E-E-A-Tという便利な言葉が都合よく使われている違和感

「E-E-A-Tを強化しましょう」「E-E-A-Tが重要です」

この言葉を聞くたびに、少しだけ引っかかる。
間違ってはいない。
むしろ、SEOの文脈では正しいことのはずだ。

それなのに、なぜか現場や業者からこの言葉が出てくると、途端に胡散臭く聞こえる瞬間がある。

E-E-A-Tは本来、Googleが重視するとされる評価軸だ。
定義はされているが、その中身は雲を掴むように曖昧で、
「どうすれば上がるのか」は明確に語られない。

それにもかかわらず現場では、あたかも実行可能な施策のように扱われる。
そして結果が出なければ、また同じ言葉が原因として使われる。

この時点で少しだけ歪みが生まれる。
そしてその歪みは、「E-E-A-Tが足りないですね」という、
万能な説明文として機能し始める。


そもそもE-E-A-Tは施策ではない

そもそもE-E-A-Tは、やることの名前ではない。
Experience・Expertise・Authoritativeness・Trust、の頭文字であって、
「評価される状態」の話をしているに過ぎない。

少し雑なまとめになるが、こういうことになる。

  • 経験があるように見える

  • 専門性があると判断される

  • 権威性があると認識される

  • 信頼できると思われる

全部、「そう見えるかどうか」の話だ。
ここでズレが生まれる。
状態であるはずのものを、現場では「やること」に変換してしまうからだ。

  • 「まずE-E-A-Tを強化していきましょう」

  • 「専門性を高めるコンテンツを増やします」

  • 「信頼性を担保するために監修を入れましょう」

と業者や代理店は決まり文句を言う。

そして、

  • 医者に監修をつけた → 専門性アップ

  • プロフィールを盛った → 権威性アップ

  • 体験談を追加した → 経験アップ

こうやって「それっぽい要素」を積み上げていく。

もちろん、間違いではない。
だがそれで本当にそう評価される状態に近づいているかは、別の話だ。

E-E-A-Tは本来、結果としてにじみ出るものだ。
それを「やることリスト」に分解した瞬間、少しずつズレていく。

そしてそのズレは、気づかれないまま積み上がる。

E-E-A-Tは「売り文句」にも「逃げ口上」にもされる

E-E-A-Tが厄介なのは、「重要であること」がすでに前提として固定されている点にある。

評価指標として明言されている以上、これを否定することはできない。
そして同時に、それを高めようとする行動もまた、否定しづらい。

問題は、その先にある。

E-E-A-Tは重要だと言われる一方で、
「どうすれば高まるのか」「何をもって改善とするのか」は明確に定義されていない。

つまりこうなる。

  • 指標はある

  • やるべきっぽい行動もある

  • でも、その因果は検証されない

この状態が何を生むか。
E-E-A-Tは、説明のための言葉として機能し始める。

提案の場では、「E-E-A-Tを強化していきます」と言えば、
それだけで正しそうに聞こえる。

実行フェーズでは、「専門性を高めています」「信頼性を担保しています」といった言葉で、取り組みは説明できる。

そして結果の場面ではこうなる。

  • うまくいった → 「E-E-A-Tが評価された」

  • うまくいかない → 「まだE-E-A-Tが足りない」

どちらに転んでも、説明は成立する。

ここにあるのは、
否定できない指標と否定しづらい行動、そして検証されない因果、
という構造だ。

これらが揃ったとき、E-E-A-Tという言葉は極めて便利になる。

  • 売るときには、価値を説明する言葉になる

  • うまくいかないときには、都合の良い言い訳の言葉になる

ここが「気持ち悪さ」の正体だ。
E-E-A-Tは間違っていない。
ただし、あまりにも都合よく使われていることも見ておく方がいい。

SEO業者や代理店は都合が良いものに飛びつく

E-E-A-Tだけが特別なわけではない。
振り返れば、SEOには常にそれっぽく正しい言葉が存在してきた。

  • 被リンクが重要だと言われた時代

  • コンテンツSEOが広がり、文字数が語られた時代

  • ドメインパワーという指標が重視された時代

そしてE-E-A-Tや今はAIOといった言葉が並ぶ。

どれも間違いではない。
むしろ、評価軸として組み込まれてきた正しい要素だ。

だからこそ、否定できない。

だが同時に、共通点がある。
それは、「正しいがゆえに、都合よく使える」という点だ。

SEO業者や代理店がこうした言葉に飛びつく理由はシンプルだ。
説明しやすく、否定されにくく、そして責任を曖昧にできるからだ。

  • 被リンクが足りない

  • 文字数が足りない

  • ドメインパワーが弱い

  • E-E-A-Tが足りない

表現は変わっているが、構造は変わっていない。

E-E-A-Tのように測れない概念や、AIOのような定義が揺れている領域が主語になることで、説明や言い訳の自由度はより高くなっている。

もちろん、それぞれの概念自体は重要だ。
評価軸として組み込まれている以上、無視することはできない。

だが、正しい概念であることと、正しく使われていることは別の話だ。

SEOは進化している。
そして、これらの考え方や取り組み方が悪いわけではない。
だが、都合のいい言葉の使われ方は、あまり変わっていない。

E-E-A-TのためにとSEOで考えた記憶はない

正直に言うと、E-E-A-Tのために何かをやった記憶はない。

重要な概念であることは知っているし、否定するつもりもない。
だが、「これはE-E-A-Tのための施策だ」と意識して動いたことはない。

それでもSEOはできていたし、今もできている。

振り返れば、被リンクも、文字数も、ドメインパワーも、
その時々で重要だと言われてきた。

どれも間違いではない。
だが、それを主語にして仕事をしたことは一度もない。

やってきたことはシンプルだ。

  • 検索意図に対して適切なコンテンツを作る

  • 基本的なSEOを外さない

  • 成果に紐づくユーザー価値を考える

それだけだ。

その結果として、

  • 経験が積み上がり

  • 専門性が磨かれ

  • 信頼が残る

もしE-E-A-Tという言葉で説明するなら、そういうことになる。

順番は逆だ。

E-E-A-Tを満たすためにやるのではなく、
ちゃんとやった結果として、そう評価される。

もちろん、さらに突き詰めたいフェーズに入れば、
E-E-A-Tという観点で振り返ることはあってもいい。

だがそれは、最初に置くものではない。

そして、SEO業者や代理店が語る言葉は、
必ずしも「成果を出すための主語」とは限らない。

それは多くの場合、
「仕事を成立させるための主語」でもある。

  • E-E-A-Tを強化しましょう

  • AIOに対応していきましょう

  • 今はこの領域が重要です

どれも間違ってはいない。
だがその言葉は、「何をやるべきか」ではなく、
「何をやることにするか」を説明していることもある。

正しさと、都合のよさは、ときに同じ顔をしている。

だからこそ、

言葉ではなく、自分の頭で考えること。
誰のための主語なのかを見極めること。

この前提を持たずに言葉だけを追いかけると、
いつの時代も同じ構造に巻き込まれる。


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