裏切りの仕組み
「しまった!裏切られた!」と、地団駄を踏んだことはありませんか?
あまり経験したくないことですが、人生の中で、一度や二度は出くわすことがあるかもしれません。
海外では、イエスキリストの十二使徒だったユダによる裏切りによりイエスキリストが処刑されたことが有名です。
日本でも、明智光秀が裏切って主君である織田信長を本能寺で襲撃した「本能寺の変」が有名ですね。
ビジネスシーンで言うと、部下や上司に手柄を横取りされたり、逆にミスを押し付けられたり、仲間だと思っていたのに、足を引っ張られたりすることがあります。
今日はこうした裏切りについて色々と考察していきます。
<裏切りとは>
裏切りとは、
「味方だと思っていたのに、自分たちを捨てて敵方につく」、
「約束・信義・期待に背く」、
「『相手はこう動くはずだ』という期待や合意を破る」、
といった行動のことです。
相手に対して、「こうであってほしい」という期待に相手が背いたときに裏切られたと感じ、怒りや憎悪を抱くのです。
はじめからそういった期待がなければ、裏切られたとは思わないからです。
裏切りは、
「もう誰も信じられない」という不信感を生み、
「なぜあの人を信じたのか」、
「自分には人を見る目がないのか」、
といった自分自身への信頼さえも揺らぐというダブルパンチに見舞われるのです。
よく、「裏切り」と「寝返り」が混同されますが、寝返りが「今」立場を変えるのに対し、裏切りは実は「すでに」関係が断たれていたことが発覚するということです。
裏切りがわかった時、信じていた過去の時間も意味を持たなくなり、強い精神的ショックを受けるのです。

<裏切りはなぜ起こるのか>
人は「自分の利益」と「他の人や組織の利益」を天秤にかけています。環境が変わり、裏切ることで自分の利益が大きくなる場合です。「信頼を守って得られる利益」よりも、「裏切って得られる利益」の方が大きいと判断したということです。
相手との意思疎通が不足していると、誤解や不満がつのり、関係がこじれて裏切りにつながります。
相手への不満が蓄積してくると、次第に相手を困らせたいという負の感情、つまり復讐のような感情が芽生えて裏切り行為に走るのです。
また、相手が裏切るのではないかという恐怖から、先手を打ってこちらから裏切るということもあります。自分を守るために相手を犠牲にするということです。
裏切られたと思っても、相手は「そんな約束していない」と考えるような認識のズレもあります。
自分が相手の知らない情報を握っていると、その情報を自分の利益のためだけに使って相手を出し抜きたくなる時があります。
相手の感情や立場を理解するという能力が低いと、相手の痛みが分からずに裏切りに及びやすくなります。
まれにいるサイコパスのような、共感力が低く、他者を道具として利用することに全く抵抗のない人も裏切りを繰り返します。
親子関係や上司と部下の関係など、依存度が強く相手を切れない関係だと、そこにつけ込む形で裏切りが起こることがあります。
裏切る側も、「自分が生き残るために仕方なかった」、「自分の幸せのためにこうするしかなかった」、「やむを得ない選択だった」、「みんなやっていることだ」、「相手も悪いんだ」などと言って自分を正当化しようとします。
<裏切りが起きる仕組み>
裏切りのプロセスは、
相手を信頼し、期待する。
「この人は大丈夫だ」と、疑うことをやめる。
「あの人がこんなことをするはずがない」、「この違和感は気のせいだ」と、NOをいうラインが少しずつ後退していく。
あるタイミングで、信頼を守ることよりも自分の利益を守ることの方が大事だという瞬間が来る。
裏切られた側は、「最初から騙されていたのか」と過去を振り返り、裏切った側は、「自分も被害者だ」、「仕方なかった」と自己正当化する。
そして関係修復は難しくなっていく。
というものです。
また、結構有名なようですが、ゲーム理論に「囚人のジレンマ」というものがあります。
協力すると双方にメリットがある。
しかし片方が裏切れば、その人が大きく得をする。
お互いに疑うと協力が崩壊する。
というものです。つまり、人間関係は常「信頼するか」、「裏切るか」の選択を繰り返しているということです。
<裏切りを防ぐことはできるのか>
裏切りを完全に防ぐことは不可能です。
人間には自由意思があり、状況は刻々と変化しているからです。
しかし、可能な限り抑え込むことはできます。
「裏切れば評判が落ち、二度とコミュニティに戻れなくなる」というような、裏切りで得られる利益よりも失う損失の方が大きい状況を作ることです。
「今裏切ったら、あとで自分が損をする」と思わせることです。長期的関係性や共通の目的を常に意識させることで、短期的な裏切りのメリットをなくします。
「この人と協力し続けることが得策だ」と思い続けている限り、裏切りは起きません。相手のニーズを把握し、メリットを提供し続けることです。
過去の行動履歴を調べ、何度も裏切りを繰り返しているようなら、また裏切る可能性大です。
暗黙の期待ほど裏切りに遭いやすいので、認識のズレを防ぐためにも、「浮気は絶対にするな」とか、「お金の貸し借りのルールはこうしよう」というように、裏切りのラインを具体的に言葉にしておくことです。
「本当は協力したかったけど、相談できなかったので仕方なく裏切る形になってしまった」と言われないように、弱味を見せ合えたり、ミスを報告しても許容される環境を作ることで、隠し事をなくします。
どんな小さな違和感も無視せず、質問したり確認したり、不安や不快感をはっきり伝えたりして、誤解を修復し、信頼関係を維持します。日常のやり取りが重要です。
少し寂しい気もしますが、相手に期待しすぎないことも大きいです。「状況次第で人間は変わるものだ」と認識し、代替案を持つことや、複数のネットワークを持つことでダメージを最小限にすることができます。
「信用」と「信頼」を混同すると裏切られやすくなります。信用(CREDIT)は能力ベースで、「仕事ができる」、「約束を守る」、「実績がある」などです。信頼(TRUST)は人間性ベースで、「誠実だ」、「裏切らない」、「思いやりがある」などです。この信用と信頼を混同して同じように思ってしまうと、「仕事ができる人」や「話が上手い人」を信頼してしまうのです。詐欺師の手口と同じでとても危険です。信用できる人に仕事を任せ、信頼できる人に心を開く、というように分けて考えるべきなのです。信用も信頼も同時に得たいものですね。
職場にいる裏切りやすい人物のサインは、
話がコロコロ変わる。
都合が悪いと黙り込むか逆に攻撃してくる。
他人の悪口が多い。
約束に対する優先順位が低い。
被害者ポジションをとる。
<裏切られてしまったら>
裏切られてしまったら、感情だけで判断せず、事実を客観的に整理し、なぜ起きたのかを冷静に分析します。
関係性は再発するかどうかで判断する必要があります。
一度きりなのか繰り返しそうなのかが重要です。
その裏切りが、認識のズレによるものなど軽いものなら、話し合いで改善する余地があります。
自分の利益のためなら、一度距離をおいた方がいいかもしれません。
そして嘘など意図的な悪意のあるものなら、その関係はきっぱりと絶った方がいいでしょう。
関係修復は、それまでの信頼関係が長いほど回復しやすいようです。
それには、裏切った側が、言い訳よりも何を壊したのかを理解し、透明性を示し、再発防止を行動で証明することが求められます。
裏切られた側も、「許すかどうか」と、「再び信頼するかどうか」を分けて考えることです。
感情の整理と信頼の再構築は別物なのです。
<まとめ>

裏切りに於いて、裏切られた側は深い傷を負いますが、それは「相手が信頼に値しない人物だ」という重要な情報を得たということでもあります。
裏切りを防ぐために、過剰に疑心暗鬼になれば、逆に協力関係にひびが入り、大きなロスにつながりかねません。
重要なことは、「信頼はするが、検証は怠らない」という姿勢です。
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