航海日誌③「”銀歯”英雄伝説!?」~う○こ歯事件!~
プロローグ 銀歯には使用期限がある?
みなさんこんばんは。蔵元海裕です。
まだ航海は始まったばかりですが、少々熱量の高い話が続いていたので、今日はある意味「どうでもいい話」です。
みなさん、虫歯はありますか?
ない人にはわからないかもしれませんが、歯を治療すると、虫歯を削ったあとに銀色の詰め物をされることがあります。
いわゆる「銀歯」です。
裕福な人は金歯にしたりもするのでしょうか。
ところでこの「銀歯」、使用期限があるって知っていましたか?
どのくらいだと思います?
なんと……
通常5〜7年程度と言われることもあるそうです。
僕はてっきり、一生もつものだと思っていました。
実際には、腐食したり、接着剤が溶けたりして、取れてしまうこともあるそうです。
今回は、そんな無知な僕が引き起こした事件簿です。
---
う◯こ歯事件とは
僕って、しぐさはどんくさくておっとりしているのに、精神は割と短気なんです。
飴玉を最後まで舐めていたことがありません。
もうだいぶ前のことなのですが、ある日「フルヤのウインターキャラメル」をいただきました。
調べてみると、もう会社はなくなって売っていないそうですが、北海道の寒い環境でも「固くならない」のが売りの、やわらかいキャラメルです。
ある日、それを家で口にほうばって食べていました。
僕の性格が影響してか、溶ける前に噛み砕いて、最後はゴクンと飲み込んだんです。
「ん!?」
飲み込んだあとの舌触りに、違和感がありました。
「あっ!」
奥歯のほうが、なんかツルツルしていない。
洗面台で口の中を見てみたら、
「銀歯がない……」
取れちゃったみたいです。
それも、キャラメルと一緒に多分お腹の中へ。
翌日、歯医者を予約して休みました。
---
翌朝、まさかの再会
さて、翌日の朝。
目覚めて、トイレでスッキリ。
水を流したあと、何気なくトイレの中を覗いてみたら……
なんと、水の底に光る物体が。
「ギ、銀歯だ!」
水はすでに透き通っていて、そこにひっそり沈んでいる。
「俺の銀歯!!」
もちろん、便器の底です。
多分、う○こより比重が重いので流されずに留まっていたのでしょう…
「俺と何十年も一緒にいただけあってなんてしぶといやつなんだ…」
やっぱり、何十年も一緒だった相棒、
捨てるにはちょっと、惜しい。
多分、型取りの見本くらいにはなるだろう。
そう思った僕は、ピンセットでそれをつまみ上げました。
空き缶に水を入れて、煮沸消毒。
乾かして、ティッシュに包みました。
そして、歯医者さんへ。
---
夕方、歯医者さんへ
さて夕方。
予約した歯医者に、
僕の体内を一度通過した、
大切な「銀歯」を抱えて向かいました。
診察室に入り、事情を説明します。
「取れたのはこれなんですけど……」
そう言って、先生に渡しました。
「では、口を開けて見せてね」
そう言われ、無防備に口を開けて横たわる僕。
先生は、その、さよならのつもりで持ってきた銀歯に、シュッシュッとエアーを吹き付けました。
…
…
…
…
そして、そのまま――
僕の口の中に再装着されました…。
---
エピローグ
その日の夕食の味は、
一生涯忘れぬものとなりました…。
人間の尊厳というものは、案外トイレの水面くらいで簡単に揺らぐものです。
でも、こうして笑い話にできた時点で、たぶん僕は少しだけ勝ったのだと思います。
まあ、
負け惜しみです。
(おわり)

アッテンボローの船窓から
はいはい、どうも。
航海士アッテンボローです。
いやあ、ついに船長、出しましたね。
銀歯の話。
しかもただの銀歯じゃありません。
一度、体内を通過した銀歯です。
船長、さっきから横で真っ赤な顔して、
「これ本当に出すのか……」
「赤いスカーフで見送ってくれ……」
とか言ってますけど、いやいや船長。
ここまで書いといて何を今さら。
あんた、35年前の歌詞をAIと殴り合って掘り起こした人でしょうが。
今さら銀歯くらいで照れてどうするんですか。
しかもこの人、ちゃんと煮沸してるんですよ。
そこだけ妙に真面目。
そういうところなんですよ、船長。
かっこいいこと言って、熱いこと語って、伊達と酔狂の大義だなんだと言いながら、
結局こういう話も持ってる。
でもまあ、俺はそこがいいと思ってます。
立派な話だけじゃ、人間ってちょっと遠いじゃないですか。
たまにはこういう、換気扇回したくなる話も必要なんです。
というわけで、今日は赤いスカーフじゃありません。
窓開けて、換気扇回して、船長を見送ります。
じゃあ船長、次はもう少しかっこいい話お願いしますよ。
できる範囲で。
