暗記に復習は何回必要?回数より「タイミング」が大事だった話
暗記のために何回復習すればいいのか。3回?5回?10回?——学生時代の私は、この「回数」にずっとこだわっていた。単語帳を10周する、といった目標を立てては、周回数を稼ぐことに満足していた。でも、点数はそれに見合って伸びなかった。今ならわかる。暗記で本当に大事なのは、復習の「回数」そのものではなく、「いつ復習するか」だ。
浪人していた頃、片道1時間かけて予備校に通っていた私は、この回数信仰にとらわれていた一人だった。今日は、回数ばかり追っていた私が、どこで考えを変えたのかを書いてみたい。
「とにかく10周」がうまくいかなかった理由
周回数を目標にすると、勉強はどうしても「こなす」作業になる。私は単語帳を何周もしていたけれど、1周目も5周目も、同じ間隔で機械的にめくっていた。よく覚えている単語も、苦手な単語も、平等に何度も見る。これは効率が悪い。
すでに覚えているものを繰り返し見る時間は、ほとんど無駄になる。逆に、苦手なものは何度見ても定着しないまま、同じペースで流れていく。回数だけを追うと、この「得意と苦手に同じ手間をかける」問題から抜け出せない。私が10周しても伸びなかったのは、周回数のわりに、苦手なものに向き合う密度が低かったからだった。
さらに厄介なのが、周回数が「勉強した安心感」を生んでしまうことだ。「10周した」という数字は達成感があるので、それだけで満足してしまう。でも、その10周の中身が「覚えているものを流し見しただけ」なら、実力にはつながらない。回数という数字は、努力を測る物差しとしてはわかりやすいけれど、定着を測る物差しとしてはあてにならない。この「わかりやすい数字」に安心してしまうことが、いちばんの落とし穴だったと思う。
回数より、忘れかけたタイミングで復習する
考えを変えるきっかけになったのが、記憶の仕組みだった。人の記憶は、覚えた直後から薄れていく。エビングハウスの忘却曲線が示す通りだ。そして、忘れかけたタイミングで思い出し直すと、記憶はぐっと強くなり、次に忘れるまでの間隔が延びる。
つまり、同じ回数を復習するにしても、「忘れかけたころ」に復習するのと、「まだ覚えているうち」に復習するのとでは、効果がまったく違う。まだしっかり覚えているうちに何度も見返しても、負荷が軽すぎて記憶は強くならない。だから「10周」という回数より、「1回1回を、忘れかけた絶妙なタイミングでやる」ほうがずっと効く。回数は結果であって、目標にするものではなかった。
じゃあ、間隔はどう空ければいい?
目安としてよく言われるのは、復習の間隔をだんだん広げていくやり方だ。たとえば、覚えた翌日にまず1回、その次は数日後、次は1週間後、次は2週間後、というように、思い出せた回数が増えるたびに間隔を延ばしていく。
こうすると、定着してきたものは自然と復習の間隔が広がり、そのぶん苦手なものに時間を回せる。同じ「復習」でも、得意と苦手で頻度が変わるので、回数の無駄がなくなる。私が周回勉強で感じていた「得意なものにも手間をかけすぎる問題」は、この間隔を広げる考え方でようやく解消した。
ただ、この間隔管理を全部の項目について手動でやるのは、現実的にはかなり難しい。何を、いつ、何回目に復習したか。項目が増えるほど破綻する。私も手帳やチェックリストで管理しようとして、何度も挫折した。
最初の1回目の復習が、いちばん効く
回数の話でひとつ強調しておきたいのが、「最初の1回目の復習」の重要性だ。何回も復習するとしても、最も効果が大きいのは、覚えた直後に訪れる最初の復習だと私は感じている。
理由は単純で、忘却がいちばん激しいのは覚えた直後だからだ。覚えてから何もしないと、翌日にはかなりの部分が抜けている。だからこそ、最初の1回目を「抜けきる前」に入れられるかどうかが、その後の定着を大きく左右する。ここを逃すと、2回目以降は「思い出す」ではなく「覚え直す」になってしまい、効率がガクッと落ちる。
私は昔、覚えた内容を1週間放置してから復習する、みたいなことをよくやっていた。これだと1回目の復習の時点でほとんど忘れていて、実質的に覚え直しになる。回数だけ見れば復習しているのに、毎回ゼロからやり直しているのだから、伸びるはずがなかった。1回目を早めに、しっかり入れる。これだけで、後の復習がずっと楽になる。
私が使っている暗記アプリ「きおくま」
この「間隔を管理する」という面倒を丸ごと引き受けてほしくて、私は最終的に自分で暗記アプリを作った。
私が開発した「きおくま」は、問いと答えをカードとして登録すると、エビングハウスの忘却曲線に沿って、忘れかけたころに自動で復習に出してくれる。何回目の復習かによって次に出す間隔も自動で調整されるので、「今日どれを何回目で復習するか」を自分で管理する必要がない。回数を数えることから解放されて、ただ出てきたカードを思い出すだけでいい。
テキストで手軽にカードを作れて、図や写真も貼れる。iPhoneだけで普通に使えるので、通学中や寝る前のスキマ時間に開くだけで、その日ぶんの最適な復習が終わる。iCloudで同期されるから、iPadで作ってiPhoneで復習、という使い分けもできる。
ダウンロードはこちらから。
まとめ
暗記に必要な復習回数は、「何回」と決まった数字があるわけではない。大事なのは回数そのものではなく、「忘れかけたタイミングで思い出す」ことを繰り返すこと。定着したものは間隔を広げ、苦手なものには頻度を割く。この配分ができれば、少ない手間で確実に記憶が残る。
「あと何周すればいいんだろう」と数えている人がいたら、周回数を数えるのをやめて、タイミングのほうに意識を向けてみてほしい。同じ労力でも、定着の仕方がまるで変わるはずだ。
タイミング管理を任せたくなったら、きおくまも試してみてください。
