヤニヤ見守る中、ルールを教えてもらい、青葉とヒナゲシが練習で組みあいをすることに。
気になり見守る一星と男子部員たち。
◯試合開始
ヒナゲシ、慣れない動きで青葉の襟を掴ませてもらう。
と、
素早い動きで足を大きく上げ、見事な大外刈りで青葉を倒す。
◯畳の上で唖然とする青葉。
ヒナゲシ「青葉、そんなに強くないね」
帰るヒナゲシ、ツユクサ、一星。
ワナワナとライバル心を燃やす青葉。
◯帰り道。
一星「あんまり青葉にちょっかい出すなよ」
ヒナゲシ「一星は、青葉が好きなのか?」
一星「いや…好きというか…友達?みたいなもんかな…?女っぽくないとこがいいというか…」
ヒナゲシ、一星の顔を覗き込む。
ヒナゲシ「一星は女っぽくないのが好きか?」
一星「まあ…そうかも…」
ニコ~っと微笑むヒナゲシ
ヒナゲシ「いいことを聞いた!一星は、女っぽくないのが好き!」
◯一星、否定しようとするが、諦め話題を変える。
一星「お花ってなんであんなに強いの?普段から闘ったりしてるの?」
離れて二人の会話を呆れ顔で聞いていたツユクサが答える。
ツユクサ「野草の花達は日々縄張り争い“ハナバト”をしてるのよ。」
一星「ああ、そうなんだ…(花も大変なんだな)」
◯ヒナゲシの武勇伝を語るツユクサ。
ヒナゲシ(ナガミヒナゲシ)は、外国から来た「外来種」なんだけど、ここ数年で縄張りを急速に拡大している、と。
●読者の皆様へ豆知識…ナガミヒナゲシは危険外来種なので、見かけたら、手がかぶれないように手袋をし、種が落ちないよう注意して袋に入れ、燃えるゴミに出した方がいいそうです。かわいそうだけど…(>_<)

◯路地。ヒナゲシの説明が終わる。
ツユクサ「ヒナゲシの眠りの煙、あれ反則に近いからね~」
◯突然、ヒナゲシの前にトゲトゲの髪の強そうな女が立ちはだかる。
女「ヒナゲシ、勝負!」
ヒナゲシ「アザミ、新しい空き地に種撒こうったってそうはいかないよ」
●お花図鑑
アザミ…トゲの多いお花。

◯向かい合うヒナゲシとアザミを見守る一星。
一星「こうやって縄張りを決めるのか…」
ヒナゲシ「どこの空き地?」
アザミ「すぐ近くさ。人目もつかずちょうどいいからそこに場所を移そう」
ヒナゲシ「一星も一緒に来る?」
一星「あ、ああ…」(強さの秘密が気になる)
ツユクサ「アタシは先に帰ってるよ。縄張りとか興味ないし」
◯路地を歩きながらアザミが一星をジロジロ眺める。
アザミ「その人間は?」
ヒナゲシ「アタシに種をくださる旦那様だよ~」
一星「勝手に決めるな」
アザミ、呆気に取られたあと大笑い。「あははは!ヒナゲシ、あんた人間になるの?あ~~楽しみだねえ」
◯空き地。(取り壊されたビルがあった場所、更地になっている)
アザミがふいに提案する。
アザミ「あたしが勝ったらこの土地と、その男をもらう。人間になるのも面白そうだ」
はあ?
顔をしかめる一星とヒナゲシ。
ヒナゲシ「アザミ、もらうって言ったって、一星の「同意」がないと種はもらえないんだよ!」
アザミ「その気にさせてみせるさ」
むう~と頬を膨らますヒナゲシ。
◯一星が呆気に取られていると、アザミが大きく頭を振り、髪の毛がトゲになってヒナゲシに降りかかる。
ヒナゲシ、無数のトゲ攻撃をなんとか避ける。
◯ヒナゲシ、手を掲げる。オレンジ色の煙が漂う。
アザミ「眠りの煙か…何度もその煙のせいで戦闘不能になって、闘いが強制終了させられたよ…」
◯アザミ、頭からトゲを大量に出し、トゲが渦を巻いて竜巻を作る。
眠りの煙は竜巻に吸い取られ消えていく。
アザミ、ニヤリと笑う。
アザミ「何度も同じ手にはやられないよ」
◯煙を空へ舞い上げた竜巻がヒナゲシに襲いかかる。
ヒナゲシ、防ぎ切れず、傷を負う。
服が破れ、肌があらわになる。
◯一星、顔が赤くなり、動揺。
一星の鼻から鼻血が出る。
◯ヒナゲシ「一星!大丈夫か?怪我したか!?」一星に駆け寄る。
ヒナゲシの破けた服から揺れる胸がこぼれ落ちる。鼻血は悪化。
アザミ「お前のその格好のせいだ」
ヒナゲシ「?」「ああ、オッパイ見えちゃった?でもこれ、アザミのせいだからね!アタシ悪くないもん!」
◯突然、空気が振動する。
ゴゴゴ…と地鳴りのような音も。
黒い雲の間から光が差し、その光から長い金色の髪の女性が現れる。
鎧を身にまとい、大きな槍を持っている。
◯アザミ「セイタカアワダチソウ…!」
セイタカアワダチソウ「さっきからうるさいねえ…ここは私のナワバリだよ。ここに根を張りたいのなら、私を倒してからにしてもらおうか」
◯ヒナゲシ、ころっと態度を変え「帰りまーす」一星を引っ張り逃げ出す。
一星「ちょっ帰るの?」
ヒナゲシ「セイタカアワダチソウはねえ~強いから無理。」
●お花図鑑
セイタカアワダチソウ…非常に繁殖力が強く成長も早い。2~3メートルほどにすぐ育ってしまうワイルドな雑草。(花粉症の原因になるブタクサと間違われることが多いが、別の花。)

◯ヒナゲシに手を引かれる一星、振り返りアザミを確認。
一星「アザミは逃げないみたいだけど?」
ヒナゲシ「アザミは無謀だからねえ~闘うんじゃない?負けるだろうけど」
一星「負けたら…どうなるんだ?」
ヒナゲシ「死ぬよ」一星「!!」
ヒナゲシ「死んでまた新しい精霊が生まれる。そういうものだから」
一星「そんな…」
◯一星、アザミに大声で「アザミ、逃げろ!」と叫ぶ。
◯セイタカアワダチソウが槍を一振りすると、強風が巻き起こりアザミに襲いかかる。
◯一星、アザミに飛びかかり押し倒す形でアザミを守る。
風で飛ばされた木の破片が当たり、頬から血を流す一星。
◯押し倒されたアザミ、そんな一星の姿に顔を真っ赤にして動揺。
一星に「逃げるぞ!」と手を引かれ、動揺するままそれに従う。
◯街中。
セイタカアワダチソウから逃れた3人。
ヒナゲシ「一星、アザミは連れて来なくてよかったのに…」
◯アザミ、落ち着きを取り戻し「借りを作っちまったな…この借りは必ず返す」
そう言い残し去っていく。
◯家への帰り道の一星とヒナゲシ
ヒナゲシ、少し憂いた表情でつぶやく。
ヒナゲシ「一星…アタシが死んだら悲しいか?」
一星「? 何だよ急に… そりゃあ、悲しいよ」
ヒナゲシ「そうか…」
◯ヒナゲシ、空を見ながら告白する。
ヒナゲシ「ちゃんと言ってなかったけど、私たち精霊は、人間に想いを伝えてから、期限以内に種をもらえないと、死んじゃうんだ」
驚く一星
一星「そんな……その、期限てどのくらい?」
ヒナゲシ「2年」
一星「2年て…高校生の間に決めなきゃってことかよ…責任重大すぎるだろ…」
◯頭を抱える一星の顔を、覗き込むヒナゲシ。
ヒナゲシ「でもいいことがわかった!」と一星に微笑む。
ヒナゲシ「一星は、オッパイが好き!」
一星、苦悶の表情。
一星の苦難は続く。
3話に続く
いいなと思ったら応援しよう!
応援してもらえると嬉しいです。