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【推し駅弁🍱-06】紐を解き、境界線を味わう。私が駅弁を「箱」から選ぶ理由

この記事は、京都芸術大学 駅弁部による『【部員リレー連載】芸大生が綴る、週1「食」コラム』の「推し駅弁シリーズ」第6回です。

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はじめに

駅弁部員のしょこさんです。
(この駅弁部には「しょこ」がつく部員が2人もいます笑)

実は私、駅弁部に所属していながら、つい最近まで
駅弁に対して大きな誤解をしていました。

私の駅弁への原体験は、幼い頃にコミックで読んだ『ドラえもん』です。
(朧げな記憶で画像は見つからず残念)
電車の窓越しに、売り子さんから手渡される四角い箱。
十字にかけられた紐。 中身なんて紹介されていなくても、その
「紐で括られた箱」という佇まいが、子どもの私にはどうしようもなく
魅力的で、何か特別なものが詰まった箱に見えたのです。

ところが大人になると、いざ旅に出ても駅弁を買わなくなっていました。
選ぶのはいつも、駅地下にある華やかなデパ地下系のお弁当。
理由は単純で、「駅弁は、なんだか美味しそうに見えなかった」からです。

茶色くて、無骨で、何より「冷たい」
温かいご飯こそが正義だと思っていた私にとって、駅弁の「冷たさ」は
高い壁でした。

「ジャケ買い」は止まらない

そんな私を変えたのは、「パッケージ」でした。
駅弁部の初回の集まりで、私が「食べてみたい!」とみんなに
紹介したのは、岡山の『桃太郎の祭ずし』。
理由はもう、あのピンクの桃の形をした容器に心を掴まれてしまった
からです。(おそらく職業柄、桃=お尻=パンツを連想したのもある)

結局、私は中身よりもまず「器」や「箱」という境界線に惹かれてしまう
ようです。自分でも「どこまでいっても見た目重視だな」と
苦笑いしてしまいます。

でも、私の認識は徐々に変わり始めました。
小淵沢・丸政の「そば屋の天むす」に出会ったときのことです。
中身を見る前に、あの赤い和紙のようなロウ引き紙のような質感に
一目惚れして「ジャケ買い」してみたら、
これが驚くほど美味しかったのです。

冷めているからこそ、衣の出汁がご飯に馴染んで、一体感が生まれている。私の「温かさ信仰」が、音を立てて崩れた瞬間でした。


この紙の質感に惹かれて買ったので、捨てられずにいます・・・


熊本の空で見つけた、旅のしつらえ

先日、駅弁部の遠足で熊本へ行きました。(これについてはまた後日部員の誰かが原稿を書いてくれるでしょう☺️)
今回は飛行機だったので、駅弁ではなく空弁を探していたのですが、
そこで運命の出会いがありました。

熊本空港限定の「熊本旅いなり」です。

緑の紐、赤の箸袋、金の帯。空の上で見つけたこのシンプルな佇まいに、駅弁部員としての
『ジャケ買い』センサーが激しく反応。

これがもう、パッケージからして最高に洗練されていました。
清潔感のある木の箱に、緑色の紐、鮮やかな赤の箸袋、そして金色の帯。
まるで「玉手箱」のような佇まいに、私のパッケージ・センサーが激しく
反応しました。

紐を解き、帯を外す。その一連の動作は、もはや食事前の「儀式」です。
ドキドキしながら蓋を開けると、そこには黄金色の南関揚げのお稲荷さんが六つ、整然と並んでいました。

中でも「柚子胡椒」がお気に入り。香りは控えめですが、時折ピリリと効く柚子胡椒が、
旅の意識を鮮やかに引き締めてくれました。
熊本産の晩白柚をデザートに。(晩白柚は別のショップで販売していました)


一口食べて、ふと気づきました。

「そうか、お稲荷さんは、冷たい方が美味しいんだ

そんなの当たり前じゃないか、と言われるかもしれません。
でも、「温かい=美味しい」という思い込みに縛られていた私にとって、
それは改めて自分の心に深く落ちてくる発見でした。
じゅわっと溢れる南関揚げの油分と出汁が、中の具材と混ざり合って、
口の中が充足感で満たされます。
温かさに頼らずとも、時間が味を育ててくれる。
そんな駅弁(空弁)の奥深さに、ようやく一歩近づけた気がしました。

おわりに

結局、私は「箱」が好き

私は結局、見た目重視の人間なのかもしれません。
でも、桃の形の器や、赤いロウ引きの紙、そして玉手箱のような箱。
それらがあって初めて、中身の味は「旅の記憶」として
完成する気がするのです。

パッケージは、単なる包装ではありません。
それは日常から非日常へと私を連れ出してくれる、
一番身近な境界線
なのだと思います。

これからも私は、魅力的な箱を見つけるたびに、
ワクワクしながらその紐を解き続けるつもりです。
幼い頃、紙面越しに憧れた「あの箱」の正体を、一つずつ確かめるように。

【今回紹介した駅弁】
商品名そば屋の天むす
製造元:株式会社 丸政(山梨県小渕沢町)
価格:1,120円(税込)

【今回紹介した空弁】
商品名熊本旅いなり
製造元:株式会社 平家屋(熊本県八代市)
価格:1,620円(税込)

来週のバトン

来週は、料理のプロ・ひとみさんが担当します!お楽しみに!


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