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近くではなく遠くを見よ アラン『幸福論』から枕草子へ

星のスペシャリスト 中村彰正さんから
「Podcastでお話ししましょうか?」
と声をかけていただき、ぜひ、とお願いしました。
収録に向けて、どんなお話をしていただけるのかお尋ねしたところ
こんな返信が届きました。

金星のことをお話ししたいと思います。
宵の明星としてちょうど見ごろとなっていますし、
特に6月には木星も近くにあって、一段と目を引く星となりそうです。
一番明るく見える星であること、一番星は金星の別称か
枕草子の記述、地球からの見え方の周期性、
あたりがトピックになるでしょうか。
金星自体の環境のことも、できれば少し紹介したいですね。
地球温暖化とも関連がありますし。
話題になった『プロジェクト・ヘイル・メアリー』の
ロッキーのふるさとを彷彿とさせますし。

このメールを読んで、思わず空の遠くに想いを馳せました。
枕草子には

星は、すばる。彦星。夕づつ。よばひ星、少しをかし

という一節があります。
この中の「夕づつ」が、一般に宵の明星、金星とされています。
千年以上前の清少納言も、夜空を見上げながら
この星が美しいと思っていたのでしょう。

そして、またアラン『幸福論』の言葉を思い出しました。

人間の目は近くのものを見続けるように作られていない。
私たちの目は広々とした空間でこそ癒されるものなのだ。
星や水平線を眺めていれば、目はすっかり安らいでいる。
自分のことを考えるな。遠くを見よ。

遠くを見ること。
星を見ること。
昔の人が当たり前に知っていたことを
忙しい現代の私たちは少し忘れているのかもしれません。
私はもともと星空が好きでしたが
このPodcastをきっかけに以前より夜空を見上げるようになりました。

リスナーの方からも、
「最近、夜空を見るようになりました」
というお便りをいただくことがあります。
自分のことや身の回りのことばかり考えず、ときどき夜空を見上げること。
それだけでも、心や目が少し休まる気がします。
そして「遠くを見る」とは、目だけのことではないのかもしれません。

心を遠くへ向けること。
そうすれば、日々の小さな棘に囚われ続けることも
少なくなるような気がします。
昨晩の収録でも、初めて知ることがたくさんありました。

知らなくても、今日の暮らしに困ることはありません。
ですが、夜空や宇宙のことを知ると
心の中に少し豊かな場所が生まれる気がします。
中村さんのお話は、科学から文学へ
そして私たちの日々の暮らしへと広がっていきます。

今回もそんな豊かな時間になりました。
できれば週末には、みなさんにお聞きいただきたいと思います。


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