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「ここは建てられません」と言われた土地で、私とAIがやったこと。|建築家の机上論

美しい建築は、美しいスケッチから生まれる。
多くの人はそう思っているかもしれない。

けれど現実は、もっと泥臭くて、地味だ。
僕たち建築家が最初にやる仕事は、ペンを握ることではない。
「その土地の法律」という、分厚くて難解なルールブックを読み解くことだ。

「遺跡」と「規制」のダブルパンチ
現在、僕たちが進めているクリニックの新築プロジェクト。
建設予定地には大きな壁があった。
まず、そこは「市街化調整区域」。原則として、家や店を建ててはいけないエリアだ。
さらに悪いことに、足元には「埋蔵文化財(遺跡)」が眠っている可能性があった。
「建てられない土地」に、病院を建てる。
もし工事中に土器のかけらでも出れば、発掘調査で工事は数ヶ月ストップする。
看板ひとつ出すのにも、厳しい景観条例が立ちはだかる。
かつての僕なら、役所に通い詰め、数百ページの条例を読み込み、徹夜でリスクを洗い出していただろう。
でも今回は、頼もしい「相棒」がいる。
Googleの生成AI、「NotebookLM」だ。
AIに「役所の書類」を全部読ませてみた
私は、手に入れた都市計画図、条例のPDF、ハザードマップ、そしてドクターの想いが詰まった「理念シート」を、すべてNotebookLMに放り込んだ。
そして、コーヒーを飲みながらチャットで話しかける。
「この土地で、工事が止まる最大のリスクは何?」
AIは数秒で答えた。
「埋蔵文化財包蔵地に関する資料によると、隣接地で『◯◯遺跡』が確認されています。試掘調査の結果次第では本発掘が必要となり、工期遅延のリスクがあります。また、看板については交差点から30m以内の設置禁止区域にかかる可能性があります」
人間なら見落としてしまいそうな「地図の隅っこの注釈」まで、彼は完璧に把握していた。
「ダメ」を「できる」に変えるロジック
AIの仕事は、リスクを見つけるだけではない。
「どうすれば建てられるか」を一緒に考える壁打ち相手にもなる。
市街化調整区域で許可を得るには、「地域にとってどうしても必要な施設だ」という公益性の証明が必要だ。
僕はAIに、ドクターの理念と、地域の高齢化データを掛け合わせるよう指示した。
するとAIは、単なる「クリニック」ではなく、**「地域社会の健康寿命を延ばすための公共的インフラ」としてのロジックを提案してきた。
これは、役所を説得するための強力な武器になる。
テクノロジーは、情熱を守るためにある
結局、僕たち建築家がやっていることは「翻訳」なのだと思う。
クライアントの「熱い想い」を、法律という「冷たいルール」の中で実現可能な形に翻訳する。
その翻訳作業をAIに任せることで、僕は「人の心を動かすデザイン」に、全精力を注げるようになった。
AIは設計をしない。
けれど、AIがいなければ、このプロジェクトは「法規制の壁」の前にかなりの時間を浪費していただろう。
「ここは建てられません」
そう言われた場所でも、テクノロジーと知恵があれば、未来は描ける。
今後、僕とAIの二人三脚は続きそうだ。
▼ もっと詳しく知りたい方へ
「具体的にどうやってNotebookLMを使っているの?」
「プロンプト(指示文)を見たい」
そんな同業者の方や、建築DXに興味がある方に向けて、事務所の公式ブログで「実務レベルの技術解説」を公開しています。
ぜひ覗いてみてください。↓

📖 記事を読む:建築設計・空間デザイン業界におけるAI活用法〜敷地調査編〜

KTXアーキラボ 設計作品写真

【この記事を書いた人 松本哲哉】

KTXアーキラボ代表・一級建築士・大阪芸術大学非常勤講師

イタリアDAC認定デザイナーランキング世界9位(日本国内1位)

ウィキペディア 松本哲哉(建築家)

【お問い合わせ先】
KTXアーキラボ一級建築士事務所
東京都港区南麻布3-4-5 エスセナーリオ南麻布002
兵庫県姫路市船丘町298-2 日新ビル2F

事業内容
飲食店・クリニック・物販店・美容院などの建築設計・内装デザイン

メール:kentixx@ktx.space
電話番号:03-4400-4529(代表)
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