消化器内科医が自宅のキッチンに常備する『油』とは?
日々の診察の中で「結局、体に良い油は何ですか?」と聞かれることがよくあります。
私が実際に使っている油は
エキストラバージンオリーブオイル
アマニ油・エゴマ油、フィッシュオイル(DHA/EPA)
MCTオイル
米油
です。(2026/03/23時点)
なぜそれを選ぶのか。
今回はオリーブオイルについて。
医学的データも交えながら、消化器内科医の視点でその理由について述べていきます。
なぜオリーブオイルは「特別」なのか?
油の主成分である脂肪酸にはいくつか種類がありますが、オリーブオイルの主役は「オレイン酸」(一価不飽和脂肪酸)です。
腸内環境を整える「天然の潤滑剤」
消化器内科の視点で見逃せないのが、オレイン酸の整腸作用です。
オレイン酸は小腸で吸収されにくいため、大腸を適度に刺激して蠕動運動を促進させます。
さらに、これは油全体にいえることですが、便の通りを良くする物理的な「滑り」の役割も果たします。
便秘に悩む方には自分でできるセルフケアして試しやすいでしょう。
実際に私も診療の中で、オリーブオイルを便秘対策として食べている方を多く見ていますが、結構反応がいい印象です。
最近では、腸内環境に関しても効果があるという論文もでています。
短鎖脂肪酸産生菌の増加、炎症性菌の減少、腸粘膜バリアと免疫の調整などが引き起こされるとのことです。
健康効果を発揮するポリフェノール
オリーブオイルが他の植物油と一線を画すのは、その抗酸化作用の強さです。
オリーブオイルをよく取り入れている地中海食が健康効果があるとされる論文報告があります。
オリーブオイルに含まれるポリフェノールには抗酸化作用、抗炎症作用があり、オリーブオイルの健康効果の大きなポイントになっていると考えられます。
ポリフェノールは若い緑色のオリーブに多く含まれ、辛みや苦みとして感じられます。
早摘みのグリーンオリーブ:ポリフェノール含有量が非常に多い。
完熟したオリーブ:マイルドな味わいになるが、ポリフェノール量は減少する。
健康効果を最優先にするならば、この「ピリッ」とした刺激がある鮮度の高いオイルを選ぶことが重要です。
スーパーには色んなオリーブオイルの商品がありますが、おすすめはエクストラバージンオイルです。
エクストラバージンオイルは油の質を表す「酸度」に規程があり、数値をクリアしたものを表しているそうです。
エクストラバージンオイル以外のオリーブオイルは手軽な価格帯である一方、加工されていたりブレンドされているものがあります。
医学データが示す「加熱」のリスクと対策
オリーブオイルの主成分であるオレイン酸は加熱に強い性質があるので、私は加熱調理の時にはオリーブオイルを使っています。
主成分のオレイン酸自体は酸化しにくく安定していますが、貴重なポリフェノールは熱に弱いという性質を持っています。
120ºCから170ºCという、私たちが日常的に行う加熱調理において、ポリフェノール量は減ってしまうことがわかっています。
消化器内科医が推奨する調理法
理想は「生」:サラダや納豆、豆腐やパンにそのままかける。これが最も効率的にポリフェノールを摂取できます。
炒め物は「短時間」:オレイン酸の安定性を活かし、手早く仕上げましょう。健康効果を調べた研究でも加熱にオリーブオイルは使用されています。ただ、ポリフェノールの恩恵を受けるためには短時間がいいでしょう。
揚げ物は「低温・短時間」:どうしても揚げる場合は、温度を上げすぎず、ポリフェノールの損失を最小限に抑える工夫が必要です。
一般的な油の中では加熱に強いと考えられますが、短時間、そしてやはり「揚物は時々楽しむ」が原則です。
適正な摂取量は?
いくら体に良い油とはいえ、脂質は1gあたり9kcalのエネルギーを持ちます。
厚生労働省の「食事摂取基準」を参考にすると、食用油の摂取量は
1日大さじ1杯(約12g)程度を目安にするのがバランスが良いでしょう。
「今日は揚げ物を食べた」という日は、他の2食や次の日の食事で油分を控えるなど、1日単位ではなく1週間単位で調整する心の余裕を持つとバランスがとりやすくなります。
小さな一杯が10年後の血管を守る
私たち消化器内科医が診る内臓の健康は、日々の食事の積み重ねでできています。
オリーブオイルを単なる「調理油」としてではなく、「熱に気をつけて扱う生鮮食品」として捉え直してみてください。
その一口に含まれるポリフェノールが、あなたの血管や腸を守る強力な味方になってくれるはずです。
記事が役に立ったら、ぜひ「スキ」やフォローをお願いします。
皆さんの食卓が、より健康的で豊かなものになりますように。
