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【グルメ密着】アンジャッシュ渡部さんをYouTubeでどう再起させたか?「渡部ロケハン」演出家・ソマDが語る、台本なしのリアリティ追求と泥臭いスポンサー獲得術

今日も見ていただきありがとうございます!
アカツキメディアスタジオ代表の樋渡(ひわたし)です。

今回も、弊社が運営しているYouTube「メディアスタジオ【映像ビジネスの裏側】」での対談をnoteにまとめました。

樋渡とゲスト・ソマD

このYouTubeは、映像ビジネスの最前線を牽引する「プロデューサー」や「クリエイター」の対話を通じ、普段は聞けない制作の裏側を深掘りする対談メディアです。
映像ビジネスに携わる全ての方にとって、制作やマネタイズの参考になればと思っています。

ゲスト紹介

株式会社バリサン代表
演出家:ソマ・シュンスケ(ソマD)

ソマDは、地上波テレビから姿を消したアンジャッシュ・渡部建さんの再起の舞台であり、登録者数50万人を超える人気チャンネル「アンジャッシュ渡部がいつか地上波のグルメ番組に出ることを夢見てロケハンする番組」(通称:渡部ロケハン)を立ち上げ、演出を担当されています。

このチャンネルは、単なるグルメ番組の枠を超え、かつての「グルメ王」が泥臭く、時にパニックになりながらも懸命にロケハンする姿を映し出し、多くの視聴者の心を掴んでいます。

なぜ、逆風の中にあった渡部さんの番組がこれほど支持されるようになったのか? なぜ、台本なしの「不自由なロケ」が視聴者を熱狂させるのか? 今回はソマDが対談で明かしてくれた、「チャンネル誕生の裏側」と、その根底にある「ストーリー重視の制作哲学」について深掘りします。


1.「渡部ロケハン」の成り立ち:一通のメール

すべてはある放送作家の熱意と、偶然の繋がりが重なり合って生まれた奇跡でした。

きっかけは「師匠・有田哲平」との再会

事の発端は、くりぃむしちゅー有田哲平さんの配信番組に渡部さんがゲスト出演したことでした。そこで渡部さんが語った「地上波への思い」や「引退しないという覚悟」。その姿に心を打たれたのが、番組を担当していた放送作家のカツオ氏でした。

カツオ氏は、収録後に渡部さんへ一通のメールを送ります。
「僕が渡部さんの番組を作ったら、出てくれますか?」
渡部さんはこれに「ぜひ」と即答。しかし、依然として地上波復帰は高いハードルがある状況……。そこで選んだ戦場がYouTubeだったのです。

なぜソマDだったのか?

YouTubeを運営するには、制作費を賄うスポンサーを見つけ、制作チームを組織する必要があります。カツオ氏は、盟友である放送作家の西村氏に相談を持ちかけました。

当時、西村氏はソマDと一緒にリラクゼーションドリンク・CHILL OUTをスポンサーに迎えた『サウナノフタリ』という番組をYouTubeで制作していました。そこで西村氏はこう考えたのです。 「CHILL OUTさんなら、今の渡部さんの状況と絡めて面白がってくれるかもしれない。そして、ディレクターはソマDがいい」

当時、ソマDはちょうど前の会社を辞めて独立する直前というタイミングでした。西村氏から「渡部さんの番組やらない?」と声をかけられたソマDは快諾。

こうして、「熱意ある作家」と「たまたま独立する演出家」という奇跡的なチームが結成され、渡部さんの再起プロジェクトは動き出したのです。


2. 再生数の「壁」とスポンサー交代のドラマ

当初、渡部さんの圧倒的な知名度があればすぐに火がつくと予想されていましたが、現実は甘くありませんでした。

最初は「2万再生」のどん底

意気揚々とスタートしたものの、最初の動画の再生数は3日間でわずか2万回程度。「恥ずかしくないものを作ったはずなのに」とソマDは悶々としたそうですが、そこから2つの戦略と幸運が重なり、一気に潮目が変わりました。

  1. ショート動画の大量投下: 6時間のロケ素材には、本編(約25分)に入りきらない「未公開トーク」が山ほどありました。自粛中のエピソードなど、際どいけれど面白いシーンをショート動画として毎日投稿。これが新規視聴者を呼び込む強力な入り口となりました。

  2. 「さまぁ〜ず」の愛あるイジり: さまぁ〜ずさんが自身のYouTubeで渡部ロケハンの話題を愛のあるイジりで取り上げてくれたことで、大きな相乗効果が生まれました。

これに加え、「美味しいご飯(飯テロ)」という全人類共通のコンテンツ力が下支えとなり、数字は右肩上がりに伸びていきました。

「CHILL OUT」から「スマレジ」へ

番組の継続を支えたスポンサーの変遷にも、ドラマチックな裏側がありました。

  • 初代:CHILL OUT(〜#12) きっかけは放送作家・西村氏の紹介。リラクゼーションドリンクに対し、渡部さんが放った「騒動前にこれを飲んでおけばなぁ……」という渾身の自虐コピーが誕生

  • 危機:契約満了と「銀の盾」 しかし、契約は12本の動画で終了。ちょうど登録者10万人を達成したタイミングで番組存続の危機に。そこでソマDたちは、異例の「スポンサー募集動画」を撮影するという勝負に出ました。※配信前に次のスポンサーが決まり未公開

公開されることはなかった「スポンサー募集動画」
  • 2代目:スマレジ(#13〜) ここで手を挙げたのが、飲食店向けシステムを扱う「スマレジ」でした。彼らがスポンサーになった理由は、単なる数字上のメリットではありませんでした。 「あれだけ飲食業界に貢献してくれた人を、一度の失敗で見放すのはどうなのか」 渡部さんが長年積み重ねてきた飲食店への「徳」が、最大のピンチで企業を動かしたのです。


3. 制作フロー:台本なし、直しは2回まで

「テレビクオリティ」と言われる渡部ロケハンの制作現場。その裏側は、ソマDの「職人的な嗅覚」と「プロフェッショナルな効率化」が共存しています。

【企画】狙うは「ウモレエリア」

ロケ地選びの基準は、メジャーな場所ではありません。ソマDが狙うのは、「ウモレエリア」と呼ばれる少し寂れた場所。 Googleマップで「スナック」と検索し、スナックが4軒以上密集している場所を探し出します。「スナックが多い=ディープな人間模様がある」という独自の嗅覚を頼りに、自ら足を運びロケ地を選定しています。

【撮影】「パニック待ち」の6時間回し

撮影は夕方から終電まで、約6〜7時間のカメラ回しっぱなし。アポ取りもその場で本人に行っていただきます。

「予定調和はいらない。断られたり怒られたりする『エラー(パニック)』こそが面白い」 ソマDは、トラブルが起きることを願いながらシャッターチャンスを待ちます。

【編集】プロ集団による分業と「2回ルール」

6時間の素材を30分に凝縮する作業は、完全にテレビ制作の布陣で行われています。

  1. 粗編集: 2人のディレクターで分担し、数日で土台を作る。

  2. 本編集: 専門オペレーターがテロップデザインや加工を施す。

  3. MA(BGM/効果音): プロの音響効果スタッフが音を付ける。

ここでソマDが徹底しているのが、「プレビュー(直し指示)は2回まで」というルール。何度も直すとスタッフが「作業」になり、熱量が下がるからです。

そして、渡部さんも動画のチェックを行い、「この魚にはこの補足を入れよう」といった「知識の上書き」を徹底。これにより番組の信頼性を構築しています。


4. テレビは「花火」、YouTubeは「焚き火」

なぜ、渡部ロケハンの泥臭いスタイルがこれほどまでに視聴者に刺さったのか。その背景には、ソマD独自の鋭いメディア論があります。彼はテレビとYouTubeの違いを「火」に例えてこう定義します。

  • テレビは「花火」 一撃が大きく、華やか。プロの職人が作り上げ、全員が遠くから見上げて「綺麗だね」と楽しむ完成されたエンターテインメント。しかし、形が崩れたり事故が起きたりすることは許されず、視聴者との距離は一定以上に縮まりません。

  • YouTubeは「焚き火」 視聴者との距離が尋常ではなく近いのが特徴です。視聴者が自分で枝(コメントや応援)をくべて、火を大きくすることができる。ずっと無心で見ていられる心地よさがある一方で、近づきすぎると火傷をしたり、時には「炎上」したりする危険も隣り合わせです。

「応援される構図」を作る

渡部さんが再び歩き出すために必要だったのは、かつてのような完璧に作り込まれた「花火」を見せることではありませんでした。世間の厳しい風向きを変えるためには、視聴者が「手を伸ばせば温かさを感じる距離」で、渡部さんの物語を共有できる「焚き火」のような場所が必要だったのです。

実際、この「参加型」の空気が醸成されたことで、驚くべき現象が起きています。ファンが自主的に「渡部ロケハン聖地巡礼マップ」アプリを開発したり、ロケ地に貼られた番組ステッカーをわざわざ見に行ったりする動きが広がっているのです。

視聴者はただ動画を消費しているのではなく、焚き火に枝をくべるように、渡部さんの再起ストーリーという「物語」に参加し、番組を一緒に育てている。この「応援できる距離感」こそが、YouTubeにおける最大の武器になったのです。


5. これからのYouTube

対談の終盤、ソマDはこれからのYouTubeのあり方について確信を込めてこう語りました。

「もう、ストーリーがあるものしか残らない気がします」

今やYouTubeには、プロ・アマ問わず膨大なコンテンツが溢れています。単に面白い企画や、過激なサムネイルで気を引く「釣り動画」だけでは、視聴者の心はもう動きません。ソマDさんが考える「残るコンテンツ」の条件は2つです。

  • 誰かの人生が乗っかっていること: 作り手や演者の「生き様」が見えるもの。綺麗事だけでなく、苦悩や再起といった人間臭い「物語」がある動画です。

  • 次の日のアクションに繋がること: 「明日この店に行ってみよう」「明日から自分もこれをやってみよう」と、視聴者の日常に変化を与え、背中を押すもの。

情報を取り入れるだけの動画ではなく、視聴者が「自分ごと」として捉えられる物語。渡部ロケハンの成功は、一度失敗した人間が、泥臭い営業と周囲の支えによって再起していく「ドキュメンタリー」そのものが、最強のコンテンツになることを証明しています。


6. スポンサー獲得の極意は「DMアタック」

YouTube運営の最大の課題は「制作費」です。対談の中で、アカツキメディアスタジオ・プロデューサーの辻橋から「パパ向けの育児チャンネルを運営していて、どうスポンサーを見つければいいか?」と相談された際、ソマDの答えはシンプルでした。

「DMアタックしかないです」

ソマD流の営業は、とにかく手数を打つこと。SNSを駆使し、面識のない企業の問い合わせフォームにまで企画書を送ります。

かつて、メインスポンサーの契約が終了し番組存続の危機に陥った際も、彼は諦めませんでした。逆に「エナジードリンク」などの全く異なるコンセプトの企業にも「いけるんじゃないか?」と考えたこともあったそうです。


まとめ:技術の先にある「泥臭さ」と「ディレクター魂」

ソマDの話を通じて見えてくるのは、「テレビ的な高い技術力」と、それとは正反対にあるような「泥臭い人間力」の融合です。

テレビの世界で磨かれた圧倒的な演出力・編集力を持ちながら、一方で面識のない企業にDMを送り続け、アポなしロケで断られて頭を下げる。この「プロとしての誇り」と「なりふり構わない執念」の両立こそが、逆境を突破する唯一の手段なのだと痛感しました。

また、対談の中でソマDさんが放った「第1話(#1)の動画を、どれだけ自分自身で作り込めるか」という言葉には、私自身も深く共鳴しました。
実は、自社IPである「クマーバチャンネル」も、この対談番組「メディアスタジオ」も、立ち上げ時の最初の1本(#1)は、私自身がすべて自分の手で編集し、音を付け、魂を込めて作り上げました。

クリエイティブの「核」となる最初の熱量は、他人に任せるのではなく、自らの手を動かして注ぎ込むべきだと思っています。
そんな共通の「ディレクター魂」を感じたからこそ、渡部ロケハンがこれほど多くの人に広がっていったと納得がいきました。

以上です。
YouTube「メディアスタジオ」は隔週水曜日18時に配信していますので、是非チャンネル登録してお待ちいただけますと幸いです。

参考動画

前編:【アンジャッシュ渡部ロケハン】成功の裏側を公開!演出家ソマDが語るYouTube番組の企画・制作・スポンサー獲得のノウハウを伝授!

後編:【アンジャッシュ渡部ロケハン】チャンネル継続のノウハウ大公開!


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株式会社アカツキメディアスタジオ:HP
代表・樋渡(ひわたし)X

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