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黒字リストラの本当の狙い

ひと昔前までは、企業が業績悪化で赤字となった時に、固定費削減のためにやむなくリストラに動くということでしたが、最近は様子が違ってきています。
業績的には好調で、過去最高の利益だったりするにもかかわらず、リストラを敢行する企業が増えてきているのです。

記憶に新しいところでは、パナソニックが1万人規模で実施したり、日本通運も300人規模で実施しています。又人数は定めずに、53歳以上の社員対象に実施したのが三菱電機、協和キリンに至っては中核を担うはずの40歳以上を対象に実施しています。

東京商工リサーチなどによると、「早期希望退職募集」を実施した上場企業のうち、約6割が黒字だと言います。

少子高齢化で人手不足が叫ばれる中、敢えて人員削減に踏み切る企業に、いったい何が起こっているのでしょう。


<企業の戦略的意図>

具体的には、大きく3つの狙いがあると思います。

(構造改革)

黒字リストラは、赤字のリストラのような単なる経費削減ではなく、非効率な部門や重複する業務など、企業の構造そのものを見直し、より効率的な運営を目指すための、長期的・戦略的取組なのです。

最近の技術革新、AIの目覚ましい進化など、企業を取り巻く市場の変化に対応できる体制を築くため、より成長性の高い分野の新しいスキルを身につけた人材へのシフトを図りたいとするものです。

(世代交代)

賃金の高い高年齢層を削減し、年功序列型の組織を実力主義・成果主義へ転換しようとする動きです。

これにより社員の若返りやスキルを持った人材へのシフトを行い、より柔軟な組織を目指そうとしているのです。

(固定費削減)

株主や投資家からの利益追求要求にもこたえる必要から、年功序列で年々増大する人件費を抑え、余分なコストを削る合理化が行われるのです。

人件費は経費の中でも非常に大きな固定費となるため、コスト削減の効果が大きく、真っ先に目を付けられるのです。

(まとめ)

将来の業績悪化の芽を摘むために、赤字に陥る前の黒字の段階で、先手を打つ形で行おうとしているのです。

目先の短期的利益追求だけでなく、企業の将来にわたる継続のため、中長期的に収益を上げ続けるための成長戦略としての判断と言うわけです。

(黒字リストラの抱える問題点)

黒字リストラは、企業の生き残りをかけた戦略だと言いますが、それには大きなリスクを抱えています。

● 業績好調なのにリストラされることで、将来的な業績不安が高まり、士気の低下を招き、かえって生産性を落とすことになりかねません。

● 労使間のトラブルが頻発することもあるでしょう。

● そして何より深刻な懸念は、黒字リストラを行って真っ先に手を挙げて出ていくのは、優秀な社員ということです。
中高年でも能力や経験の豊富な人材はたくさんいます。
こうした独自のノウハウが失われてしまうことは、企業にとって短期的な利益以上の将来にわたる大きな損失となる可能性があるのです。

以前の記事経費削減のところでも書きましたが、人件費削減に手をつけるのは最後の最後にしなければいけないのです。

<リストラを告げられたらどうすればいいか>

ココからは、実際に会社からリストラを言われたらどうしたらいいかを考えてみましょう。事前に考えておくことで自分を守ることにもなります。

① 突然言われて、それまで思ってもみなかったことに大きなショックを受けることでしょう。
上司や会社への怒りや将来の不安といった様々な感情が、一気に、しかも強く湧き出てきます。当然です。

しかし焦ってはいけません。まずは2~3日心を落ち着かせることに専念しましょう。

「これは自分の能力が低いと否定されたわけではなく、会社の構造的組織改革の一部なのだ」と捉えて、自分を責めて落ち込まないようにすることです。

② 告げられた内容を冷静に確認しましょう。

整理解雇なのか希望退職なのか早期退職なのか、
退職金の上乗せはどのくらいなのか、
いつ辞めることになるのか、
有給は使えるのか、
社会保障はどうなるのか、
再就職の支援はあるのかなど、
文書があればじっくり確認し検討してみることです。

③ リストラに応じるのか、残るのかをシミュレーションしてみるといいです。

リストラの提案を蹴って残留した場合の年収やポストはどうなっていくのか、
嫌がらせがあっても耐えられるのか、
転職した場合の年収の見込みはどのくらいになるのか、
家族はどうなるのか、
貯金は足りるのかなど、
出来るだけ具体的に数値化などもしてみて比較検討してみることです。

④ 労基署や社労士、ハローワークなど専門機関に相談してみるのもいいでしょう。
特に不当な退職強要がある場合は早めに行くべきです。

⑤ リストラに応じる場合は失業保険などの手続きのため、すぐにハローワークに行くことになります。

⑥ 再就職の支援が受けられる場合は、積極的に利用するといいでしょう。

⑦ そのために、自分ができる仕事、得意分野、好きなことなどを全て書き出しておくと役立ちます。

⑧ 紹介などを得るためにも、普段から社内外での人とのつながりを大切にして、人脈を作っておくことです。

⑨ 今の会社と同じ業種の会社に転職するのか、
全く違う職種にチャレンジするのか、
或いは独立して起業するのか、
よく考えなければいけません。

いずれの場合も全く新しい人生がそこからスタートするのです。
飛躍のチャンスとなるかもしれないのです。
気持ちを前向きにして新しいことを学ぶ喜びを味わえるようにしましょう。

⑩ この時期は強いストレスがかかるでしょう。
散歩したり、スポーツしたり、規則正しい生活を心掛けるなどで心を安定させ、ひどくなるようなら躊躇せずにカウンセリングなどを受けることも有効です。

<働く側の生き残り戦略>

まず大切なことは、リストラ対象にならないようにすることですが、前述のように、能力があっても企業戦略に合わなければ外される可能性があります。

そのための準備としては、

① 転職サイトなどに登録してみて、自分のスキルや職歴などの情報を入力し、平均的な年収や求人動向を把握しておきます。

② 日々の成果を記録に残しておくことです。

上司との面談や評価の際に利用して、好印象を与えることができます。
アピール上手になっておくことです。
又、これは履歴書を書く時にも役立ちます。

③ 生活費を半年分くらい貯金しておくことをお勧めします。

突然言われてにっちもさっちもいかなくなることがないようにしておくのです。心の余裕にもつながります。

④ 日ごろから自分のスキルアップを怠らないようにしておくべきです。

AIには出来ないスキルとか、AIを使いこなすスキルとかがあれば、強みになります。

⑤ 先ほどもありましたが、信頼できる人間関係を築いておくと、仕事を紹介し合うことができるようになります。

⑥ 副業など複数の収入減を持つことも視野に入れておくと、より安定してくるでしょう。

⑦ 強い人材になると、会社に選ばれる人材になることができます。

自分で考え」、「自分で学び」、「自分で働ける力」を日ごろから養っておくことが求められます。

以前の記事の「自分で考える力を養うには」なども参考にして自分の人生設計を行ってください。

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