「阿字観に興味はあるけれど、長く座っていられない」あなたへ。椅子でできる準備ストレッチ
はじめに
「阿字観を始めてみたいけれど、足がしびれて集中できない」
「体が硬くて、あぐらを組むのが苦痛……」 そんなお悩みを、多くの方から伺います。
心を静めようとしても、身体に痛みや違和感があれば、なかなか落ち着くことはできません。
阿字観は決して特別な修行ではなく、本来もっと身近なものです。
そこで本連載「やさしい阿字観ヨーガ」では、まず身体の緊張をほどき、心地よく座るための準備から始めていきましょう。
【やさしい阿字観ヨーガ①】あぐらが楽になるお尻ほぐし ― 座るための準備から始めよう なぜお尻をほぐすの? (以下、元の本文へ続く)
なぜお尻をほぐすの?
あぐらが苦手な原因は、膝や足首だけではありません。
実は、お尻や股関節の硬さが大きく関係しています。
現代人は椅子に座る時間が長く、お尻まわりの筋肉が固まりやすい生活をしています。
すると骨盤の動きが制限され、背筋を伸ばして座ることが難しくなります。
阿字観に限らず、瞑想で大切なのは無理なく安定して座れることです。
そのためには、まず股関節をやさしく開き、お尻の緊張をゆるめることが重要です。お尻まわりの筋肉がほぐれると骨盤が立ちやすくなり、腰痛の予防や姿勢の改善にもつながります。
今日のポーズ
椅子でできる「薪のポーズ」

今回ご紹介するのは、ヨーガで「薪のポーズ」と呼ばれるアグニ・スタンバ・アーサナをもとにしたやさしい実践です。
アグニ(Agni)は「火」、スタンバ(Stambha)は「柱」を意味します。
左右の脚を薪のように重ねることから、この名前が付けられました。
股関節の深い部分をゆるめる代表的なポーズとして知られています。
今回は初心者の方でも安心して取り組めるよう、椅子に座ったまま行います。
やり方
① 椅子に浅く腰掛けます。
② 右足首を左膝の上に乗せます。
③ 背筋を軽く伸ばします。
④ 息を吸って背筋を伸ばし、吐く息で少し上半身を前に傾けます。
⑤ 無理のない範囲で数呼吸保ちます。
⑥ ゆっくり戻し、反対側も行います。
※痛みがある場合は無理をしないでください。
呼吸を感じてみましょう
ポーズが終わったら、両足を床につけて静かに座ります。
目を閉じても、閉じなくても構いません。
ゆっくり息を吸います。
ゆっくり息を吐きます。
ただそれだけです。
呼吸を3回ほど観察してみましょう。
もしかすると、
「身体が軽くなった」
「腰が伸びやすい」
「呼吸が深くなった」
そんな変化に気づくかもしれません。
阿字観への第一歩
阿字観は、特別な能力を身につけるためのものではありません。
まずは静かに座ること。
そして、自分自身の呼吸に気づくこと。
その小さな一歩から始まります。
身体を整える。
呼吸を整える。
心を整える。
この順番は、実は昔から多くの修行法で大切にされてきました。
今回のストレッチも、阿字観へ向かう大切な準備のひとつです。
「やさしい阿字観ヨーガ」の原点
このプログラムは、私の実体験から生まれました。10代の頃に交通事故に遭い、心身の回復を模索する中で出会ったのがヨーガや瞑想でした。
「やさしい阿字観ヨーガ」は、瞑想を深めるために最も適した身体の整え方(アーサナ)を組み合わせたものです。
目的はあくまで、瞑想のためにまず身体を整えること。かつての私のように、身体に不自由さや硬さを感じている方にこそ、ぜひ体験していただきたいと願っています。
おわりに
私自身、長年ヨーガを学び実践してきました。
そして高野山で阿字観に取り組む中で改めて感じるのは、身体と心は決して別々ではないということです。
身体がゆるめば呼吸もゆるむ。
呼吸がゆるめば心も落ち着く。
まずは椅子に座って3分。
それだけでも十分です。
焦らず、無理せず、ご自身のペースで続けてみてください。
次回は「骨盤を整えるやさしいストレッチ」をご紹介します。
合掌 高野山大師教会光寿支部・支部長 雨宮光啓
※ 本記事のイメージ画像は、AIで作成したものを使用しています。
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プロフィール
雨宮光啓(あめみや こうけい)/ 天宮光啓(KOKEI AMAMIYA)
高野山真言宗 僧侶(阿闍梨)。高野山大師教会光寿支部 支部長。 総本山金剛峯寺 阿字観指導員(能化心得)。 高野山大学大学院密教学科修士課程修了(密教学修士)。近畿大学法学部卒業(法学士)。2024年、仁和寺にて悉曇灌頂を授かり、澄禅流悉曇を継承。 著書:『空海散歩』(筑摩書房、第6〜10巻・共著)。 自身の経験(9.11の被災、親友の自死)を機に出家。これまで、チベットやインド、ネパールなど仏教・密教(秘密仏教)聖地巡礼やヨーガ、瞑想修行をおこなう。チベットで「天」、高野山で「光」の一字を授かる。初心(菩提心)忘るべからず「天宮光啓」の名で活動。
日本高野山大師教會光壽支部支部長、真言宗僧侶雨宮光啓。曾歷經人生重大喪失,透過20年在西藏、印度與四國的巡禮,於密教中尋得靈魂救贖。在此分享日本東密傳統瞑想「阿字觀」、尋找內心最強真言的心法,引領忙碌現代人回歸內心全然的寧靜。合掌。

