経済拡大を示す米1月ISM製造業景気指数
2月4日に1月の米ISM製造業景気指数が発表されました。
ISM製造業景気指数の総合指数が50.9と前回49.2から改善し、2022年9月以来の50を超えて製造業活動が拡大した結果となりました。
◆ISM製造業景気指数とは?
ISM製造業景気指数(PMI)は、アメリカの製造業が元気かどうかを測るための数字です。これは、製造業の経営者たちが以下のようなアンケートを元に計算されます。
・新しい注文が増えているか?
・工場で作っている量は増えているか?
・働いている人の数は増えているか?
・材料の納品が遅れていないか?
結果は0から100の間の数値で表され、特に注目されるのは50というラインです。50以上が製造業が元気(景気が良い)、50未満が製造業が元気がない(景気が悪い)とされています。
ISM製造業景気指数は、製造業の調子を教えてくれる「健康診断」のようなものです。
ISM製造業景気指数
冒頭でも紹介した通りISM製造業景気指数の総合指数は50.9と、2022年9月以来の50を超えて製造業活動が拡大した結果となりました。
・ISM製造業景気指数:50.9(結果)・49.9(予想)・49.2(前回)
ISM製造業景気指数に直接影響を与える5つのサブインデックスのうち、新規受注、生産、雇用、サプライヤー納入の4つが拡大領域に入りました。さらに景気先行性がある新規受注は前回の52.1から55.1の高水準になりました。
雇用は50の超える高水準で米労働統計局(BLS)雇用統計の雇用増加データと一致しておりました。
以下が業種ごとのコメントです。実際に働いている人たちのコメントになります。

ISM製造業景気指数の構成要素
ISM製造業景気指数の構成要素は以下の通りになっております。
新規受注:全体の30%を占める最も重要な要素。
生 産 :25%の比重。
雇 用 :20%の比重。
サプライヤーの納期:15%の比重。
在 庫 :10%の比重。
それでは構成要素ごとで詳しく解説していきます。
1.新期受注
・新規受注:55.1(結果)・52.1(前回)
1月の製造業活動は3か月連続で拡大し、55.1%を記録しました。これは製造業の回復基調を示しています。ただし、新規受注指数は依然として不安定であり、2022年5月以降、一貫した成長は見られていません。トランプ氏の関税を課すと発表しているため、関税がかかる前に注文を増やしていることもあり、トランプ氏が関税を課せば新期受注は不安定になるでしょう。
コンピュータ・電子機器関連が中国景気刺激策により好影響を与えており、PCメーカーや電子部品メーカー(ブロードコム、デルなど)の売上が改善される見込みがありますので注目です。
2.生産
・生産:52.5(結果)・49.9(前回)
1月の生産指数は52.5となり、12月の49.9から2.6上昇して拡大領域に入った。これまで指数は8か月連続で縮小していたが、50を超えたのは2024年4月以来初めてである。6大製造業セクターのうち、機械、輸送機器、化学製品の3業種が生産の増加を報告した。フィオーレ氏は、「1月の生産レベルは、より資本集約的な産業セクターが主導し、天候の影響があったものの改善が見られた」と指摘している。なお、指数が52.1を超えることは、一般的に連邦準備制度理事会(FRB)の鉱工業生産数値の増加と一致するとされています。
3.雇用
・雇用:50.3(結果)・45.4(前回)
1月の雇用指数は50.3となり、12月の45.4から4.9ポイント上昇して拡大領域になりました。6つの主要製造業セクターのうち、化学製品と輸送機器の2業種が雇用の増加を報告しました。
一方、多くの企業では依然として人員削減が続いています。雇用指数が50.3を超えることは、一般的に米労働統計局(BLS)の製造業雇用データの増加と一致している。
4.サプライヤーの納期
材料や部品の納品するスピードを測る指標で、納品スピードが遅いほど指標が高くなります。
・サプライヤーからの配送:50.9(結果)・50.1(前回)
1月のサプライヤー納入指数は50.9となり、12月の50.1から0.8上昇しました。2022年9月に52.4%を記録した後、指数は翌月に縮小領域に入り、2024年2月を除く21か月のうち20か月間、その状態が続いていました。
5.在庫
・在庫:45.9(結果)・48.4(前回)
1月の在庫指数は45.9となり、12月の48.4から2.5低下した。50を上回ったのは2023年8月が最後であり、それ以降は縮小傾向が続いている。
1月の製造業の在庫減少は、企業がより多くの商品を生産したことや、必要な材料を十分に確保できなかったことが要因と考えられる。今後も需要と供給のバランスが変動する中で、在庫水準の変動が続く可能性があります。
6.価格
ISM製造業指数には価格は含まれませんが、今後のインフレに関する指標になりますのでご参考ください。
・価格:54.9(結果)・52.5(前回)
1月のI価格指数は54.9となり、12月の52.5から2.4ポイント上昇した。これにより、原材料価格は9月の下落を経て、4か月連続で上昇を続けたことが示された。
主要6業種のうち、石油・石炭製品、食品・飲料・タバコ製品、化学製品、輸送用機器の4業種が1月の価格上昇を報告。また、製鉄所の材料(鉄鋼、アルミニウム、銅)、食品原材料、天然ガスが値上がりした一方で、プラスチック樹脂とディーゼル燃料の価格下落がこれを一部相殺した。
価格の上昇を報告した企業の割合は21%となり、12月の14%から増加。
トランプ関税
1月のISM製造業景気指数は50のボーダを超え、経済拡大を示しておりますが、トランプ氏の政策である関税を課すことによりISM製造業の経済拡大は継続しない恐れがあります。
2月4日現在では、カナダとメキシコに25%関税を課すことが延期され3月から関税を課すとしています。中国には引き続き10%の関税を課すと発言しております。
中国に関税を課せば中国からの報復措置は免れないでしょう。おそらくですが、レアアースをはじめとした重要鉱物は中国が世界生産量をほぼ独占しており、重要鉱物のサプライチェーンリスクはますます高くなるでしょう。
トランプ氏の関税はインフレを再熱させる可能性もあり、製造業にとっては懸念することが増えそうです。

