電車のドアに貼られた
演劇のポスターの絵の中に
どの役になれるか
目を閉じる
出会った人達を巻き込んで
エピソードを重ねながら
進む芝居
毎日送られる台本
ラストシーンは
描かれていない
照明で乾いた傷
だれのせいでついたのか
手で隠して
演じる
頬を流れて
床を濡らす雫たち
足もとが濡れている
滑りそうな危うさ
揺れた身体
支えるように
右手がつかんだのは
つり革
地下を抜けた電車
雨が窓を叩いている
窓を流れる水滴
映るのは
歪んで疲れた現実
作り笑顔で
嘘をつく
駅を出ると
暗転した中で
濡れた地面
靴が擦れる音
いつ幕は降りるのか
知らない