我が子は私を「ガーガ」と呼ぶ。それがいいなと思った話。
なんで?と思ったけれど、もうずっとそうだから、まあいいかと思っている。
「ママ」でもなく「お母さん」でもなく、「ガーガ」。
ママ感がゼロ。
ずっと、そう思っていた。
子育てに自信が持てなくて、どこか他人事のような気がしていた。
どうやらわたしの中に「理想の母親像」というものがあるらしい。
優しくて、料理が得意で、子どものすべてを受け止めて、愛情深く抱きしめる人。
わたしは、どう考えてもその型に収まれない気がして。
だからだろうか、「ママ」と呼ばれるたびに、どこかで違和感があった。
「母親らしく」なれていない気がした。
そんなある日、映画『崖の上のポニョ』を久々に観た。
宗介という男の子が、母親のことを「リサ」と呼んでいた。ママでも、お母さんでもない。
普通に名前で呼んでいた。
その瞬間、肩の力が抜けた。
「あ、ママじゃなくていいんだ。」
子どもが親をどう呼ぶかなんて、決まっていなくてもいい。
大事なのは、どう呼ぶかじゃなくて、どう関わるかなんだ。
そう思えたら、少しだけ心が軽くなった。
そんなある日、我が子が突然、私のことを「ガーガ」と呼び始めた。
最初は「え??」となった。
どこから来たのかわからない。
誰もそんな呼び方、教えていない。
なぜ?
意味はわからないけど、我が子は自然にそう呼ぶ。
何度も、当たり前のように「ガーガ」と言う。
「ママって呼んでみる?」と言ったこともある。
でも「ガーガがいい」と言った。
不思議だったけれど、それが妙にしっくりきた。
ガーガ。
名前でもなく、役職でもなく、ただの「わたし」。
それでいい。
いや、それがいい。
「ガーガ」という響きが、
わたしをあるべき理想から解放してくれた。
わたしは、わたしなりのやり方で、子どもと一緒にいればいい。
ガーガとして、今日も生きる。
我が子がこれをどういう意味で呼び始めたのかは、今でもわからない。
いつか本人に聞いてみたら、照れて何も言わないかもしれない。
それとも、覚えていないかもしれない。
でも、それでもいい。
わたしは「ガーガ」としてここにいる。
それなら、なんか真っ白なキャンバスに、これから何でも描けそうな気がする。
