愛の自給自足と、二度目のアスパラ
旅行記の途中ですが、#なんのはなしです家
私も参加させてください♡
以下、よろしくお願いします。
幸せで愛溢れる家族という「正解」を追い求めた日々
結婚して妻となり、母となる。それは人生において得難く尊い経験だった。そこには確かな幸せがあった。しかし同時に、我が身を削り続けているような感覚を抱えることも多かった。
なぜ、あんなに苦しかったのか。今なら分かる。私は、自分の中で勝手に作り上げた「幸せな家族像」や「理想の妻・母像」という幻影に自らを縛りつけていた。その奥で「愛されたい」と叫んでいた。
「正解さえ出せば愛される」そう信じて疑わなかった私は、心の器がカラカラな時も、我慢してでも愛を注ぐポーズをし続けた。今ここにある素直な気持ちを大切にするよりも、「理想像」のほうに目を奪われ、「本当の自分」を抑え込んで愛されようと無理をした。
私の中の良い母・良い妻は、自分だけが楽しむためにお金を使うことを控え、隠して大っぴらにはしない。良い母は怒らないし、良い妻は夫に歯向かわずに自分を抑えて合わせる。怒らせないように機嫌を取り、自分を削って我慢し、家族の円満を目指す。
しかし、本当は自分を削っているから心はとげとげで、ハリネズミのようだった。少しでも計画が狂い、家族が期待通りの反応を見せないと、「こんなに頑張ってるのに正解がもらえない」と怒りが押し寄せ、深い悲しみが私を襲った。円満とは程遠い状態になった。どうして頑張っているのに愛されないのか、うまくいかないのか分からなかった。
「愛の自給自足」を始めたとき
そんな私が、愛されたいと頑張るのをやめ、他人の気まぐれな正解に合わせるのを諦めた。愛は外から調達しなくても、自給できる。自分の本当の気持ちを世界で一番大事にすると決めた。
行きたい場所に行き、やりたいことをする。少しずつ自分自身に「自由」の許可証を出していった。
すると、不思議なことが起きた。自分を大切にできるようになるにつれ、咎められないどころか尊重されるようになり、「分かってもらいたい」という執着が消えた。自分の気持ちに素直に自由に生きても大丈夫。自分を愛していれば愛される。その実績が少しずつ積み上がり、安心がもたらされた。
「毒親はイベントの楽しい雰囲気をぶち壊す」というが、私はその典型だった。「正解」を出そうとして「失敗」した瞬間、無性に腹が立って、一気に幸せとは程遠い状態にした。
しかし、今年の家族旅行は、いつもとは違ったのだ。
勇気を出して席を立ち、本音に辿り着いた
久しぶりの家族旅行。京都の錦市場はアーケード街にお店がひしめき、とても活気のある場所だが、夕方から閉まり始めるという。その時すでに十七時を回っていたが、行ってみると煌々と明かりを灯してほとんどのお店が開いていて歓喜した。気持ちが高まる。これが京都の台所か。
高校生の子どもたちは抹茶のいちご大福、大人は一杯百円の日本酒を持ってイートインし、おつまみを頼んだ。子どもは大福をすぐに食べ終わったので、二人で散歩してきていいよと送り出した。
その時、私はアスパラ焼きを注文したが、日本酒は飲み終えていた。もう一杯を頼むか一瞬迷った末、「ちょっと気がかりだから私も子どもたちと出かけてきていい?」と勇気を出して確認した。夫は一人にされることに驚いていたが、「アスパラよろしくお願いします」と、私は静かに、なるべく丁寧に席を立った。
歩きながら、だんだん気付いていったのは、「子どもが気がかりで」などというのは子どもを盾にした狡い言い訳であって、とにかく私はお店が閉まってしまう前に錦市場の賑わいを肌で感じて歩きたかった。心の底にはそんな気持ちが沈んでいたようだ。顔色を伺って我慢する自分を脱し、勇気を出して席を立ったからこそ、本音に辿り着いた。
子どもたちに追いつくと、かなり驚いていた。
「なぜ父を置いてきた?ほんと、何やってんの?」
険悪な雰囲気になるのを心配しているようだった。今までどんなに気苦労を掛けてきたんだろう。ごめんよ。
謝りつつも、私の目線は「何食べようかな」しか考えてない感じで泳いでいた。抹茶コロッケだけはナイって子どもが言ってたのに、記念に頼んでみた。やりたい放題だ。
合流した夫は、意外にも穏やかだった。その後、訪れた居酒屋でさらに驚くことが起きた。
「さっきアスパラにありつけなかった人がいる気がする」
と、夫が注文をしてくれたのだ。
私はつい先ほど、アスパラと夫を置いて、雑踏に繰り出した。子が心配するくらい自分勝手だった。それなのに、優しくしてもらえた。自分の本音を赦したら赦された。
「あるべき理想像」という呪縛を解き、自分を満たして内から溢れ出す本物の幸せと安心こそが、家族の幸せの土台となる。正論で自分を証明し、消耗する日々はもう卒業だ。
二度目のアスパラ。私は、自由と幸せを噛み締めた。
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