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暮らしの森|モコの毛で作る、ふわふわ枕

春、森の空気が少し軽くなった頃。
モコは自分のしっぽを、くるりと抱えた。

「伸びたモコ」

冬のあいだに育った毛は、ふわふわで、少し重たい。アツコは毛並みを指で確かめる。

「冬毛が抜けきってないわね。絡まる前に整えましょう」

切り落とした毛をアツコは丁寧に集める。

「すてないモコ?」

「捨てないわよ。あなたの毛は軽くて温かいもの。仕立てはね、無くすことじゃないの。
循環させること」

「?」

「よくわかんないモコ」



数日後。

洗って乾かして、ほぐした毛は、空気を含んで、ふわりと広がっていた。
アツコはそれを目の細かい内袋に入れ、外側をやわらかな森の布で包む。

ミシンが静かに動き、
やがて小さなふわふわの枕ができた。

「はい。モコ専用の枕よ」

「わぁ!」

モコはぎゅっと抱きしめる。
すると小さくなり、手を離すとゆっくり戻る。

「わ!すごいモコ!」

アツコは頷いた。

「使い終わったらこの袋に入れるといいわ。
小さく持ち歩けるわよ」

「外にも持っていけるモコ?」

「ええ、もちろんよ。ピクニック行く?」

「やったモコ〜!」

軽くなったしっぽ。
やわらかな午後。

サンドイッチをほおばる口もとに笑顔が
浮かぶ。

「外で食べると、おいしいわね。」

食べ終わったモコは、枕を抱えたまま
芝生にごろんと寝転がる。

「ふわふわモコ〜」

アツコは少し笑って、糸くずを払った。

春の風が、また少しだけ軽くなっていた。


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