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【阿字観】一人ひとりの心の平和が、世界の平和へと繋がる。

私たちは今、目まぐるしく変化する情報社会の中で、知らず知らずのうちに「本当の自分」を見失い、孤独や不安という名の暗闇を歩いていることがあります。

外側の世界が騒がしくなればなるほど、私たちの心もまた、静寂を失っていきます。 「どうして自分だけがこんなに苦しいのか」 「この先の未来に、光はあるのだろうか」

私自身、かつて9.11で目撃した悪夢のような光景、そして苦楽を共にした親友を自死で亡くした悲しみの中で、言葉にできない絶望に打ちひしがれたことがありました。

そんな私を救い、暗闇の中に「一筋の光」を灯してくれたのが、お大師様が伝えた真言密教の瞑想法、『阿字観(あじかん)』でした。

自分の心の中に本来備わっている「仏の心(仏性)」を見つめ、自分という存在が大宇宙の生命の根源(大日如来)と一体であることを体感する真言密教の代表的な瞑想です。

阿字観は、『大日経』等の経典に起源をもち、身(姿勢)・口(呼吸)・意(観念)の三つを整えることで、ストレス低減や自己肯定感の向上、また、自他が一体であるという「入我我入」の境地を体験することによって、孤独や絶望に苛まれる現代社会において、自己と他者への慈しみの心を育みます。

密教では、宇宙の万物は「阿(あ)」という一文字から始まったと説きます。 「阿」の文字を心に描き、姿勢を正して座り、自分自身の呼吸を整える。そのとき、私たちは自分という小さな殻を突き破り、宇宙そのものへと溶け込んでいくのです。

来月の大切な日(お大師様のお誕生日)に、第1回目の記念すべき「阿字観・体験」を配信できればと思います。

画面越しではありますが、皆様と共に静寂を分かち合い、心にしばしの安らぎをお届けできることを願っています。

生かせいのち

南無大師遍照金剛

合掌 高野山大師教会光寿支部・支部長 雨宮光啓


プロフィール

雨宮光啓(あめみや こうけい)/ 天宮光啓(KOKEI AMAMIYA)

高野山真言宗 僧侶(阿闍梨)。高野山大師教会光寿支部 支部長。 総本山金剛峯寺 阿字観指導員(能化心得)。 高野山大学大学院密教学科修士課程修了(密教学修士)。近畿大学法学部卒業(法学士)。2024年、仁和寺にて悉曇灌頂を授かり、澄禅流悉曇を継承。 著書:『空海散歩』(筑摩書房、第6〜10巻・共著)。 自身の経験(9.11の被災、親友の自死)を機に出家。チベットで「天」、高野山で「光」の一字を授かる。初心(菩提心)忘るべからず「天宮光啓」の名で活動。

生かせいのち

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