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ドコモの「パケ詰まり」はなぜ終わらないのか? FOMA停波という「遅すぎた損切り」の真実

2026年3月31日、ドコモの「長い冬」が終わる

​ドコモのFOMA終了のニュースを聞いて、「FOMA、懐かしいな」と感慨に浸っただろうか?

悪いが、感傷に浸っている場合ではない。

​2026年3月31日。この日はドコモにとって、輝かしい第3世代移動通信システムの「卒業式」ではない。長年ネットワークの首を絞め続けてきた重たい足枷が、ようやく外れる日だ。

​ここ数年、SNSでは「ドコモ、つながらない」という悲鳴が常態化している。特に都心部。山手線の通勤ラッシュや、人が密集するイベント会場。アンテナピクトは4本立っているのに、ウェブページひとつ開かない。いわゆる「パケ詰まり」だ。

​かつて「通信品質最強」を謳った王者の姿は、そこにはない。

​なぜ、こんなことになったのか?

理由はシンプルだ。他社が早々に捨て去った「3G(FOMA)」を、ドコモだけが抱え込み続けたからだ。


​「帯域の共食い」が招いた窒息

​通信品質とは、突き詰めれば「道路の車線数」の問題に行き着く。

​電波という道路の幅は決まっている。ドコモはこれまで、ガラケーユーザーのために、限られた道路の何車線かを「3G専用レーン」として確保し続けなければならなかった。

​KDDI(au)は2022年に、ソフトバンクは2024年に3Gを切り捨て、そのレーンを全て4G/5Gという「高速道路」に塗り替えた。

​一方、ドコモだけが2026年まで3Gレーンを残した。結果、爆発的に増えるスマホのデータ通信(5G/4G)が、狭いレーンに押し込められ、大渋滞を起こした。これがパケ詰まりの正体だ。

​「遅すぎた損切り」と言わざるを得ない。

だが、その苦渋の期間もようやく終わる。FOMAの停波によって、ドコモは広大な空き地を手に入れることになる。

​黄金の「Band 1」と「Band 19」が解放される

​FOMAが占有していたのは、ただの周波数ではない。モバイル通信において最も使い勝手の良い「黄金の周波数帯」だ。

  • ​2GHz帯 (Band 1):世界共通のメインバンド。都市部の容量対策に必須。

  • ​800MHz帯 (Band 19):山間部やビル陰に回り込む「プラチナバンド」。

​2026年4月以降、これらの帯域は順次、5Gおよび4G専用に転用(リファーミング)されていくだろう。

​今まで「FOMAがいるから」という理由で、無理やり5Gと4Gを共存させていた技術(DSS)への依存も減るはずだ。純粋な5Gの帯域が増えれば、見かけ倒しではない、本当の高速通信が可能になる。

​しかし、周波数が空くだけで全てが解決するわけではない。

ここで重要になるのが、我々ユーザーが最もストレスを感じる「屋内の壁」だ。

​空からの「HAPS」は、地下鉄を救えない

​今回のFOMA終了後の帯域活用として、一部で期待されているのが「HAPS(成層圏プラットフォーム)」への転用だ。

​HAPSは、高度約20kmの成層圏から地上に向けて電波を飛ばす「空飛ぶ基地局」である。

もし、FOMA跡地の2GHz帯などがこのHAPSに割り当てられれば、今のスマホがそのまま繋がる「夢のインフラ」が誕生する可能性がある。

​Starlinkのような専用アンテナは不要。山間部や災害時には最強の通信網になるだろう。

だが、過度な期待は禁物だ。

​HAPSの電波は、コンクリートのジャングルを貫通できない。

衛星や成層圏からの電波は、基本的に屋外での利用が前提だ。我々が日々ストレスを感じる「地下鉄」や「オフィスの奥まった会議室」、「タワマンの高層階」には届かない。

​HAPSはあくまで「エリア(広さ)」を広げる武器であって、「キャパシティ(密度)」を救う特効薬ではないのだ。

​勝負は泥臭い「地上戦」で決まる

​結局のところ、都市部のパケ詰まりを解消するのは、地味で泥臭い「基地局の数」しかない。

ドコモはこの事実を痛いほど理解しているはずだ。だからこそ、2025年後半からの計画に、狂気じみた数字を盛り込んだ。

​「基地局建設ペース、3倍増」

​FOMA維持に使っていた膨大なコストと人的リソースを、全て「地上の5G基地局」の増設に振り向ける。

​魔法はない。物理的にアンテナを増やし、密度を高め、屋内の不感地帯を潰していく。かつてFOMAで「どこでもつながる」を実現したときと同じ、圧倒的な物量作戦だ。

​結論:2026年、ドコモは「最強」を取り戻せるか

​FOMAの終了は、ドコモにとっての「リセットボタン」だ。

​3Gという遺産を清算し、他社と同じスタートラインに立つまでに、随分と時間がかかってしまった。その代償として失った信頼も大きい。

​しかし、腐ってもドコモだ。

解放された黄金の周波数(Band 1/19)と、なりふり構わぬ基地局の乱立。この2つが噛み合えば、2026年のドコモ回線は劇的に変わる可能性がある。

​空からのHAPSという「ロマン」もいい。

だが我々ユーザーが真に期待しているのは、満員電車の真ん中でも、地下のカフェでも、当たり前に動画が再生されるという「現実」だ。

​FOMAが消えた後の世界で、ドコモがその現実をどう証明してみせるか。厳しい目で見守りたい。



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