暮らしの森|水辺の友だち
朝の森は、いつもより少し騒がしかった。
落ち葉を踏む軽い足音が小道を駆け抜け、枝に触れた葉がぱたぱたと揺れる。その後ろから、転がるような笑い声が追いかけてきた。
「わ〜〜い!」
モコが元気よく走る。
木の根を飛び越え、小さな坂を駆け下り、
そのまま勢いよく駆け上がる。
「すごいモコ! はやいモコ!」
誰に言うでもなく、モコは自分で言って、また走る。そこへ、朝の散歩をしていたメイがやってきた。
「おーい、なにしてんのー?」
声をかけると、モコはピタッと足を止めた。
それから小走りで駆け出す。
「メイ〜」
「待ち合わせしてるモコ!」
「へー。ハヤトと?」
そう言いかけた時だった。向こう岸の方から、バサッバサッと羽音が聞こえてくる。
一羽のカモが湖の上を低く飛び、湖面に体を下ろすと、そのまますぃーっと近付いてきた。
「あー!」
モコがぱっと駆け出す。
「来たモコ〜」
カモがグワっと大きく羽を広げる。
モコも元気よく手を振った。
「へ?」
メイは水辺をすいすい泳ぐカモと、
モコとを見比べた。
「え?まじで?」
モコは嬉しそうに頷く。
「こないだ仲良しになったモコ」
「このカモと?」
「一緒に運動したモコ〜」
「え?ちょっと何言ってるかわかんない」
メイは少しの間首を傾げたが、
「……まぁ、モコだしな」とつぶやくと、
そのまま森の方へと歩いていった。
湖の浅瀬では、カモが楽しそうに羽をばたつかせている。それからちらりとモコの方を見ると、羽でぱしゃっと水しぶきを飛ばしてきた。
「わっ、冷たいモコ〜!」
モコも水をすくって投げ返す。
ぱしゃっ。
カモが羽をばたつかせる。
仕返しにぱしゃっ。
モコも負けじと水を飛ばした。
ぱしゃっぱしゃっ。
「気持ちいいモコ〜」
カモが鳴く。モコも笑う。
湖には、楽しそうな水音がしばらく響いていた。
「たのしいモコーーー!!」
その声が、朝の森に元気よく飛んでいった。
暮らしの森には、いろんな住人たちの
物語が詰まっています。
(好きな順路で自由に散策してみてください)
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