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最後まで自分の足で歩くにはどうしたらいいですか?

「絶対に自分の足で歩く!」

長生きの秘訣は、食生活に気をつけるとか運動習慣をつけつるとかそんなことよりも、最終的にはそういった覚悟や決意ではないかと、とある利用者さんに思わせられたんですよ。

Yさんは両膝が悪くてですね、かつ心不全でして。
膝は曲げると痛くて、手にもっている箸の長さを合わせるときテーブルに箸を突き立てるみたいに棒でして…
膝を曲げずに歩くって…ちょっとやってみてください。まぁ…歩きにくい。だからね、歩幅がとにかく狭くて歩くのがめちゃ遅いんです。どんどん後続の利用者さんに追い抜かれていく。
で、心不全でしょ。20メートルも歩けば心臓がバクバクして息切れしてしまうんです。

もうね、車椅子を使ってもいいレベルなんですけど…
「車椅子ありますけど座りますか?」と声をかけても、
「リハビリの先生がね、歩かないとダメっていうからね、大丈夫、自分の足で行くから」の一点張りでね、断固として車椅子には乗らないんですよ。
はじめてウチのデイサービスに来た時はね、杖2本(T字)使って歩いてまして。松葉杖以外に杖2本ついている人初めて見ました。
おいおい!危なっかしい!
って思うよりも先に、なんといいますか、杖2本のフォルム?スタイル?が、なんかカッコよくてですね…侍みたいで強そうで。

Dear、リハビリの先生。

この杖2本歩きは正しいのでしょうか?
仮に杖一本の先端が滑った場合、柔道の大外刈りのごとくYさんは一回転してしまわないでしょうか?

みなさん、どう思います?

杖ってですね、上半身の体重を支えるのに割と腕の力を使うんですよ。杖を握る握力が必要で、体を支えるために上腕三頭筋・肩の三頭筋・大胸筋も使うかな。けっこう体力がいる。心臓に負担がかかる。足の甲は浮腫んでいるし。

「リハビリの先生がね、歩かないとダメっていうからね…」

Yさん、脳内に刷り込まれたようにデイサービス来た時は必ずこの言葉を口にする。人間の潜在意識とか思い込みの力ってすごいですね。

「シルバーカーの方が歩きやすいと思うので、デイサービスではこちらを使ったらどうですか?」

本人は杖2本で歩行が安定しているようだが、ぼくら介護職員から見ると両端崖の細い道を歩いているように見えるので、デイサービスに来た時はシルバーカーを勧めたんです。

「使い慣れてないから…」

と最初は拒否していたものの、ぼくらが毎回声かけをして、最近ではシルバーカーを求めるようになってきました。杖2本の呪縛?から解放に向かっている。

「慣れないけども、この方が歩きやすいわね〜」

でしょ!でしょ!

歩行スピードも歩行距離も杖2本の時よりも向上したし。

でね、今日、デイサービスのフロアから食堂フロアに移動する時にね、Yさんのお席はなるべく出入り口に近いように配座を心がけているんですけども、デイサービスは曜日によって顔ぶれが違うものですから、その日は出入り口から少し遠いお席になってしまったんですね。つまりですね、歩く距離がいつもより数メートル長い。

「今日、いつものお席よりちょっと遠くて、あちらのお席になります」

「え?いつもの席じゃないの?」

眉間いシワを寄せてかなり何色を示すYさん。

「申し訳ありません。ちょっと頑張っていただいて…」

「できればね、一歩でも近い方がいいんだけど…」

一歩でも…

一歩でも!

それでも…車椅子は断固として乗ろうとはしない。彼女には「覚悟」と「決意」があるから。

でも、一歩でも、半歩でも、近い方がいいらしい。

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のざき寿(ひさし)@元お笑い芸人 介護は大変。介護職はキツイ。そんなネガティブなイメージを覆したいと思っています。介護職は人間的成長ができるクリエイティブで素晴らしい仕事です。家族介護者の方も支援していけるように、この活動を応援してください!よろしくお願いいたします。