見出し画像

【生き方、暮らし方、働き方 vol.9】やってみたいことをやるー56歳で日本語教師として台湾へー阿部恵子さん

ライフステージの変化と共に

2023年12月9日、飯田市で開催された暮らすroom's wellbeingイベントにてお話してくださった阿部恵子さん。
東京都出身の阿部さんは、信州大学在学中ににオーガニックや自然食と出会い、その後、静岡県出身のご主人とともに30歳で起業。飯田市内にオーガニック食品の店「てくてく」を構えました。



有機栽培の野菜をメインに、徐々に無添加の食品やフェアトレードの雑貨類、衣類、化粧品なども扱うようになり、まだインターネットでの通信販売がほとんど始まっていない1997年に日本で初めて布ナプキンのネット販売をスタート。
女性の体や女性の健康と相性の良いオーガニック製品を、その意識とともに広く発信する先進的な取り組みを続けてきました。
一方で私生活では、2010年ころから同居していたご主人のお母様が認知症になり、6年間介護を続けてきました。仕事を他のスタッフに任せるなどダウンシフトする中で自身もうつに近い精神状態に。
その後、お母様が施設に入り手が離れた段階で、自分のやりたいことを見つめ直し、自身のこれからについて考えるようになったといいます。


日本語の先生になりたい

阿部さんー認知症の母をみていたので脳トレというか…自分で考えること、勉強を続けたいなと思った時に思い出したのが高校時代に「日本語の先生になりたい」と思っていたことでした。当時は大学で日本語の教育について教えてくれるところは少なくて断念しましたが、何か勉強をしたいなと思ったときに当時の思いがよみがえったんです。
それから、日本語教師を目指したもう一つの理由は、介護に携わる中で、介護職の人出不足についての現状を耳にしたこと。今後、介護のために外国から人材が入ってくることも予想されており「日本語を教える仕事はこれから必要になるはず」と考えました。
 

調べたところ、日本語教師の資格をとるための方法は
①大学院で学ぶ 
②日本語教師養成講座で420時間の講義を受ける 
③日本語教育能力検定試験で合格する
の3つ。
この選択肢の中で、飯田市という場所柄、大学や講座へ通う事は時間的にも金銭的にも困難であると考え、③の試験での合格を目指し勉強を始めました。結果、9ヶ月後の試験で見事に一発合格!55歳で日本語教師の資格を取得したのです。


阿部さんーただ、飯田の近隣では日本語教師として就職できるような場所はなく、しばらくは市民の方がやっているボランティアの日本語教室へ行って、先生方に教わりながら実践をイメージしました。ネットで職場を探しましたが、結局、東京や名古屋、大阪など飯田を出なくてはいけない。
そんなとき、「どうせ出るなら海外でも同じじゃん!」と思って、海外の就職先を探し始めました。

こうして、インターネットを通じて面接し、台湾の日本語教室に職を得て56歳で単身台湾へ。
約4年間、台湾で日本語を教える塾で仕事に携わり、2023年の8月に帰国しました。現在は日本語教師の仕事をオンラインで続けながら、飯田市で夫がオーナーをつとめるヴィーガンレストラン「プラントベースキッチン つきのいえ(現在は休業中)」を手伝っています。
 
トークタイムでは、阿部さんの原点となった子ども時代の話や、オーガニック商品についての話、台湾での生活についてトークが繰り広げられ、参加者からの質問に答える形で台湾での男女の働き方や食事事情、子育て、公共サービス、政治への意識など広く話が及びました。

日本人の成長の過程で失われる、自分の感覚を表現すること

阿部さんー台湾では国民性もあると思いますが、とにかく自分の主張をはっきりします。大切なのは「周りに忖度しない」こと。日本人の言い方の曖昧さは優しさでもあるとは思いますが、私はこれがしたい、したくないとはっきり言う練習みたいなものも必要だと思います。
例えばご飯を食べる時にただ「おいしいね」と食べるのではなく、食材の何に対して自分はおいしいと感じているのか、そういったことを味わいながら食べることで自分の感覚を取り戻すというか。赤ちゃんの時はみんなはっきり欲しい、欲しくないを持っていたはず。それが「成長」という名でストップさせられていくみたいな感覚があります。周りの目も気になっちゃうしね。

阿部さんーコロナもありましたし、円安もあって難しいかもしれませんが、海外に出て日本を見る経験をぜひしていただきたいなと思います。そうすれば日本がどんな国かも見えるし海外ってこんなに自由なのだということもわかるはず。台湾は初めての一人旅にもおすすめの安全な場所なのでぜひ訪れてみてください!

一般的に、年代によってライフスタイルが制限されてしまうように感じられる日本。
その中で、枠を飛び越えて自分で人生を選択し、歩んでいる阿部さんの「軽やかさ」の秘訣は、自分のやりたいことを見つめなおしたこと、それから海外から日本を見てきた経験、そんなところにあるのかもしれません。


いいなと思ったら応援しよう!

暮らすroom's よろしければ応援お願いします! いただいたチップは暮らすroom'sの活動費に使わせていただきます!