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「作家がスターだった時代 文春文士劇の45年」

戦前に立ち上がり戦後復活、昭和50年代まで続いた文士劇について
文藝春秋社の社史や出演した作家たちの回想録、随筆などから毎年の演目と
配役、作家たちの様子・やりとりを細かく拾い上げてありとても親切。
当時の時代の雰囲気、匂いが感じられておもしろい。

有吉佐和子と曽野綾子が、三島由紀夫と石原慎太郎が共演していたとは。
ポーシャ役をもらった曽野綾子がうれしくて自前で森英恵に衣装を注文した話、
平岩弓枝の結婚が決まった時「父帰る」で父親役だった東郷青児から似顔絵をもらい、兄役だった石川達三から銀座でシャンパンを、また芝居のセリフにちなんで千円の小遣いをもらい一人っ子だった平岩はうれしくてその千円札を使わずに大事にしまっておいた話。

二枚目の水上勉が初めて文士劇に出るときは客席最前列にずらりと京都の芸者衆が詰めかけていた話(思わず若き水上の画像を検索してしまった)。
柴田錬三郎(眠狂四郎)と笹沢左保(木枯し紋次郎)が舞台上でチャンバラ対決した話。それらに飛ぶ愛ある野次の数々。
皆 真剣に、面白がって演じ、見物していた時代。
日本の小説をほとんど読んでいないにもかかわらず
登場する作家は少なからず見知っており 作品から持つイメージとはまた違った素顔がうかがい知れて微苦笑(文士劇常連の作家久米正雄の造語だそうだ)する。
昔は今よりもずっと一般大衆が小説を読み、作家たちに親しみをもっていた古き良き時代を感じる。
この本のことを実家の母に話したら 母が短大に通っていたころ、当時お付き合いしていた男性(父ではない)と一度行ったことがあるという。
チケットは実家(書店経営)に頼みこんでやっと2枚手に入れた。
それは本当に良き思い出であったことだろう。

私が通っていた高校では毎年秋口に受験を控える三年生のための壮行会のような催しがあり、そのメインイベントは教師たちによるお芝居だった(と私は思う)。日ごろ気むずかしい先生たちがプロレスをやったり、思いがけずユーモラスな役をやっていたり とにかく最高におもしろかった。
なのに私が三年生になった年から?催し自体がなくなってしまい残念でならなかった。おそらく台本を書いていた国語の先生が転勤したからでは。。。
今思えば文士劇をもじってやってくれていたんだな。いい時代だった。


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