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Geminiはデータ分析できるのか? (データアナリストの向き合い方)

GeminiでGoogleスプレッドシート上でデータ分析ができるようなったということで、早速試してみました。

はじめはチュートリアル的なライトな記事を書こうと思ったのですが、ピープルアナリティクスをネタに動かしているとどんどん楽しくなってきて、デモ動画作りにチャレンジ。

できあがったデモ動画をXにアップしたところ、前向きな反響がありました。ご覧いただいた皆様ありがとうございます!

さて、Geminiでデータ分析はできるの?ということですが、予想以上にスルスル動いてくれました。まずはこちらのデモ動画をご覧くださいませ。

全体で4分程度の動画の中でGeminiが動いているのは3分ほど。動画用に編集しているので、実際の稼働時間は10分というところです。10分出ここまでやってくれるというのは驚きですね

1年半ほど前にChatGPTのAdvanced Data Analysisを使った分析例をnoteにアップしたことがありましたが、その時に比べるとかなり技術が進んでいることがわかります。今回はGeminiを試しましたが、他のLLMもきっと進んでいることでしょう。

以前試したときと比較して、ざっくりとした依頼で分析が進むようになっていたのが嬉しかったです。例えば、デモ動画では「時間外時間数とエンゲージメントの関係を分析して」という一文だけで、

  • 分析の方針を検討して決める。

  • 曖昧な名称からデータ列を探索的探し当てる。

  • 量的変数であることを踏まえ、相関係数と散布図を使って分析。

というアクションまで落としてくれています。

ここまで来ると、データアナリストの仕事は将来どうなるのかな?と思われるかもしれません。しかし、細かく見ていくとまだ手放しで自動的に分析することは難しい印象で、経験者による伴走が必要と感じました

なぜそう感じたか、またデータアナリストとしてGeminiを利用するとしたらどう使うのがよいか、という点について考えてみます。

※エンタープライズ向けGoogle Workspaceで動かしていますが、2025年4月4日現在Alpha版の扱いとなっています。正式版ではいろいろと変更があるかもしれませんのでご注意ください。


簡単な分析は手早くやってくれる

GoogleスプレッドシートのサイドパネルでGeminiを動かし始めたのが4月1日の朝だったのですが、思いの他スルスル動くので楽しくなってきて一日中触っていました。

デモ動画でもあるように、今回の分析シナリオを動かすのにかかる時間は10分前後。しかし、一度で思うような結果が得られることはなく、動画作りのために20回程度リテイクすることになりました。

また、デモ動画のアプトプットにも注意すべき点があり、その辺りの課題はクニラボの技術ブログで詳細に解説しています。1万字以上のボリュームとなっていますので、お時間のあるときにご覧くださいませ。

まずはデータアナリストがGeminiを使う利点から考えてみます。

第一にはあいまいなリクエストもくみ取ってくれるので、ざっくりしたアイデアをすぐに試せることでしょう。

特にピープルアナリティクスでは、ディスカッションをしながら様々なアイデアがでてくるので、それを拾ってプロンプトに投入したら素早く確認できるというのは魅力的です。

ざっくりとしたプロンプトに対応(デモ動画からキャプチャ)

固定的なBIを使うよりは柔軟に分析でき、さらに考察やアクションまで整理してくれるというのは凄すぎます。

応用力はそこそこのアナリスト

一方、Geminiでデータ分析をした時に感じた課題を簡単に整理すると、次のようになります。

  • 動かすたびに分析アプローチが変わってしまうことがある。しばしばイマイチな分析手段を選んでしまう。

  • データ可視化を可視化したときに、グラフを詳しく解釈して考察するときとそうでない時がある。

  • 曖昧な指示をするとデータ加工の方法がぶれる。

要は、依頼の意図通りに上手くいくときとそうでないときがあり、たとえプロンプトが同じでも結果が変わってしまいます。プロンプトを細かくすることで問題は若干問題は解消されるのですが、常に良いとはかぎりません。

リアルな人と比較すると、「手が早く動くが応用力はそこそこのアナリスト」という印象でした。

Geminiは曖昧な指示にも対応できますし、幅広い分析アプローチを使うことができるので全くの初学者というわけではありません。

しかし、複雑で高度なリクエスト処理できるミドルデータアナリストレベルの知見を持っていながら、時に「あれれ?」というアウトプットを出してきますので、手放しに任せるには不安が残ります。

つまり、分析のアプローチ、プロセス、結果を人が確認する必要があるのですが、分析のアウトプットを適切に評価するにはそれなりのコツが必要です。

データ分析のタスクを他チームや社内のベンダーに外注する感覚で期待するのはまだ難しそうですね。このあたりは、最近続々と登場しているDeep Researchのサービスにはまだ及んでいません。

したがって、ある程度データ分析の経験を積んだ方がGeminiと伴走しながら導いてあげる必要があります。

伴走する側の課題

色々と触っていて、Geminiに依頼する「伴走者」にとって、少しやっかいな問題があることに気づきました。

それは、プロンプトを駆使する作業というのは、手を動かしながらデータを理解する行為から遠いということです。Geminiがいい感じで回答してくれたとしても、肌感覚的な理解が深まりにくいように感じました。

現段階ではDeep Researchのように手放しで進めるのではなく、プロンプトを段階的に深めていく必要があります。そのため、伴走者自身もデータやデータを通して現象の背景を理解していなかくてはなりません。

しかし、基本的に生成AIの挙動は受動的であり、ユーザーの問い以上の作業はしてくれませんし、ユーザーへの問いかけも最小限です。そのため、伴走者の発想を広げるには工夫が必要に感じました。

イメージとして、高度な知識と実装力があるものの、実務経験に乏しいアソシエイトを上手く走らせる力量が必要となります。これは、ジェネラルマネージャーや未経験者には難しく、伴走者たるユーザーにある程度の実務経験が必要であることを意味しています。

生成AIを効果的に使うためにリテラシーを持つ

ここまでの話をまとめると、確かにGeminiを使うことでデータ分析を効率的にこなせるようになると思いますが、そのためには使う側(生成AIの伴走者)自身がデータ分析のリテラシーを持っていることが前提となります。

「それだと疲れるよ」と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、ある意味健全なことかもしれません。

考えてみると、私たちが義務教育や高校で習う基礎科目というのは、それ単体を実社会で使う機会は少ないものも含まれているかもしれませんが、現代社会で知っておくべき知識をギュッと詰めたものだとも言えます。いわゆる「読み書きそろばん」ですね。

その基礎科目に「情報Ⅰ」が仲間入りしたのが2022年。コンピュータサイエンスが現代社会で知っておくべき知識の一つになったわけです。

情報Ⅰの教科書を見てみると、データサイエンスの基礎が含まれていることがわかります。例えば、手元には娘が使っていた高校の教科書がありますが、そこにはこんなコンテンツがありました。

第5章 問題解決
・データの収集と整理
・ソフトウェアを利用したデータの処理
・統計量とデータの尺度
・データの分布と検定の考え方
・時系列分析と回帰分析
・区間推定とクロス集計
・モデル化とシミュレーション
・確率的モデルのシミュレーション

引用元:高校情報Ⅰ Python,実教出版

これを見て驚くとともに、「いいなー、こんな形で習いたかったな」とも思いました。

なんと楽しい時代になったのでしょう…というのは言い過ぎかもしれませんが、少なくともこの分野に興味を持つ人にとっては良い世界線ですね。

つまり、若い世代は基礎的なデータ分析リテラシーを持って世の中にでていくわけで、生成AIも上手く使いこなすのではないでしょうか。そうなれば、生成AIを使って「上手く分析を回す」という人が出て来ても不思議ではありません。

もちろん、生成AIは発展途上ですので、いつの間にかDeep Researchのような分析ツールが出てくる可能性もあります。実際、プログラミングの現場には生成AIが入り込みつつありますね。

データ分析のアプローチは多種多様

しかしながら、プログラミングと違い、データ分析にはある種の曖昧性が潜んでいます。

もし要件が固まれば正解となるプログラムを定めることはできますし、仮にコーディングや設計の方法がいろいろあっても、アウトプットは仕様に従う必要があります。そのようなタスクは生成AIが得意とするところでしょう。

一方、データ分析の世界、特にビジネスデータサイエンスでは曖昧な仮説と複雑なメカニズムを不完全なデータから考察する必要があります。つまり、そのアプローチは多種多様なのです。

因果構造が明確でない状態で結果としてのデータからメカニズムや予測モデルを推測するのは、数学的にいうと「悪条件問題」のようなものです。そのため、データアナリストやデータサイエンティストが日々創意工夫を重ねています。

生成AIがミドルデータアナリストレベルでデータ分析をこなせるようになったとしても、ビジネスの問題を分析タスクに落とし込み、工夫しながら難しい問いを解決するフェーズが残るはずです。なぜなら、これらのフェーズには「意図」が必要だからです。

ゆえに、来るべき生成AIの発展を心待ちにしつつ、データ分析リテラシーを高めながら応用力を磨くことは無駄にはならないのではないでしょうか。



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