「プロジェクト・ヘイル・メアリー」(備忘録的感想)
予告編を観た段階では、「オデッセイ」のような宇宙での極限状態を前面に押し出した作品かと思った。
しかし実際には、友情をテーマにした作品だった。
グレース(ライアン・ゴズリング)がコールド・スリープから目覚めると、そこは宇宙船の中だった。
グレースは眠る前の記憶がいっさいなく、船内を詮索すると、男女の遺体が1つずつ見つかる。
グレースはそこから少しずつ記憶が戻り、なぜ自分が宇宙船の中にいるのか思い出し始めた。
グレースは中学で理科の教師をしていた。
そこにストラット(ザンドラ・ヒュラー)がやってきて、地球を救うための研究に参加して欲しいと言う。
その頃、太陽と金星を結ぶ赤外線の帯「ペトロヴァ・ライン」が発見され、それにより太陽の光度が少しずつ下がっている事が確認されていた。
グレースも教え子たちから「太陽がペトロヴァ・ラインに食べられているの?」と質問を受けるほど、世間の認知度も高かった。
太陽光が少なくなることで植物の生育が著しく悪くなり、世界中で食料の争奪戦が始まる、と言われていた。
ストラットはペトロヴァ・ライン から採取した物質を研究したところ、それが生物であることがわかったと告げた。
グレースはかつて水分を必要としない生物の論文を発表していたが、権威ある教授をメタメタにけなしたため学会から追放されていた。
そしてストラットは、採取された生物はグレースが論文に既述した水分を必要としない生物「アストロファージ」で、研究にはグレースの力が必要だと言うのだ。
グレースの研究で、アストロファージは光を利用して莫大なエネルギーを生み出すことがわかった。
グレースがそれを発表すると、大量生産するにはどれくらいかかるのかと尋ねられる。
グレースが参加していた研究プロジェクトは「ヘイル・メアリー計画」と呼ばれ、太陽系から11.9光年以上離れたタウ・セチに探索に行くことが目的だった。
現在、ペトロヴァ・ラインは太陽系以外の恒星にも拡大しており、唯一ペトロヴァ・ラインで恒星の光度が落ちていないのはタウ・セチだけだった。
ヘイル・メアリー計画、その理由を探りに行くというプロジェクトだった。
だが宇宙船の燃料となるアストロファージは、片道分しか燃料タンクに積み込めない。
宇宙船のクルーは探索結果を小型宇宙船ビートルに乗せて地球に発射した後、その場に残ると言うミッションだった。
グレースは覚悟を持って集められた船長、宇宙飛行士、技術者の3名に、アストロファージについてのレクチャーを始める。
グレースは宇宙船の中でミッションを思い出し、タウ・セチに向かった。
するとその途中で、謎の宇宙船と遭遇する。
グレースは戸惑いながら、宇宙船と接触してみる。
最初は相手の宇宙船から物体が投げられ、やがて宇宙船同士を管で結合して交流を図ると、相手の宇宙船の飛行士も、別の惑星からアストロファージの調査にやってきたことがわかった。
グレースは相手の宇宙飛行士を、その岩のような形態からロッキーと名付け、タウ・セチの秘密を解き明かすための共同研究を始める。
作品全体では、太陽光を奪うアストロファージがそのまま宇宙船の燃料になったり、グレースとロッキーはまったくのファーストコンタクトなのにあっという間にコミュニケーションが取れるようになるなど、科学的にはかなりご都合主義が多い。
ただ冒頭にも書いたように、この映画のテーマはグレースとロッキーの友情物語だ。
最初はジェスチャーの交流から始まり、やがて揚げ足を取ったり突っ込んだりしながら、お互いの故郷を救うために高度な共同研究を進めていく。
この二人のバディとしての友情の描き方が巧妙である。
互いの生態やここまでの道のりを理解し合い、二人とも故郷を救うために惜しむことなく努力をし、勇気をもって突き進む。
自己犠牲もいとわない二人を観ていると、思わず胸がアツくなる。
ただ上映時間が156分もあり、正直ちょっと長い。
一つ一つのエピソードをもう少し詰められたのではないかなと思うし、ストラットがカラオケで歌うシーンなんかは、ハッキリ言って必要なかったのではないかとも思う。
1週目の興行収入は「ドラえもん」「私がビーバーになる時」に次いで3位だったようだが、なんとか130分くらいにまとめていれば、もっと評価も上がったのではないかと思う。
50.プロジェクト・ヘイル・メアリー
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