なぜ薬を塗ってもぶり返すのか?相談員として見た「抑え込む」と「出し切る」の決定的な違い
「薬を塗れば一旦は引くけれど、止めるとまたすぐに痒みが襲ってくる……」
27年間、相談員として電話や対面でお話を聴く中で、このループに疲れ果てた方を数えきれないほど見てきました。あなたも今、その真っ只中にいるのかもしれません。
なぜ、多くの方がこのループから抜け出せないのでしょうか? そこには、現代の治療が陥りやすい「大きな見落とし」があるのです。
「抑え込む」ことは、悪いことではない。けれど……
まず最初にお伝えしたいのは、私は薬を否定しているわけではない、ということです。 夜も眠れないほどの痒みや、仕事に手がつかないほどの炎症がある時、その火を一時的に鎮める「消火器」としての薬の役割は非常に重要です。
しかし、相談員として気づいた真実があります。 それは、「火を消すこと」と「火の用心(火事にならない体質作り)」は、全く別物であるということです。
薬で症状を「抑え込む」のは、あくまで一時的な対処です。 もし、あなたの身体の中に「排出しなければならないゴミ(老廃物や炎症の種)」が溜まっているとしたら……。出口を塞がれたゴミは、薬を止めた瞬間に、より強い勢いで外へ出ようと暴れ出します。
「湿疹」が現れる前の、身体からのサイン
実は、湿疹がある日突然現れるまでには、身体はさまざまな予兆を出しています。
便秘がちになる
瞼(まぶた)が痙攣する
睡眠が乱れる
食欲が不安定になる
これらはすべて、自律神経が乱れているサインです。 その先に、ついに「湿疹」という症状が現れたとき、私たちは目立つ場所であればあるほど、いち早く薬で抑えようとします。
火事は消せても、「放火犯」は捕まっていない
ここで考えてみてほしいのです。 火事(=湿疹)は消火器(=薬)で消せます。しかし、その火事の原因までは対処できていません。
もし火事の原因が「放火」だったとしたらどうでしょうか。 放火犯を捕まえない限り、火を消しても、また別の場所で火事が起こってしまいます。
「薬を長期に使いたくないな」と塗るのを中止した途端、また症状がぶり返してくる。 それは、火事の原因(=湿疹に至った背景)を置き去りにしたまま、消火活動だけを繰り返している状況といえます。
犯人を捕まえるまで、火事は何度でも起きてしまう。これが、多くの人を悩ませる「ぶり返し」の正体なのです。
※大切なお願い:長期で薬を使用されている方へ
ここで一つ、非常に重要な注意点があります。
ステロイドを長期間連用されている方や、セレスタミンなどの飲み薬を使用されている方にとって、この「出し切る」という行為は、実はかなり難儀なものとなります。
なぜなら、そこには本来の湿疹の原因とは別に、「ステロイドのリバウンド」という激しい反応が乗っかってきてしまうからです。
このケースに当てはまる方は、むやみに自己判断で薬を中止し、「出し切る」行動に移すことはおすすめしません。ご自身の心身を守るためにも、専門の医療機関などと連携しながら取り組むことが大切です。
27年間の現場で見た「自律」への分かれ道
ぶり返しを繰り返す人と、少しずつ「自律」に向かう人。 その決定的な違いは、症状が出た時の「問いかけ」にありました。
ぶり返す人の問い:「どうやってこの症状を消そうか?(=抑え込む)」
自律する人の問い:「なぜ今、身体はこれを出そうとしているのか?(=出し切る準備)」
もちろん、いきなり「出し切る」のは怖いですし、勇気がいります。 だからこそ、私は27年間の記録を整理し、**「今、自分の身体で何が起きているのか」を客観的に判断するための地図(起承転結サイクル)**を作りました。
次回:あなたの湿疹には「ストーリー」がある
「出し切る」と言っても、ただ耐えるだけではありません。 湿疹には、始まりから終わりまでの一定の流れがあります。
次回は、その具体的なメカニズムである**「湿疹の起承転結サイクル」**について、詳しくお話ししようと思います。今、あなたがどの段階にいて、次に何が起きるのか。その予測がつくようになれば、アトピーへの恐怖心は劇的に変わります。
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