店長と副店長の決定的な違い ~副店長が“やってはいけないこと”と店長への成長ステップ~
副店長という役職は、少し不思議な立場です。
スタッフから見れば管理職であり、
店長から見れば右腕であり、
会社から見れば次世代の店長候補でもあります。
しかし実際には、多くの副店長が「店長の補佐」という役割に意識を向けすぎるあまり、自らの成長の機会を逃してしまっています。
店長の指示を待つ。
店長の判断をサポートする。
店長がいないときだけ代理を務める。
もちろんそれらも副店長の大切な仕事です。
しかし、それだけでは店長にはなれません。
私は空港免税店で長年勤務し、これまで多くの店長や副店長の育成に携わってきました。
その中で強く感じたことがあります。
店長になれる人は、副店長時代から店長として考えている。
逆に、いつまでも副店長の視点のままでは、どれだけ仕事ができても店長への成長は難しいのです。
そのため私は、副店長たちによくこう言っていました。
「店長になったつもりで行動しなさい」
目の前の業務をこなすだけでなく、自分が店長だったらどう判断するかを考える。
売上が下がったらどう手を打つのか。
スタッフが辞めそうならどう対応するのか。
クレームが起きたらどう収束させるのか。
常に一段高い視点で物事を見ることを求めてきました。
そして店長になった人たちには、さらにこう伝えていました。
「空港責任者になったつもりで行動しなさい」
店長になった瞬間に成長が終わるわけではありません。
店舗だけを見ていては、優秀な店長にはなれません。
空港全体の動き、他店舗の状況、お客様の流れ、将来の変化まで考えられる人が、本当に強いリーダーになっていきます。
振り返ってみると、成長し続ける人には共通点がありました。
それは、常に一歩先の立場で考えていることです。
副店長は店長の視点で。
店長はその上の視点で。
だからこそ成長できるのです。
この記事では、店長と副店長の違いについて、役割や責任の違いだけでなく、見ている景色、求められる能力、考え方、そして心理的な違いまで掘り下げていきます。
さらに、副店長が店長へ成長するために何を意識し、何を身につけるべきかについても、私自身の経験を交えながらお伝えします。
もしあなたが今、副店長として働いているなら、この記事を読み終えたときに、これまでとは少し違う景色が見えているかもしれません。
<第1章 店長と副店長の違いとは何か>

「店長と副店長の違いは何ですか?」
そう聞かれたとき、多くの人はこう答えるでしょう。
「店長は責任者で、副店長はその補佐役です」
もちろん間違いではありません。
しかし、それだけでは本質を説明したことにはなりません。
なぜなら、実際の現場では副店長が店長と同じような仕事をしていることも少なくないからです。
スタッフ教育をする。
クレーム対応をする。
売場を管理する。
シフトを作成する。
売上を確認する。
店舗によっては店長が休みの日に店舗運営を任されることもあります。
仕事内容だけを見れば、店長と副店長の差はそれほど大きくないように見えるかもしれません。
では、本当の違いはどこにあるのでしょうか。
それは「最終責任を負うかどうか」です。
例えば売上目標を達成できなかったとします。
副店長も責任を感じるでしょう。
しかし最終的に会社から結果について説明を求められるのは店長です。
スタッフが退職した。
大きなクレームが発生した。
店舗運営に問題が起きた。
そのとき最後に責任を引き受けるのも店長です。
つまり店長とは、「最後に自分が責任を取る」と覚悟を決めている人なのです。
一方で副店長は、責任がないわけではありませんが、最終責任者ではありません。
ここに大きな違いがあります。
しかし私は、これまで多くの副店長を見てきて、もう一つ重要な違いがあると感じています。
それは責任そのものではなく、「責任に対する向き合い方」です。
成長が止まる副店長は、「店長が決めることだから」と考えます。
一方で成長する副店長は、「自分が店長ならどう判断するだろう」と考えます。
同じ出来事が起きても、見ている景色が違うのです。
売上が悪い日があったときも、「今日はお客様が少なかったですね」で終わる人もいれば、「自分が店長なら何を改善するだろう」と考える人もいます。
スタッフ同士のトラブルが起きたときも、「店長に報告しておこう」で終わる人もいれば、「自分ならどう解決するか」を考える人もいます。
この差は小さなようでいて、数年後には大きな差になります。
店長になる人は、店長になってから店長の考え方を身につけるのではありません。
副店長の時代から店長の視点で物事を考えているのです。
だからこそ私は、副店長たちにいつもこう伝えていました。
「自分が店長になったつもりで行動しなさい」
実際に店長になるかどうかは会社が決めることです。
しかし店長として考えることは、今日からでもできます。
むしろ、その習慣が身についている人ほど店長への道が近づいていくのです。
店長と副店長の違いは、役職名ではありません。
責任の大きさであり、物事を見る視点であり、未来に対する当事者意識なのです。
<第2章 店長と副店長の役割の違い>
店長と副店長の違いを考えるとき、多くの人は権限や責任の差に目を向けます。
もちろんそれも重要です。
しかし現場で働いていると、もう一つの大きな違いが見えてきます。
それは「何を見て仕事をしているか」です。
副店長は主に現場を動かす役割を担います。
スタッフが気持ちよく働けるようにする。
売場が整っているか確認する。
接客レベルを向上させる。
問題が起きたらすぐに対応する。
現場の最前線で店舗を支える存在です。
特に忙しい店舗では、副店長が実質的な現場リーダーとして動いていることも珍しくありません。
スタッフにとっては、店長よりも副店長のほうが身近な存在であることも多いでしょう。
一方で店長は、現場だけを見ているわけにはいきません。
売上目標の達成。
利益の確保。
人材育成。
離職防止。
本部との連携。
将来の人員計画。
店舗の方向性づくり。
店長は今日の店舗運営だけでなく、来月、半年後、一年後の店舗についても考えなければなりません。
たとえば売上が好調だったとします。
副店長は、「今日はよく売れましたね」と喜ぶかもしれません。
しかし店長は、「なぜ売れたのか」「来月も再現できるのか」「利益は十分確保できているのか」まで考えます。
逆に売上が悪かった場合も同じです。
副店長は現場で何が起きているかを確認します。
店長はその原因を分析し、改善策を考え、必要であれば組織や売場の仕組みそのものを変えようとします。
つまり、副店長は現場を最適化する人。
店長は店舗全体を最適化する人。
と言えるでしょう。
どちらが重要という話ではありません。
現場が強くなければ店舗は成り立ちません。
しかし方向性が間違っていれば、どれだけ現場が頑張っても成果は出ません。
店舗運営はよく船に例えられます。
副店長は乗組員をまとめながら船を前に進める存在です。
一方の店長は、目的地を決め、進路を考え、嵐を避けながら船全体を導く船長です。
どちらが欠けても船は目的地にたどり着けません。
そして副店長が店長を目指すのであれば、自分の担当業務だけでなく、店長が何を考えているのかを理解することが重要です。
なぜその判断をしたのか。
なぜその目標を設定したのか。
なぜそのスタッフ配置にしたのか。
店長の仕事を知ろうとする姿勢が、副店長を一段と成長させます。
優秀な副店長ほど、現場を見ながら店舗全体も見ています。
だから店長になったときに慌てることがありません。
すでに店長の視点で考える習慣が身についているからです。
店長と副店長の役割は違います。
しかし成長する副店長は、自分の役割を果たしながら、一歩先の店長の役割まで学ぼうとしています。
その積み重ねが、将来の大きな差となって表れるのです。
<第3章 店長と副店長の「見ている景色」の違い>
店長と副店長は同じ店舗で働いています。
同じ売場を見ています。
同じスタッフと接しています。
同じお客様を迎えています。
それなのに、見ている景色はまったく違います。
私は空港免税店で長年勤務し、多くの副店長や店長の育成に携わってきました。
その中で気づいたことがあります。
店長になれる人は、副店長の頃から店長と同じ景色を見ようとしているのです。
だから私は副店長たちによくこう言っていました。
「自分が店長になったつもりで行動しなさい」
最初は戸惑う人もいます。
「まだ副店長ですから」
「そこまで考える必要がありますか」
そんな反応も少なくありません。
しかし、まさにそこが成長の分かれ道なのです。
例えば、売上が目標に届かなかった日があるとします。
副店長は、「今日はお客様が少なかったですね」と考えます。
もちろん間違いではありません。
実際に来店客数が少なかったのかもしれません。
しかし店長はそこで思考を止めません。
なぜ少なかったのか。
事前に予測できなかったのか。
売場や接客に改善点はなかったのか。
来月同じ状況になったらどうするのか。
原因だけでなく、対策や再発防止まで考えます。
さらにその先まで見ています。
店舗運営とは、今日の結果だけを見ていては務まらないからです。
スタッフ教育も同じです。
副店長は、「このスタッフにもっと接客を教えなければ」と考えます。
一方で店長は、「半年後、このスタッフはどのレベルまで成長しているべきか」を考えます。
さらに、「将来のリーダー候補になれるだろうか」という視点も持っています。
つまり副店長は「今」を見ている。
店長は「今」と「未来」の両方を見ているのです。
もちろん副店長が未来を考えてはいけないという意味ではありません。
むしろ逆です。
店長になりたいのであれば、未来を見る習慣を身につけなければなりません。
私が育成してきた副店長の中でも、成長が早い人には共通点がありました。
それは、自分の仕事を終わらせることよりも、「店長ならどう考えるだろう」を考えていることです。
売上報告を見るときも、スタッフ配置を考えるときも、クレームが発生したときも、店長の立場ならどう判断するかを考える。
その積み重ねが、やがて店長としての思考力を育てていくのです。
そして私は店長になった人たちには、さらにこう伝えていました。
「今度は空港責任者になったつもりで行動しなさい」
店長になったからといって、店舗だけを見ていては成長が止まります。
空港全体の動きを見る。
他社の動向を見る。
お客様の流れを見る。
将来の変化を予測する。
一つ上の立場になったつもりで考えることで、視野はさらに広がります。
振り返ってみると、成長する人には共通の特徴があります。
それは、今の役職の仕事だけをしていないことです。
副店長は店長の視点で考える。
店長はさらに上の視点で考える。
常に一歩先の景色を見ようとしているのです。
だから成長できる。
だから次の役職を任される。
役職が人を成長させるのではありません。
一歩先の視点を持つことが、人を成長させるのです。
<第4章 副店長がやってはいけないこと>

私はこれまで多くの副店長を見てきました。
その中には店長になった人もいれば、何年経っても副店長のままの人もいました。
もちろん会社の事情やポストの空き状況もあります。
しかし、それだけでは説明できない差があることも事実です。
店長になれない副店長には、いくつかの共通点があります。
本人は一生懸命働いているのです。
仕事もできる。
スタッフからの信頼もある。
それなのになぜか店長になれない。
その理由は、知らず知らずのうちに成長を止める行動をしているからです。
ここでは、副店長がやってはいけない代表的なことを紹介します。
(指示待ちになる)
最も多いのがこれ、「指示待ちになること」です。
「店長に確認します」
「店長の指示を待ちます」
もちろん勝手な判断をしてはいけない場面もあります。
しかし、何でも店長任せにしていると、自分で考える力は育ちません。
重要なのは、「私はこう考えますが、いかがでしょうか」と自分なりの答えを持つことです。
店長は正解を言う人ではありません。
考える過程を学ぶ相手です。
店長になる人は、指示を待つ人ではなく、自ら考えて提案する人です。
(店長の批評家になる)
副店長として経験を積むと、店長の判断が見えるようになります。
すると、「あの判断は違うと思う」「自分ならこうする」と思うことも出てくるでしょう。
それ自体は悪いことではありません。
問題は、そこで思考を止めてしまうことです。
優秀な副店長は、「なぜ店長はその判断をしたのだろう」と考えます。
店長には、副店長には見えていない情報があります。
本部とのやり取り。
予算。
人事計画。
会社方針。
様々な事情を踏まえて判断している場合もあります。
店長を批判するだけでは成長しません。
店長の思考を理解しようとして初めて成長が始まるのです。
(現場だけを見る)
副店長は現場責任者としての役割が大きいため、どうしても目の前のことに集中しがちです。
売場。
接客。
シフト。
スタッフ対応。
もちろん大切な仕事です。
しかし、それだけでは店長にはなれません。
店長が見ているのはもっと広い世界です。
売上推移。
利益。
人員計画。
離職率。
競合動向。
将来の店舗運営。
もし副店長のあなたが数字に興味を持っていないなら、それは大きな機会損失かもしれません。
店長とは経営者に最も近い現場職です。
現場を見るだけではなく、店舗全体を見る力が求められるのです。
(問題を報告して終わる)
副店長によく見られるのが、「問題がありました」で仕事が終わるケースです。
もちろん報告は重要です。
しかし店長が期待しているのは報告だけではありません。
問題の原因は何か。
どんな対策が考えられるか。
再発防止の方法は何か。
そこまで考えた上で相談してほしいのです。
例えば、「スタッフ間でトラブルがありました」だけではなく、「原因は業務分担の認識違いだと思われます。私はこう対応しようと考えています」
とまで言えれば、店長の見方は大きく変わります。
問題発見者ではなく、問題解決者になることが重要なのです。
(今の役職に満足する)
これは意外に思われるかもしれません。
副店長として評価されるようになると、仕事にも慣れます。
スタッフから頼られる。
店長から信頼される。
居心地も良い。
しかし成長は、居心地の良い場所では起こりません。
今の役職で求められていることだけをやっていると、成長はそこで止まります。
成長する人は常に一歩先を見ています。
副店長なら店長を。
店長ならその上を。
自分の役割を超えて考える習慣があるのです。
私が副店長たちに繰り返し伝えていたのも同じことでした。
「店長になったつもりで行動しなさい」
店長になる人は、店長になってから店長らしくなるのではありません。
副店長の時代から店長として考え、行動しています。
だから店長になったときも自然にその役割を果たせるのです。
副店長がやってはいけないことは、一言で言えば、「副店長の仕事だけをすること」です。
今の役職の枠の中だけで考えていては、次のステージは見えてきません。
成長する人は、常に一歩先の景色を見ながら仕事をしているのです。
<第5章 店長に求められる能力とは>

副店長として働いていると、「店長は大変そうだな」と思うことがあるかもしれません。
実際、その通りです。
店舗の売上。
スタッフの育成。
クレーム対応。
本部対応。
人員不足。
様々な課題が店長のもとに集まってきます。
しかし、店長に求められる能力は単純に「仕事ができること」ではありません。
接客が上手だから店長になれるわけではありません。
売場づくりが得意だから店長になれるわけでもありません。
店長に必要なのは、店舗全体を成長させる力です。
そのために欠かせない能力があります。
(判断力)
店長の仕事は決断の連続です。
人員配置をどうするか。
売場をどう変更するか。
クレームにどう対応するか。
スタッフをどう育成するか。
毎日のように判断を求められます。
しかも正解がないことも少なくありません。
どちらを選んでもメリットとデメリットがある。
そんな状況で決断しなければならないのです。
副店長のうちは店長に相談できます。
しかし店長になると、最後に決めるのは自分です。
だからこそ判断力が必要なのです。
(責任を引き受ける力)
店長は責任者です。
良い結果が出たときはスタッフのおかげ。
悪い結果が出たときは自分の責任。
この覚悟が求められます。
実際には、自分が直接関わっていない問題が発生することもあります。
それでも、「私の責任ではありません」では済みません。
店舗で起きたことは店長の責任です。
この責任を受け止める覚悟が、店長には必要です。
(人を育てる力)
店長の成果は、自分一人の力では限界があります。
どれだけ優秀な店長でも、一人で店舗を運営することはできません。
だからこそ、人を育てることが重要になります。
スタッフが成長する。
副店長が成長する。
次のリーダーが育つ。
その積み重ねが強い店舗をつくります。
優秀な店長ほど、自分が活躍するよりも周囲を活躍させることを考えています。
(数字を見る力)
副店長の頃は、「今日は忙しかった」「今日は暇だった」という感覚で仕事をしていても、大きな問題にはならないかもしれません。
しかし店長は感覚だけで判断できません。
売上。
客数。
客単価。
利益。
購買率。
様々な数字を見ながら店舗を運営します。
数字は店舗の健康診断のようなものです。
問題が起きているのか。
改善しているのか。
何が原因なのか。
数字は多くのことを教えてくれます。
店長には数字を読む力が欠かせません。
(問題解決力)
店舗運営に問題はつきものです。
スタッフ不足。
離職。
クレーム。
売上低迷。
商品欠品。
トラブルがゼロになることはありません。
だから店長は問題を避けるのではなく、解決する力を身につける必要があります。
そして重要なのは、問題が起きてから対応するだけではなく、「問題が起きる前に気づくこと」です。
優秀な店長ほど、問題を未然に防ぐ力に優れています。
(未来を見る力)
私はこれが最も重要な能力だと思っています。
なぜなら、これまで紹介したすべての能力を支えているからです。
売上が下がっている。
なぜだろう。
来月はどうなるだろう。
スタッフが疲れている。
このままでは退職するかもしれない。
お客様の動きが変わっている。
半年後には何が起きるだろう。
未来を考える人は先手を打てます。
未来を考えない人は、問題が起きてから慌てます。
店長の仕事は、今日を乗り切ることではありません。
明日を準備することです。
来月を準備することです。
そして半年後、一年後の店舗をつくることです。
だから私は、副店長たちにいつもこう伝えていました。
「一歩先を見なさい」
目の前の業務だけを見るのではなく、その先を見る。
今の問題だけを見るのではなく、その先に起こることを見る。
その習慣が身についた人ほど、大きく成長していきました。
店長に求められる能力は数多くあります。
しかし、それらをまとめると一つの言葉に集約できます。
それは、『店舗の未来に責任を持つ力』です。
店長とは、今日の責任者ではありません。
店舗の未来を預かる責任者なのです。
<第6章 店長になれる副店長の共通点>
これまで私は多くの副店長と仕事をしてきました。
その中には店長になった人もいれば、残念ながら副店長のまま成長が止まってしまった人もいました。
その違いはどこにあったのでしょうか。
接客力でしょうか。
売場づくりのセンスでしょうか。
経験年数でしょうか。
もちろんそれらも無関係ではありません。
しかし私の経験から言えば、店長になれる副店長にはもっと共通した特徴があります。
それは、「今の役職より一歩先の視点で仕事をしている」ということです。
(店長になってから店長になるのでは遅い)
多くの人は、「店長になったら店長の仕事を覚えよう」と考えます。
しかし実際には逆です。
店長になる人は、副店長の頃から店長の仕事を学んでいます。
売上が悪いとき、店長ならどう考えるか。
スタッフが辞めそうなとき、店長ならどう動くか。
クレームが発生したとき、店長ならどう判断するか。
そうした思考を日頃から繰り返しています。
だから店長に昇格したときも、大きく戸惑うことがありません。
すでに店長の視点で考える習慣が身についているからです。
私は副店長たちに何度もこう伝えてきました。
「店長になったつもりで行動しなさい」
これは精神論ではありません。
成長するための具体的な方法です。
今の役職の仕事だけをしていても、その役職の能力しか身につきません。
一つ上の立場で考えることで、初めて次のステージに必要な力が身につくのです。
(自分の担当だけで満足しない)
成長する副店長は、自分の担当業務だけに関心を持ちません。
例えばスタッフ教育を担当している人なら、教育だけを考えるのではなく、「この教育が売上にどう影響するのか」まで考えます。
売場づくりを担当している人なら、見栄えだけではなく、「利益につながる売場になっているか」を考えます。
つまり、自分の仕事を店舗全体の視点で捉えているのです。
逆に成長が止まる人は、「自分の仕事はやりました」で終わってしまいます。
それでは店長にはなれません。
店長は店舗全体の責任者だからです。
(問題を見つける人ではなく解決する人になる)
店舗には毎日のように問題が発生します。
人手不足。
クレーム。
売上低迷。
スタッフ間のトラブル。
問題を見つけることは誰でもできます。
しかし店長になれる人は、その先を考えます。
どう解決するのか。
どう再発を防ぐのか。
どんな支援が必要なのか。
常に改善策まで考えているのです。
店長が求めているのは報告者ではありません。
一緒に店舗を良くしてくれるパートナーです。
(視野が広い人ほど成長する)
私が店長になった人たちに伝えていた言葉があります。
「今度は空港責任者になったつもりで行動しなさい」
店長になった瞬間に成長が終わるわけではありません。
むしろそこからが本当のスタートです。
店舗だけを見ていては、その店舗のことしか分かりません。
しかし空港全体を見るようになると、
お客様の流れが見える。
他店舗の強みが見える。
業界の変化が見える。
未来の課題が見える。
視野が広がるほど判断力も高まります。
これは副店長にも同じことが言えます。
副店長なら店長の視点を持つ。
店長ならさらに上の視点を持つ。
成長する人は、常に自分の立場より一段高い場所から物事を見ているのです。
(店長になれる人は「当事者」である)
最後に、店長になれる副店長に共通する最大の特徴を挙げるなら、
それは当事者意識です。
売上が悪い。
会社のせいではない。
店長のせいでもない。
まず自分にできることは何かを考える。
スタッフが育たない。
環境のせいにしない。
自分の関わり方を見直してみる。
問題を他人事にしないのです。
店長とは肩書ではありません。
当事者意識を持った人のことです。
だからこそ店長になれる副店長は、副店長時代からすでに店長としての考え方を持っています。
そして店長になった後も、さらにその先を見ています。
振り返れば、私が育ててきた店長たちもそうでした。
副店長の頃から店長の視点を持ち、店長になった後は空港責任者の視点を持とうとしていました。
役職が上がったから視野が広がったのではありません。
視野を広げ続けたから、役職が上がったのです。
成長する人は、常に一歩先を見ています。
それこそが、店長になれる副店長に共通する最大の特徴なのです。
<第7章 今日からできる店長への成長ステップ>

ここまで、店長と副店長の違いについて様々な角度から見てきました。
責任の違い。
役割の違い。
見ている景色の違い。
求められる能力の違い。
そして、店長になれる副店長に共通する考え方についてもお話ししてきました。
では、実際に副店長が店長を目指すためには何をすればよいのでしょうか。
特別な資格が必要なわけではありません。
急に能力が身につくわけでもありません。
大切なのは、日々の仕事の中で少しずつ視点を変えていくことです。
ここでは、私が副店長たちに伝えてきた具体的な成長ステップをご紹介します。
(「自分が店長ならどうするか」を毎日考える)
最初に取り組んでほしいのは、これです。
何か問題が起きたとき、何か判断が必要になったとき、まず自分自身に問いかけてみてください。
「自分が店長ならどうするだろうか」
売上が悪い。
スタッフ同士がもめている。
クレームが発生した。
人員が不足している。
そんなとき、すぐに店長に答えを求めるのではなく、自分なりの考えを持つのです。
もちろん最初から正解を出す必要はありません。
大切なのは考える習慣です。
この積み重ねが、店長としての思考力を育てていきます。
(店長の仕事を観察する)
副店長の仕事は見えやすいものです。
しかし店長の仕事は意外と見えません。
会議に出る。
本部とやり取りする。
数字を分析する。
人員計画を考える。
スタッフには見えないところで多くの仕事をしています。
だからこそ、積極的に店長を観察してみてください。
なぜその判断をしたのか。
なぜその優先順位にしたのか。
なぜそのスタッフ配置にしたのか。
判断の背景を理解しようとすることで、自分の視野も広がっていきます。
(数字と仲良くなる)
副店長の中には数字が苦手な人もいます。
しかし店長になるのであれば避けて通れません。
売上。
客数。
客単価。
購買率。
利益。
これらは単なる数字ではありません。
店舗の状態を教えてくれる大切な情報です。
今日はなぜ売れたのか。
なぜ売れなかったのか。
数字を見る習慣を身につけることで、感覚だけでは見えない店舗の課題が見えてきます。
優秀な店長ほど数字を見ています。
そして数字の裏側にある現場の動きを理解しています。
(問題が起きる前に考える)
多くの人は問題が起きてから動きます。
しかし店長は問題が起きる前に動きます。
例えば、最近スタッフの表情が暗い。欠勤が増えている。売上が少しずつ下がっている。
そんな小さな変化に気づきます。
そして、「このままだとどうなるか」を考えます。
問題が起きる前に対策を打てれば、被害は最小限で済みます。
これは店長に求められる非常に重要な能力です。
ぜひ普段から、「この先どうなるだろう」と考える癖をつけてください。
(自分の担当以外にも興味を持つ)
成長が早い副店長は、自分の担当業務だけで満足しません。
教育担当なら数字にも興味を持つ。
売場担当なら採用にも興味を持つ。
シフト担当なら利益にも興味を持つ。
店舗運営はすべてがつながっています。
一部分だけを理解していても、店長の仕事は務まりません。
店舗全体を見る習慣を身につけることで、自然と店長視点が育っていきます。
(常に一歩先を見る)
最後に、私が長年にわたって副店長や店長たちに伝えてきた言葉をお伝えします。
「常に一歩先を見なさい」
副店長なら店長の視点を持つ。
店長なら空港責任者の視点を持つ。
空港責任者ならさらにその先を考える。
成長する人は、今いる場所だけを見ていません。
常に次の景色を見ています。
だから準備ができる。
だから成長できる。
だから新しい役割を任されるのです。
店長になるための特別な近道はありません。
しかし確実な方法はあります。
それは、今日から店長の視点で考え始めることです。
副店長という役職の中に留まるのではなく、一歩先の景色を見る。
その積み重ねが、やがてあなたを店長へと成長させていくのです。
<おわりに>
店長と副店長の違いについて、責任、役割、視点、能力、考え方など様々な角度からお話ししてきました。
この記事を通して、私が最もお伝えしたかったことがあります。
それは、店長と副店長を分けるのは役職ではなく、視点であるということです。
もちろん、店長には権限があります。
責任もあります。
求められる能力も増えます。
しかし、それらは店長になった瞬間に突然身につくものではありません。
店長になれる人は、副店長の頃から店長の視点で物事を考えています。
だから店長になったときに、その役割を果たすことができるのです。
私はこれまで多くの副店長や店長の育成に関わってきました。
その中で感じたことは、成長する人ほど常に今の役職より一歩先を見ているということです。
副店長は店長の視点で考える。
店長はさらに上の視点で考える。
視点を変えることで見える景色が変わり、
見える景色が変わることで判断が変わり、
判断が変わることで成長が始まるからです。
役職が上がったから成長するのではありません。
成長したから役職が上がるのです。
今、あなたが副店長であるなら、明日からぜひ一つだけ意識してみてください。
何か問題が起きたとき。
何か判断が必要になったとき。
何か壁にぶつかったとき。
自分自身に問いかけてみてください。
「もし私が店長だったら、どう考え、どう行動するだろうか」
その問いを持ち続けることが、店長への第一歩になります。
そして、その積み重ねがいつの日か、あなた自身を成長させ、次のステージへ導いてくれるはずです。
店舗運営に終わりはありません。
人材育成にも終わりはありません。
成長にも終わりはありません。
だからこそ、これからも一歩先の景色を見ながら歩んでいきましょう。
その先に、今はまだ見えていない新しい景色が待っているはずです。
同様のことを書いた記事もあります。よかったらご覧ください。
お読みいただきありがとうございます。
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