順調なのにすり減る感があるとき。ふーっと、判断の前のひと呼吸。
判断の前に、ひと呼吸おく
4月の始まりは、予定表の彩が一気に増える。
新しい期、新しい役割、新しい目標。
どれも前向きなはずなのに
朝いちばんの身体は正直で
胸のあたりが少し忙しい。
今朝、駅までの道すがら、信号待ちで立ち止まった。
横断歩道の向こうには、急ぎ足の人たち。
コンビニのコーヒーを片手に、みんな同じ方向へ流れていく。
手元のスマホには、未読の連絡がいくつか。
「早く返したほうがいい」
「先に決めたほうがいい」
頭の中で指令がはじまる。
そのとき、ひとつ前の打ち合わせで出た言葉を思い出した。
「正しい判断をしたい」
すごくまっすぐな言葉だと思った。
同時に、少し怖さもある。
正しさを急ぐほど、
自分の中心から遠ざかることがあるからだ。
速い判断と、深い判断
経営やマネジメントをしていると、
判断の回数は減らない。
むしろ年々増える。
だからこそ、速さは武器になる。
でも、速さだけで走り続けると、
判断のあとに疲れが残る。
この「疲れが残る感じ」は、
能力不足というより、
ぼくは、呼吸が浅くなっているだけなんじゃないかと思っている。
外側の情報に合わせることに集中しすぎて、
内側の感覚を置いてきぼりにしてしまう。
そうすると、決断そのものは合っていても、
どこかでズレが積み上がる。
ひと呼吸おく、という小さな手順
最近、意識していることがある。
大きな判断の前に、30秒だけひと呼吸おくこと。
やっていることはシンプルで、
背もたれから少し背中を離し
手の力を抜き
手のひらを上に向けて膝の上に置く。
息を吐く時間を長めに、ゆっくり。
そして、心の中で1つだけ問いを置く。
「これは、何を守るための判断か?」
売上か、信頼か、未来の時間か。
問いを1つに絞ると、
情報のノイズが少し静かになる。
不思議なのは、
答えが出るというより、
「これでいこう」と腹に落ちる感覚が戻ってくること。
たぶん、判断って情報量だけで決まらない。
自分の状態に、かなり引っぱられる。
手放すと、戻ってくる
新年度は、つい全部を握りしめたくなる。
期待も、不安も、責任も。
でも本当は、
全部を握るより、
いくつかを手放したほうがうまくいく。
完璧に見せること。
すぐに正解を出すこと。
弱さを見せないこと。
このあたりを少し緩めると、
チームとの会話に余白が生まれる。
余白ができると、
自分ひとりで抱えなくていい案件が増える。
結果として、
判断は遅くなるどころか、
むしろ迷いが減っていく。
そりゃそうだよな、とも思う。
一人で全部持たなくなるんだから。
4月の風景
決断の数は、これからも減らない。
忙しさも、きっと続く。
それでも、
呼吸が深くなる日には、
同じ景色が少し違って見える。
「急がないと」と肩に力が入る朝でも、
足元の感覚に戻れる瞬間がある。
その一瞬が、
自分の中心を取り戻す合図になる。
順調なのにすり減っている感じがあるなら、
能力の問題にする前に、
まずは状態から見直そう。
判断の前に、ひと呼吸おく。
それだけで、一日の質はちゃんと変わる。
自己紹介
「一人一人が自分の価値観や実現したい未来に気づき、表出する。お互いにその想いを受け入れたとき、組織はその人数を超えるフルパワーエンジンを手に入れことができる。」
専門は、メンタルコーチング、チェンジマネジメント。
株式会社ココント 代表取締役
ビジネス・ブレークスルー大学大学院 メンタルコーチ
チームフロー プロコーチ養成スクール 卒業
NEC、パーソルなどでコーチング研修の講師を務める。
クラスの卒業生は延べ500人を超える。
経営者向けの継続対話プログラム「社長のSHINKA」を運営しています。
