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【童話】三人の王子と、二匹のヒキガエル姫

むかしむかし、ある国に三人の王子がおりました。

年老いた王さまは息子たちを呼び、こう言いました。

「隣国には三人の姫がおる。

 だが人間の姫は一人だけ。

 残る二人は、ヒキガエルになっておる。

 誰が人間の姫を妻にするか決めるがよい」

長男は「もちろん、王位を継ぐ私のものだ」と言い、

次男は「いや、私がふさわしい。才覚に優れているから」と言いました。

二人はたちまち剣を抜き、決闘を始めました。

長男が倒れそうになると、次男が手を緩めるので

いつまで経っても勝負がつきません。

その様子を見ていた末の王子はため息をつきました。

「お姫さまは、賞品じゃないのにな」

そう言うと、一人で旅に出てしまいました。


深い森を三日三晩歩くと、

王子はニワトリの足で立つ奇妙な家を見つけました。

そこには片目の魔女が住んでいました。

片目の魔女の、目が見えない左側には大きなあざがありました。

魔女は王子を捕まえ、地下牢へ閉じ込めました。

地下牢には二匹のヒキガエルがおりました。

一匹は黒い目。

もう一匹は金色の目。

ゲコ、ゲコ、ゲコ

末の王子を見るなり、二匹とも大きな声で鳴きました。

王子には何を言っているのかわかりません。

夜になると、月が顔を出しました。

月の光に照らされると、ヒキガエルたちの濡れた背中が、

まるで真珠と金貨のように美しくきらめきました。

二匹は、人間の言葉を話しはじめました。

「ああ、ああ。」「悲しくて、たまらない」

しくしくと泣いています。


「どうして泣くのですか」

王子が尋ねると、

「私たちは姫なのです」

とヒキガエルたちは答えました。

「片目の魔女にこの姿へ変えられてしまいました」


「それなら、私が助けましょう」

王子は言いました。

姫たちは驚きました。

今まで誰も、そんなことを言ってくれなかったからです。

その夜、王子は牢を抜け出し、二匹を抱えて森へ逃げました。

片目の魔女は

「美しい姫、元の姿になど、戻すものか」と怒り狂い

見えないほうの左目から石を降らせました。

それでも王子は走り続けました。


やがて森の外れにたどり着くと、

一匹のヒキガエルは、ぴょこんと地面に降りました。

一匹は、王子の首筋に、きゅっとしがみついて離れませんでした。


ヒキガエルたちは言いました。

「王子さま。私たちの額に口づけをしてください」

王子は少し困りましたが、言われた通りにしました。

すると、

ぽん。

ぽん。

と音がして、

二匹は美しい姫になりました。

一人は黒髪の静かな姫。

もう一人は赤毛の陽気な姫でした。


三人は隣国へ向かい、最後の姫とも出会いました。

その姫は金色の髪を持つ、賢く気高い姫でした。

事情を聞いた姫は、

「まあ、何とお礼を言ったらよいでしょう」

と深く頭を下げました。

こうして四人は、王子の国へ帰りました。


ところが城へ戻ると、

長男と次男はまだ決闘を続けていました。

鎧はぼろぼろ。

鼻には包帯。

姫たちは顔を見合わせました。

「なんだか馬鹿みたいね」

「お互いを傷つけるための戦いなら、どちらの妻にもなりません」

そう言うと、姫たちは大きなため息をつきました。

そのため息は、どんな剣よりも兄たちには効きました。

二人の兄たちはようやく剣を下ろしました。


その夜、姫たちは王子たちと語り合いました。

そして、それぞれが選んだのです。

黒髪のヒキガエル姫は長男を。

「不器用ですが、まっすぐなところが好きです」

もともと人間の姫は次男を。

「あなたは争いながらも、兄上を気遣っていましたね」

そして赤毛のヒキガエル姫は末の王子を選びました。

「だって私、ヒキガエルだった時から好きだったんだもの」




こうして三人の王子と三人の姫は結婚しました。

王さまは大喜びし、国中で七日七晩の宴が開かれました。

それ以来、人々はこう語るようになりました。

美しいものを奪い合う者より、

悲しみに隠れた心を見つけられる者のほうが、

本当の幸せにたどり着くのだと。

めでたし。

めでたし。

(おしまい)

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