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小さな幸せを味わうこと(『老子』十二章)

今回取り上げるのは『老子』十二章からの言葉。

聖人は、腹を為して目を為さず
(読み:セイジンは、ハラをナしてメをナさず)

『老子』十二章

立派な人は、お腹をいっぱいにするようにして、見た目の派手さは求めない、という意味。

つまり、刺激的な物に捉われるのではなく、自身の内側を豊かにしていきなさい、ということですね。


「目を為さず」とありますが、これはあくまで一例であって、視覚的なものに限りません。

老子は他にも、以下のような「刺激」に注意するよう述べています。

  • 色鮮やかすぎること

  • 音が激しすぎること

  • 味が濃すぎること

  • 趣味が贅沢すぎること

  • 収集癖がひどすぎること

これらは外的な刺激であり、こなすことで一時的な快楽は得られるでしょう。

しかし、こういう類の刺激に対して、私たちの脳は貪欲です。

1回目に感じた満足感より、2回目に感じる満足感の方が小さくなってしまう、という限界効用逓減の法則が適用されるのです。

そのため、2回目、3回目と進むにつれて、満足するためには前回よりも大きな刺激が必要になってしまいます。

すると、

「今度はあれが欲しい!」
「もっともっと……!」

というように、欲望が際限なく大きくなってしまうのです。

こうした傾向について、古代中国の人たちも感覚的に知っていたのかもしれません。

そこで老子は、外的な刺激に頼るのではなく、自分の内面を育てることを勧めています。

私を少なくし、欲を寡なくせよ
(読み:シをスクなくし、ヨクをスクなくせよ)

『老子』十九章

自分勝手な利己心や欲望を少なくしなさい、という意味。

足るを知れば辱しめられず、止まるを知れば殆うからず
(読み:タるをシればハズカしめられず、トドまるをシればアヤウからず)

『老子』四十四章

欲張らずに満足することを理解している人は、屈辱を受けて苦しむことがなく、適切なところで立ち止まることを理解している人は、自身を危険にさらすようなことがない、といった意味。

自分の欲望をコントロールして、目の前にある小さな幸せや楽しみを味わうこと。

そうした一つ一つの積み重ねの先に、穏やかで満足感のある日々が待っているのではないでしょうか。


ちなみに、私は外部の刺激に頼らずに過ごせるように、小さな工夫を続けています。

例えば、朝起きてすぐにスマホを見るのではなく、まず窓を開けて空気を入れ替える。

一日の終わりには、静かに読書をする時間を作る。

天気のいい日は、散歩をしたり、ベランダでのんびり日光浴をする。

こういった小さな習慣を続けていくと、ふとした瞬間にハッとすることがあるのです。

「今日はいつもより空気がさわやかな気がする」
「気づけば、今月は意外と本を読めてるな」
「日光を浴びるのって心地いいな」

本当に些細な気づきなのですが、こうした「心地よさ」や「嬉しさ」を積み重ねたからか、なんだか以前よりも毎日が明るくなったような気がするのです。

外からの刺激に頼らなくても、自分の内面を充実させていく意識を持てば、毎日が少しずつ明るくなっていきます。

今年もそういった日々を続けていきたいな、と思った2月初頭でした。

聖人は、腹を為して目を為さず
(読み:セイジンは、ハラをナしてメをナさず)

『老子』十二章

今回は、刺激的な物に捉われるのではなく、自身の内側を豊かにしていきなさい、という言葉をご紹介しました。

年初だったり、年度末が近づいていたりで、年明けから忙しい方も多いと思います。

疲労が溜まると風邪をひきやすくなりますし、どうやらインフルエンザもまた流行しだしているようなので、皆様もお体ご自愛くださいませ。

それでは今回はここまで。

また次の記事でお会いしましょう👋

ご紹介した古典

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※ 本記事は、古典に触れたことが無い方へのわかりやすさを重視しながら、私なりの解釈を加えて作成しています。
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