かたちなき、まにまに
笑顔の人々が行き交うところ。
街を彩る装飾があって
先週までなかったラーメン屋さんが
開店している。
街はときどきドラマチックになる。
おとなな女性たるもの、よいものを
見極めるこゝろを持ちたい。
よいところを見つける目も養いたい。
わたしが生まれる前も
いなくなった後も
あるとよいものがあることとか。
そのまなざしは、どこに向かおうと
ドラマチックだと思うから。
*****
永くそこにある
積み重なった時間のように
日常の中にそっと寄り添うように
かたちないものは
かたちなく愛おされてほしい、と思う。
かたちあるものに気をとられると
かたちないものへの配慮は
欠けてしまいがち。
かたちあるものも、かたちないものも、
どちらも心地よくあってほしいから
わたしに宿る五感が
惜しみなく働いてくれるとうれしい。
少しばかり身をかがめて、
まなざしの高さを合わせてみる。
かたちないものに名前をつけて
存るものにして。
親しみを込めてその名を呼んでみると
ぐっとぐぐぐっと近づける気がする。
澄みきったはるか果たてまで
こゝろを配れるような。
なんて、ドラマチックなのだろう。
*****
名前まで付けてもらった、
かたちないものたち。
いただいたお気持ちは
放ったらかしにしないで
名前のお披露目をするのはどうだろうか。
誰もがいつでもそっと呼んでくれる、
かたちないものだけの
あっぱれな名前なのだから。

ことばを重ねては
幾度も書き改むるばかり。
未熟ゆえか、
かたちないものは
ことばにならなくて。
しばし手を休めて、もう一度。
「それは、自然なこと」と
こゝろやすらぐかたちを
つくれる日々を。
昼下がり、秋暑し空の下、
かたちない蝉の声に包まれて。
