【大丈夫】悩みは消さなくていい。瞑想で『悩みとの付き合い方』を変える方法
瞑想で悩みは解決できるのか?
これまでいろいろな瞑想会を主宰してきました。
参加者の多くは、瞑想に興味がある、また、ストレス解消、不眠の改善、心の安定、心身の健康や美容のために役立てたいと、理由はさまざま。
しかし、回数を重ねるうちに、「悩みを解決したい」、「現状を変えたい」、「困難を打破し、運気を好転させたい」と切実に訴える人たちも少なくありません。
結論から言えば、瞑想で悩みをすぐに解決できるとは断言できません。
ただし、みなさんには、「悩みを消す」のではなく、「悩みに対する自分の反応を変える」という視点を持ちませんか、と提案しています。
これまでの経験上、とてもよい結果を実感しているからです。
つまり、瞑想は「悩みを消す手段(道具・手だて)」というよりも、「悩みとの関係を変える手法(見方を変える・具体的なアプローチ方法)」といえます。
なぜ悩みは消えないのか
私たちは、同じことを何度も考え続けます。
この状態は心理学では「反芻思考」と呼ばれています。
考えれば考えるほど、悩みは強化されていきます。
解決には二つの形がある
ここで、瞑想における「解決」の定義を整理しておきます。
一つは、目の前の問題そのものが消えてなくなる「物理的な解決」、
もう一つは、悩みに対する自分の捉え方や、心の反応が変わる「心理的な解決」です。
瞑想がもたらすのは、ずばり後者です。
この点、悩みを無理に消そうと、「取り除かなければならない敵」として戦うのをやめることです。なぜなら、人生には自分の力ではどうにもならない出来事も存在します。
ですから、心静かにただそこにある現象として客観的に眺めるようにします。すると、不思議なことに、その悩みはあなたを振り回す力を徐々に失っていきます。
これが、瞑想における「解決」の第一歩です。
瞑想の本当の役割
瞑想とは、思考を止めることではありません。
「観ること」です。
つまり、浮かんでくる思考や感情を、ただ観察する。
それによって、心に余裕が生まれます。
実践:悩みと静かに向き合う5つのステップ
① 姿勢を整える
② 呼吸を数える
③ 悩みを無理やり忘れようとしない
④ 感情(不安・怒り・悲しみなど)に名前をつける(ラベリング)
「あ、今不安を感じているな」と、心の中でそっとラベルを貼るような感覚で行います。
⑤ それを観察する(例:雲が流れていくような感覚など)
仏教的な意味
仏教では、悩みの原因は「執着」とされます。
そして密教では、身・口・意を整えることで、心の構造そのものを変えていきます。
出典:『秘密曼荼羅十住心論』(空海著・全10巻)
※「心の成長段階を説いた書物」
最後に、まず一度深呼吸をして、「悩みは消えなくても大丈夫」、「大丈夫」、そう心の中でゆっくりと唱えてみてください。
私自身、かつて親友を自死で亡くし、何もできなかった自分を責め、声が出なくなるほどの暗闇の中にいた時期がありました。
しかし、その苦しみの経験があったからこそ、今「生きる」ことの尊さや、真の心の安らぎに気づくことができました。
悩みと戦うのをやめ、静かにそれを見つめる。 その一歩が、あなたを新しい風景へと導いてくれるはずです。
今、流しているその涙は、いつか必ず誰かを照らす光になります。
「自利利他」「同行二人」の精神で、あなたの心が少しでも軽くなることを願っています。
(※声が出なくなったあの日、チベットの寺院で救われた個人的な体験については、別記事のコラムにて詳しくお伝えします。)
生かせいのち
南無大師遍照金剛
合掌 雨宮光啓
プロフィール
雨宮光啓(あめみや こうけい)/ 天宮光啓(KOKEI AMAMIYA)
高野山真言宗 僧侶(阿闍梨)。高野山大師教会光寿支部 支部長。 総本山金剛峯寺 阿字観指導員(能化心得)。 高野山大学大学院密教学科修士課程修了(密教学修士)。近畿大学法学部卒業(法学士)。2024年、仁和寺にて悉曇灌頂を授かり、澄禅流悉曇を継承。 著書:『空海散歩』(筑摩書房、第6〜10巻・共著)。 自身の経験(9.11の被災、親友の自死)を機に出家。10代の頃に交通事故で生死の境をさまよう。そのことがきっかけとなりタントラ、ヨーガ、瞑想に興味を持つ。これまで、チベットやインド、ネパールなどの仏教・密教聖地を数多く巡礼。ヨーガや瞑想修行の研鑽に励んできた。チベットで「天」、高野山で「光」の一字を授かる。初心(菩提心)を忘れないために「天宮光啓」の名で活動。

