初心者向けって言ったの誰?|瑞牆山日帰り登山の話
「東京から日帰りで行けて、初心者にも登りやすい山です」——。
11月最初の三連休、夫の友人たちと登山に行こう、となり瑞牆山に登ることが決まった。
「みずがきやま…?」
大阪出身の私は、その名も聞いたことがなく。
百名山らしい、ということで色々検索して、目にしたのが上述の記載。
年に1〜2回、六甲山を登っていた時期が、あったなぁ…
そんなレベルの私、ここ最近は登山靴を履く機会もほぼありません。
今の季節なら紅葉もちょうど良さそう!
関東なら、山梨まで日帰りで行けちゃうんや!
初心者向け、という文字が頭に刷り込まれた私は、ただワクワクだけ背負って、11月3日の特急あずさ1号に乗っていたのでした。
8:50 韮崎駅
韮崎駅に集合し、予約していたジャンボタクシーで瑞牆山荘まで。
駅からのバスは混雑して乗れないかもしれない、などの情報を見ていたので、安心快適なタクシーを選択。
須玉三共タクシーさんにお世話になりました。
9:50 瑞牆山荘を出発
わー期待どおり、紅葉とても良い!
赤、黄、オレンジ…
開けた景色!
…はい、この頃はまだ景色を楽しむ余裕がありました。

10:35 富士見平小屋
まだ元気。
でもこのあたりから結構風が強くて寒いところが出てきます。

11:15 桃太郎岩
まだ、なんとか元気。
ちょうど桃太郎岩に着いた頃、吹雪いてきましたが、フードをかぶってやり過ごす。
止まっていると寒いので、進みます。
試練はここからでした…

前評判でも知っていましたが、岩が多い(泣)
鎖場も結構ある。
私、前から気づいていましたが、怖がりなんです。
山を登っていて、何が辛いって息切れよりも恐怖心が出てくること。
高所恐怖症もあるのかもしれませんが、何より自分の運動神経に自信がないのです。
それが顕著に現れるのが岩場。
どこに手をかけるか。
どこに足を置くか。
つかみ損ねるんじゃないか。
滑るんじゃないか。
岩場では、相当な恐怖と戦って…いや、押さえ込むことができないので、とも連れにして進みます。
さらに出現する岩の上の雪。
残雪なのか、今年の雪なのか分かりませんが、積もって凍っている箇所もありました。
軍手がびちゃびちゃ…(涙)
それが冷えてキンとくるーーー
岩場で指先を使いまくっているからでしょう。
同じグループの他の人たちより、びしょびしょになるのが早かった。
スイスイ登っていく子供がいる。
なんで?怖くないの??
その身軽さと、勇敢さがめちゃくちゃ羨ましかったです。
「恐怖心」って、体力より重たい荷物。
日頃は、「別人になれるとしたら誰になりたいか」という問いに「大谷翔平」と答えている(自問自答)のですが、この時ばかりは、山登りのプロに変身したかった。切に。
恐怖心の連続に脳が麻痺してきた頃、手足の疲れもピークに。
同じグループの人たちは、最初こそ、途中途中で待っていてくれましたが、私にプレッシャーをかけまいと、彼らのペースで頂上を目指し、夫だけが私に合わせて牛歩のように進んでくれました。
「ほんまに、このガクガクした足で、登り切れるんやろか」
力が入らない…
途中で下山しようか…
でも、きっと皆さんは頂上で私たちを待っていてくれてる。
下山を伝えるすべがない…
登らなければ、帰れない。
その一心で、岩を掴んで足を動かしていました。

(人が登っているのを待つ時間があったので
やっと写真を撮ることができました)
13:15 山頂
こんな私でも山頂に到着できました。
動き続けていれば、いつかはゴールに辿り着くんだと実感。
ただ、手放しで喜べない事態。
山頂も岩だらけの斜面でゆっくり腰を下ろせるような感じではなく、一歩間違えればゴロンと転落しそうな崖っぷち。
本当は頂上で食べるために「カレーメシ(シーフード味)」を持っていっており、めちゃくちゃ楽しみにしていたのですが、風も強く、長居はできないとなりました。



13:30 下山開始
登っている時は、「こんなところ、降りれるんやろか」と帰りの心配ばかりしていましたが、意外にイケる大きな岩場。
ただ、手をつきまくり、お尻つきまくりです。
下りにもコツがあるんだろうな。
めちゃくちゃ軽装(トレーナー&スニーカー)の若い男子がひょいひょい抜かしていきます。
ああ…いいな、運動神経…

またしても、メンバーには先に行ってもらって、マイペースに降りていたところ、衝撃の事実に気づきます。
待って…このペースやと帰りのタクシー間に合わなくない・・?
今回、帰りも瑞牆山荘の登山口にジャンボタクシーのお迎えをお願いしておりました。
事前調査でみた様々な登山ログのコースタイムが平均5時間〜5時間半。
自分の初心者具合を加味して、6時間は見ておきたい、ということで余裕を持って16時のお迎えを予約していたのです。
…全然余裕じゃない
瑞牆山荘に16時に戻るには、富士見平小屋に15:10くらいには戻っておきたい。
なのに。
桃太郎岩もまだ見えてないのに、YAMAPで位置を見ても、全然進んでないように見えるこんなところで、14時半を迎えてしまった…
そこからは、初めて焦りが加わり、どれくらい意味があるかわからないけれど、ほんの少しだけ、恐怖心が引くブレーキぎりぎりまでアクセルを踏んだ。
何回か、砂や砂利で足を滑らすたび(大して滑り落ちてもいないのに)泣きそうになってしまった…
間に合うのかなという不安と、どう頑張っても間に合わないだろうという薄い諦めのなか急がなければならない無念さ。
でも、やっぱり足を動かさなければ帰れない。
足を動かすことしか、できることはない。
楽しい、とか景色が綺麗、とか、熊の恐怖、とかそういう気持ちは微塵もなく、修行のように歩きました。
15:40 富士見平小屋
小屋が見えた時、駆け出したくなって。
…なんだ、まだ走れそう、とちょっと笑っちゃいました。
同行の皆さんは、強風の寒さの中、小屋内ではなく、外のテーブルでコーヒーを沸かしたり、カップラーメンを食べたりして待っていてくれました。
でも、風が強く、外気も低いため、お湯が全然沸かなかったとのこと。
ラーメンはカッチコチ。
私はというと、とりあえず、まだ予約の時間になっていない、ということで急ぎタクシー会社に電話。
今、富士見平まで戻ってきた、ということで瑞牆山荘のお迎えの時間を遅らせてもらいました。
一安心。。
ここからは、大きな岩場はなかったはずですが、違う問題が。
いわゆる「膝の爆弾」
1年に1回くらいしか登らないのに(だから??)下りでいつも膝がやられます。
この山行きが決まってから、毎日スクワットしたんだけどな…
横向きに降りたり、岩場でしまっていたポールを活用して、なんとかやり過ごし…
16:35 下山完了
須玉三共タクシーの行きと同じ運転手さんが、車内を温めて待っていてくれましたT-T
暖かいって幸せ!
皆さんは、紅葉の秋と雪の冬が共存する今回の山行、とても満足でテンション上げ↑だったみたいです。
私は、というと、ずっと自分の弱さを向き合っていたような、結構辛い行程でした(この日記にその暗さが出ちゃってますね笑)
でも、人間って便利なのか愚かなのか、その辛さはもう結構、忘却曲線に乗って、今では、写真を見て「綺麗だったな〜。頑張ったな〜」と振り返ることができるくらいになっています。
また、どこか登りたいな。
次は、防水の手袋必須!
【追記】
登山靴が今回だいぶ頑張ってくれていました。
2011年に屋久島に行くときに初めて買ったもので、約15年にもなる長寿命選手。
何年か前、使用後に水洗いして、寒いお外に干してしまったため、つま先部分の素材にヒビが入っていたのです。
今回、その部分が岩に擦れたりして完全に欠け落ちてしまいました。
私の代わりに傷を受けてくれてありがとう。

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チップがいただけるような書き手になれたら、次なるステップのため「枕詞辞典」か「うたことば辞典」を購入したいと思っています