集客を実現する店舗・クリニックデザイン実例 1/4 手術室が見える眼科クリニック
前回の記事ではビジネスツールとして機能する建築・空間デザインがどのようなものかご説明しました。
今回は実際のプロジェクトにおいて、それをどのようにデザインに落とし込んでいくのか、4つの事例について書きたいと思います。
▼前回の記事はコチラ▼
https://note.com/ktx_archilab/n/nc1114d5e3a32
case1 眼科クリニックの内装デザイン事例

まずは単純でわかりやすい実例をご紹介します。
大学病院の眼科勤務医でいらっしゃった医師の独立開業案件です。
夙川駅に直結した商業施設内のテナント、周囲には競合となる眼科クリニックが既に多数ありました。
眼科クリニックの差別化

集患のため、競合クリニックとの差別化を図ることが重要です。
つまりこの眼科クリニックを選ぶ理由を、消費者(患者)に伝える必要あります。
「他のクリニックとは明らかに違うな」と感じさせることが、差別化の第一です。
極端な話、デザイン性のレベルをうんと上げるだけでも、「わ!このクリニックは明らかに他のクリニックとは違うな」と思わせることはできます。
この時点で差別化は半分以上達成できているんですが、更にをの「違い」をどこに感じさせるのか、そこまでコントロールできれば完璧です。

設計を始めるにあたり、最初にクライアントである先生にヒヤリングしました。先生の得意分野、患者さんに対してアピールできる点を聞きます。
コチラの先生は、大学病院で多数経験のある手術に大変自信がある、ということでした。
手術が得意=医療技術が高い、ということを連想させることができます。医療技術の高さというのは、患者さんにとって1番重要な基準ですから、それを明確に伝えることができれば、医療技術への期待値と、医師の先生自身のカリスマ性を押し上げることができます。
では、それをどうすれば伝えることができるのか?

看板に書く?

受付にも書く?

名札にも書いてしまう?

これでは患者さんに「広告情報」として伝わってしまいますから、消費者の心に響きません。どのようにすれば「手術が得意」という先生のウリを消費者に伝えることができるのでしょうか?

弊社の答えがこちらです。商業施設の共用通路に向かって、手術室をまる見えにしました。(手術中はカーテンを閉めます)

ほとんどの一般の人は眼科クリニック内に手術室があることも知りません。普通は手術を受けるまで、手術室を見ることもまりません。手術室がまる見えになっている、というだけで一般の人にはかなりインパクトがあります。
これを見た患者さんはどう考えるでしょうか?

「手術室をオープンにしている、ということはこの先生は手術に力を入れていて、手術に自信があるに違いない。ということは意匠技術もきっと高そうだ。」と連想してくれます。
更にデザイン面では、手術室らしからぬ空間にしましたが、これは一般の人にとって手術室のイメージと言えば、なんとなく冷たい雰囲気で、無影灯に上からピカッと照らされて、少し怖いイメージがあります。しかしこのように手術室を全く違う印象で見せることによって、患者さんも安心感を持って手術の相談がしやすくなる、という効果もあります。
集患につながるクリニックデザイン

非常に単純なアイデアですが、目論見は大成功でした。開院当初から話題を呼び、すごいスピードで集患を実現していきました。
そして開院から5ヶ月後、こちらの院長先生からお電話がありました。
「診療時間割表の手術日を週2回に増やしてほしい」とのご要望でした。
開院当初は上の写真のように手術は週1回でした。(木曜日・★マーク)

更に数か月後、開院から1年経たない間に手術は週3回となりました。
潜在意識に作用する建築・空間デザイン

このように人の潜在意識に作用するデザインのことを、インタラクティブデザインとか、コミュニケーションデザインとか言ったりします。
以下に簡単にご説明します。

こちらは何に見えますでしょうか?
水玉模様?
白いボール?
黒い紙に穴が開いているようにも見えます。

これだとどうでしょうか?これは「ゲシュタルト心理学」における「閉合の法則」という法則を利用したもので、例えば漢字の一部を隠すように、あえて要素の一部を欠落させ、見る人が脳内で補完したくなる、という原理を利用したデザインです。ポスターなどでよく用いられるテクニックです。後ろの漢字は「雪」であることは容易に想像できると思いますが、漢字を隠している白い円もまた雪であると想像させます。

では上の画像は何に見えますでしょうか?ただのブランク?真っ白なキャンパス?

この画像に、雪の積もった木をい1本足します。こうすると白い部分は雪の積もった地面になります。このようにイメージを受け取る側が何を想像するか、何を想像させるか、そこまでのストーリーを描いてデザインを施すのがインタラクティブデザインの肝です。これを建築や空間のデザインにも応用しようとしているわけです。
次回はビジネスツールとして機能する建築・空間デザイン、2つ目の実例としてショールームの建築デザイン事例をご紹介します。
2025.7.4

【この記事を書いた人 松本 哲哉】
一級建築士・宅地建物取引士・大阪芸術大学非常勤講師
株式会社KTXアーキラボ一級建築士事務所 主宰
株式会社マツヤアートワークス 代表取締役
2024年度イタリアDAC認定デザイナーランキング世界9位(日本国内1位)
▶ウィキペディア 松本哲哉(建築家)
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