【小説】天仕の少年と人間の少女の物語 前編 第七話 女性医師
第七話 女性医師
「お初にお目にかかります。エルキュール様。フェリシア様。リシテキアと申します。以後お見知りおきを。」
私の隣で、プラチナブロンドの髪、金色の瞳の女性が跪いて、2人に向かって挨拶をした。その後立ち上がってニッコリと笑ってみせる。
「は、初めまして。フェリシアです。」
「フェリシアの兄のエルキュールと申します。」
2人がリシテキアに向かって礼をする。
本日仲介したエステル先生は会議があって来ていない。空いている教室を借りて、4人で顔を合わせている。
フェリシアも私が診察をしてからは、なぜか調子を崩しておらず、院に普通に通えているらしい。
「お話はエステル先生と、アルフォンスより伺っています。私はまだ院に研究生として在学している身ではありますが、医学については学んでおりますので、フェリシア様のお力になれると思います。ただ・・。」
リシテキアは表情を曇らせる。
「私はエステンダッシュ領に長い間留まれないかもしれないので、並行して女性の医師は探された方がよろしいかと思われます。」
「エステル先生から、その旨はお聞きしています。情けないことに、なかなか女性医師が見つからないのです。期間限定でも助かります。」
「かしこまりました。謹んでお受けいたします。」
彼女は、エルキュールに笑いかけた。
「私もアルフォンスと共にエステンダッシュ領に来ましたので、この地には不慣れです。代わりにいろいろ教えていただけますと助かります。」
「ええ、それはもちろん。」
「一度フェリシア様の細かい診察をしたいのですが、ご自宅に伺える日を決めさせていただいてよろしいですか?」
「近日ですと・・。」
リシテキアとエルキュールが診察の日程を話し始めた。
こうなってしまうと私は時間を持て余す。私はフェリシアに声をかける。
「本日の体調はいかがですか?」
「あれから身体の調子がいいのです。続けてアルフォンス様に診察していただきたいくらいです。こんなことを言ったら、また兄さまに怒られてしまいますが。」
フェリシアがほころぶような笑みを見せる。思わずその笑みに見とれてしまい、慌てて口を手で押さえて視線を逃がす。彼女の笑顔を見ると挙動不審になってしまうのが、いただけない。
でも、あの時は自分の魔力を指先から彼女に流しただけだが、何が彼女にとって良かったのだろうか?このことは、後でリシテキアともう少し意見交換しておいた方がいいかもしれない。
「アルフォンス様?」
フェリシアが不思議そうに私を見やり、小首を傾げた。
「あら、フェリシア様とも随分仲がよいのね。アルフォンス。」
リシテキアが私たちの様子を見て、口を挟んできた。声音には面白がっている様子が含まれている。
「エルキュール様。私が診察で伺う時には、アルフォンスを同行させてもよろしいですか?もちろん、診察に立ち会わせるつもりはありませんが、院でフェリシア様とお会いすることもあると思いますので、情報を共有しておきたいのです。」
「問題ありません。アルフォンスは私の友人でもありますから。」
「ふふっ。ありがとうございます。」
リシテキアは薄く微笑んだ。
いいなと思ったら応援しよう!
チップをくださると、創作を続けるモチベーションとなります。また、他の創作物を読んでくださったり、スキやコメントをくだされば嬉しいです。