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子どもの睡眠⑥ー「脚が気になって眠れない」むずむず脚症候群

📖 睡眠シリーズ
① 子どもに必要な睡眠時間
②小児不眠症
③閉塞性睡眠時無呼吸症候群
④パラソムニア
⑤睡眠相後退症候群
⑥ むずむず脚症候群(今回)



「夜になると脚がむずむずして眠れない」
「脚が気になって何度も動かしてしまう」
このような症状が続く場合、「むずむず脚症候群」という睡眠障害が隠れていることがあります。
子どもでは「落ち着きがない」「集中できない」と見えることもあり、ADHDと関連することも知られています。

むずむず脚症候群(Restless Legs Syndrome; RLS)

むずむず脚症候群は、脚に不快な感覚が生じ、それを和らげるために脚を動かしたくなる「感覚運動障害」です。
寝つきや睡眠維持が困難になるような、脚の不快な感覚を訴えることが特徴です。
幼児よりも青年期に多く見られ、小児の有病率が2~4%と推定されています。

診断には次の6つの特徴を満たすことが重要です。

  1. 脚を動かしたいという強い衝動がある

  2. 症状は座っている時や横になっている時など安静時に悪化する

  3. 歩行やストレッチなどで一時的に軽くなる

  4. 夕方から夜に強くなる

  5. 睡眠や日中の生活に支障をきたす

  6. 子ども自身が自分の言葉で症状を説明できる

また、慢性腎臓病や鉄欠乏などの基礎疾患がある場合や、家族にRLSの人がいる場合は発症しやすいことが知られています。

ADHDとむずむず脚症候群には関連があることが知られています。

むずむず脚症候群では脚の不快感からじっと座っていられず、「落ち着きがない」と見えることがあります。

実際に、むずむず脚症候群の約4人に1人でADHD症状がみられ、逆にADHDの子どもの約12〜35%にRLSが合併すると報告されています。

また、子どもは「むずむずする」を色々な言葉で表現します。

  • 「クモが歩いている感じ」

  • 「脚にアリがいるみたい」

  • 「ムズムズする」

  • 「チクチクする」

  • 「変な感じ」

  • 「蹴りたくなる」


日中長時間座っている時に症状がでて、うまく勉強に集中できなくなるといった問題になることもあります。
また、むずむず脚症候群は成長痛と誤診されることがよくあり注意が必要です。

むずむず脚症候群を疑った場合、規則正しい生活習慣を心掛け、また、鉄不足やビタミン不足などがないか、原因となる薬剤を使用していないか調べることが重要です。

特に重要なのが鉄不足です。鉄の貯蔵量を反映するフェリチンが低いと症状が悪化しやすく、血液検査で確認します。
鉄不足がある場合は、鉄剤の内服で症状が改善することも少なくありません。

また、症状を悪化させることがある薬剤として、抗精神病薬、抗うつ薬、抗ヒスタミン薬などがあります。コーヒーや紅茶、緑茶、エナジードリンクなどに含まれるカフェインも症状を悪化させることがあります。

基本の治療は原因を除去することです。
鉄欠乏があれば鉄剤による治療を行うことがあります。

成人ではドーパミン作動薬やガバペンチン、ベンゾジアゼピン、クロニジンなどが使われることがありますが、小児では十分に研究されていません。
使用には専門医の慎重な判断が求められます。

子どもが「脚が気になって眠れない」「夜になると落ち着かない」「じっと座っていられない」と訴える場合は、「成長痛だから大丈夫」「落ち着きがない性格だから」と決めつけず、むずむず脚症候群が隠れていないか検討することが大切です。

気になる症状が続く場合は、小児科や睡眠を専門とする医療機関へ相談することをおすすめします。
早めに原因を見つけて治療することで、睡眠だけでなく日中の集中力や生活の質が改善することも期待できます。


参考文献

  1. Picchietti DL, Bruni O, de Weerd A, et al. Pediatric restless legs syndrome diagnostic criteria: an update by the International Restless Legs Syndrome Study Group. Sleep Medicine. 2013;14(12):1253–1259.

  2. Allen RP, Picchietti DL, Garcia-Borreguero D, et al. Restless legs syndrome/Willis-Ekbom disease diagnostic criteria: updated International Restless Legs Syndrome Study Group (IRLSSG) consensus criteria. Sleep Medicine. 2014;15(8):860–873.

  3. Picchietti DL, Walters AS. Restless Legs Syndrome and Periodic Limb Movement Disorder in Children and Adolescents. Seminars in Pediatric Neurology. 2008;15(2):91–99.

  4. Meltzer LJ, Williamson AA, Mindell JA. Sleep Health in Children: Recommendations and Future Directions. JAMA. 2023;330(21):2049–2056. doi:10.1001/jama.2023.22114

  5. American Academy of Sleep Medicine. International Classification of Sleep Disorders – Third Edition (ICSD-3). American Academy of Sleep Medicine; 2014.

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