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円高と円安、本当はどっちがいいのかな?

最近、経済ニュースの為替相場に関して、円安局面が否定的に報じられることが目立ちますが、日本社会にとって、円安ではなくて円高の方がいいのでしょうか?
円安は悪いことなのでしょうか?

そのあたりを、少し考えてみましょう。


<空港免税店という所>

私は永らく空港免税店の経営に携わってきました。

一口に言うならば、空港免税店は、輸入企業でもあり輸出企業でもあるのです。
簡単にご説明しましょう。

まず、商品は海外のブランドから直接輸入して仕入れます。
その際有利なのは円高です。

円高つまりドル安ユーロ安になると、ドル建てやユーロ建ての商品代金の支払い金額が割安になるということです。
仕入金額が下がって販売価格が同じで、同じように売れれば利益は増えるという計算になります。

一方その販売面は、出国される方に対して行われます。
出国される旅行客の方が、ブランド品や高級化粧品をどこで買うのが安いのか考えた場合、円安の方が有利になります。

円安つまりドル高ユーロ高になれば、海外の商品の価格はそれに連動して高くなるからです。
ですから今海外からの旅行客が割安な日本に押し寄せているというわけです。

つまり、円高になれば、輸入価格が下がり仕入れ原価が下がるけれど、売上は伸びません。
逆に円安になると、仕入れ価格は上がるけれど、売上は伸びることになります。

空港免税店にとっては円高と円安どちらがいいかとは一概に言えないのです。

次に一般的な企業にとって、円高円安それぞれのメリットデメリットを見てみましょう。

<円高のメリット>

○ 輸入価格が下がる。
○ これによって、物価が下がる。
○ 日本から海外に行く場合の旅行代金が安くなる。
○ 同様に海外留学の費用なども安くなる。

<円高のデメリット>

○ 輸出する際の価格が上がるため、売れにくくなる。
○ 輸出企業の利益が減る。
○ そのため企業は賃上げに慎重になる。
○ 株価も業績低迷で下がってくる。
○ 物価が下がりすぎてデフレに陥ると、さらに企業業績が悪化して、いわゆるデフレスパイラルになる。
○ 外貨建て資産の円換算価値が目減りする。

<円安のメリット>

○ 円が安いので輸出が増えて輸出企業が儲かる。
○ 外国人観光客が増えてインバウンド需要で潤う。
○ 株価も業績好調を受けて上がりやすくなる。
○ 賃上げにも応じる動きが広がる。
○ 外貨建て資産の円換算価値が上昇する。

<円安のデメリット>

○ ドル高のため輸入価格が上がる。
○ 物価もそれに連動して上がる。
○ 家計が苦しくなる。
○ 輸入企業は原材料コストの上昇で利益が減る。

<円高と円安どちらがいいのか>

このように、円高局面では輸入企業が儲かるけれど、輸出企業は苦しくなり、円安局面では輸入企業は苦しくなり、輸出企業が儲かります。

国民生活で見ると、円高では物価は下がるけれど、デフレになると景気が低迷して賃金が上がらず、円安では輸出は増えるけれど、物価が上昇して生活を圧迫してきます。

ついこの間まで、デフレに苦しみ、日銀はインフレ目標を公表するなどしてきましたが、今は行き過ぎたインフレに苦しんでいる状況です。

<これまでの動き>

1ドル360円の固定相場から変動相場制に移行して円高が進み、途中円高と円安を繰り返しながら2011年には1ドル76円台にまで上昇し、反転して現在では1ドル150円前後まで円安が進んでいます。

高度成長期で円が買われていたものが、日米金利差拡大や日本企業の成長力の鈍化などで円安に振れたのです。

輸出企業主導の経済から、海外への工場移転が進み、輸入に頼る部分も増えてきたため、円安が有利とはいえない状況となっているのです。

企業にとっては為替相場が安定している方が、経営計画も立てやすく、家計にとっても急激な値上げに苦しまないのです。

急激な変化ではなく、穏やかな相場、100円台の為替相場というのが理想なのかもしれません。

<ご注意ください>

円安のメリットのところで指摘した「外貨建て資産の円換算価値が上昇する」点について、気を付けていただきたい点を書いて終わりにさせていただきます。

現在外貨建て預金や投資信託は金利も高く円安で円換算価値も上昇しているため、金融機関で勧められるケースも増えていますが、そこには2つの落とし穴があります。

ひとつは現金化しようと思った際の為替相場が円高ドル安に触れていた場合、資産価値は大きく下がるということです。

もう一つは、その際の手数料はとても高くなっているということです。

金利が少々有利だというだけでは手数料で吹っ飛んでしまうこともあるのです。

ただでさえ投機的な資金も入ってきて大きく動く為替相場に資産の多くを預けるのは注意した方がいいと思います。

資産運用の基本について書いた記事もありますので、参考にしてください。

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