本来の意味と逆になった言葉たち
あなたは「役不足」と言う言葉を、“役目が重すぎる”時に使いますか? それとも“役目が軽すぎる”時に使いますか?
私は自分にとって荷が重い時に使っていましたが、実は本来の意味は、“役目が軽すぎる”時、“もっと重要な役がふさわしい時”に使う言葉のようです。
“分かったうえで、わざとやっている”として使われている「確信犯」という言葉も、本来は“正しいと信じてすること”の意味です。
真逆になっていますね。もっとあります。
「情けは人のためならず」というのは、“情けをかけるのは、その人のためにならない”というように思っていましたが、“その人のためだけでなく、自分のためにもなる”というような肯定的な意味でした。
「他力本願」は、“自分では何もしないで他人に頼ること”と思っていましたが、これは浄土宗の教義で、“阿弥陀仏の力にすがって成仏を願うこと”です。
「姑息」は、“卑怯とかずるい手段”として使っていますが、“一時しのぎ”の意味です。
「敷居が高い」は、“高級すぎて入りにくい”時によく使いますが、本来は“過去に迷惑をかけたなどで行きにくい”時に使うようです。
「失笑」は、“冷笑”とか“あきれて笑えない”ときに使いますが、本来は“思わず吹き出して笑ってしまう”ことのようです。
まだまだありますよ。
「さわり」というのは、“話の冒頭”の意味で使っていますが、本来は“話の要点”の意味です。
「しおどき」は、“引き際”と思ったら、“ベストタイミング”
「なし崩し」は、“曖昧なまま進めること”と思ったら、“少しずつ片付けていくこと”
これは間違える!
「雨模様」は、“雨が降っている”と思っていますが、実は“雨が降り出しそう”な時に使う言葉のようです。
「天地無用」は、“上下逆さまにしてもいい”のではなく、“上下逆にしてはダメ”ということです。間違ったら大変ですね。
若者言葉で意味が逆になったのもあります。
「やばい」は、本来“危険だ”とか、“まずい”時に使っていましたが、最近では、“すごい”とか、“最高!”と言う時にも使われます。
「キモい」は、“気持ち悪い”のかと思ったら、“異質で理解できない”時にも使うようです。
「黒歴史」は、“機動戦士ガンダムの用語で抹消された記録”のことだったそうですが、“過去の恥ずかしい経験”の意味で使われています。
「事故る」は、“交通事故などを起こす”以外に、“失敗する、やらかす”時に使われるようになりました。

ではなぜ、このように本来持っている意味と違う使われ方をするようになったのでしょう。
例えば、「役不足」や「確信犯」などは、その字の見た目から“役が足りない”“自分には難しい”と、“確信している”“わざとやっている”と誤解されやすいようになっています。
「姑息」は、発音がコソコソした感じに捉えられ、音の印象で意味がずれたようです。
「やばい」や「黒歴史」などは、時代と共に意味が飛躍していっている例です。
「事故る」などの比喩的な使われ方は、メディアなどで面白い言い回しやノリで使われ始めたものを多くの人が受け入れたケースです。
昔、ある言語学者が、「言葉は時代と共に進化する、間違った使われ方も、それが定着してくれば、その意味となる」と言っていたことを思い出します。
ですから、こうした使い方は、間違いではなく、意味が時代と共に変化、進化して、いつしかこれが正しい意味となるのですね。
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