ストレンジャーシングス5感想/つまらない理由を構造から紐解く,海外評価低い?ネタバレあり
ストレンジャーシングス5(シーズン5)を最終回まで完走!ついにNetflix史上最大の人気ドラマが終幕を迎えた。
しかし、海外レビューサイト・ロッテントマトズではオーディエンス評価56%と酷評気味の扱いを受けている。
最終話は感動したいっぽう、個人的にかなりストレスも溜まった最終シーズンだった。「答えを出してしまったストレンジャーシングス…」納得いかなかった理由を語りたい。
エルではなく、カミングアウトしたウィルが主人公に!
シーズン5の主人公は実質ウィルだった(あとホリーの出番もめちゃくちゃ多い)。最終章なんだからエルのシーンをもっと増やせば良かったのでは?
しかしでも、エルの登場シーンが少なめだけならシーズン4もそうだし全然許容範囲。
しかし個人的に良くないと思ったのは、ウィルのゲイカミングアウトが物語の中心に据えられてしまったこと。
ウィルがゲイなのも、彼がカミングアウトして承認されるのもそれ自体は全然問題はない。
カミングアウトすることで能力が覚醒する設定により、カミングアウトが主題になってしまったところに問題があるのだ。
ストレンジャーシングスのテーマは隠キャたちが勇気を振り絞って親友と世界を救う!というもの。
隠キャだとしても僕たちは最高!そのままでいい!これが、LGBTQのカミングアウトで上書きされてしまった印象を受けた。
隠キャの自己承認と、性自認に関する周囲の承認。これは似ているようでちょっと印象が異なる。
ダスティン、マイクを筆頭にした隠キャたちに関しては、周囲に承認されなくてもいい!オタクな俺たち最高!という姿勢がカッコよかった。
しかし、ウィルに関しては周囲に同意と賛同を求める姿勢となっている。
つまり、これまでのシーズンとシーズン5でテーマの力学が反転している。
このテーマズレがかなり引っかかったし、ストーリーの尺もずいぶん食ってしまった。だから海外の一般視聴者の評価も異様に低いのではないだろうか。
裏側世界の真実なんか知りたくなかった(笑)
最終シーズンなので仕方ないが、ぶっちゃけ裏側世界の真実なんて誰も知りたくなかったのでは!?
みなさんがストレンジャーシングスにハマった理由はなんだろうか?それは少年たちが不思議な場所・裏側世界(アップサイドダウン)の謎に迫っていく過程の独特の雰囲気にシビれたのではないだろうか(私はそう)。
このドラマで大事だったのは、よくわからない裏側世界に想像を掻き立てられることである。ミステリーと同じで、犯人を想像する過程が1番面白い。
しかしシーズン5では、黒幕がヴェクナだと犯人がネタバレされた状態で始まる。「エルがヴェクナを倒し、ある程度の謎が解明されて終わるんでしょ?」と最初から想定できてしまう。
解決しなければいけないので仕方ないが、緊張感がないし想像力も働かない。
裏側世界はそれ自体が何らかの目的というより、ワームホールという手段であったこともがっかりだし、アビスは他の次元か遠い宇宙の惑星という普通すぎる設定。
裏側世界に正体や物理法則を与えた瞬間、恐怖心がコントロール可能になっていた。
ストレンジャーシングスの魅力は「裏側世界の理解の不可解さ」だったからだ。
シーズン5はこの怪異をSF設定に回収してしまった。解決すべきでない要素にも設定をつけてしまった。
その結果「80sホラー → 現代SFへの揺り戻し」が起こってしまったように思う。
謎が解決されることで、80年代の独特の雰囲気から2026年の現実へと引き戻されていくやや興醒めな過程を堪能してしまった。
奇妙な出来事(ストレンジャーシングス)が解決に向かうことなど深層心理では誰も求めてなかった気がする。
階層が複雑で、対話や各チームの連携が少ない
これも最終シーズンなので仕方なかったのかもしれないが、シーズン5はみんなでわちゃわちゃ作戦を実行していただけで終了した感が否めない。
ヴェクナを探す作戦、ホリーやマックスを救出する作戦、アビスの衝突を止めてヴェクナを倒す作戦。作戦の連続で、個々のキャラクターの感動的な対話が少なかった気がする。
キャラ同士の対話が「感情をぶつけ合う場所」じゃなく「作戦確認の場」になっていた。
あとは、現実、裏側世界、集合意識、惑星アビスという4つの舞台があって複雑な階層だった割に、別にチームの連携がそこまで上手く描かれていたわけでもないのが気になった。
ホッパーが水槽を叩いてヴェクナの集合意識にいるエルに合図を送る以外は、各階層同士の面白い連携が少なかった気がする。異なる階層でミッションが同時進行する『インセプション』とは差があった。
まとめ
ウィルのカミングアウトが物語の主題に見えてしまった
裏側世界の謎が明かされることで、現実に引き戻されてしまう
作戦と謎が明かされる骨格ばかりで、ストーリーの脂身のようなものが削ぎ落とされていた
極上の雰囲気モノに後付け設定をつけて、こんなドラマだったっけ?状態になっていた。
シーズン5をつまらないと感じてしまった理由はこんなところ。
ゲームオブスローンズの最終章とかも海外では大酷評だったが、人気シリーズの最終回は難しいものなのだろう。色々書いたがシーズン1からずっと楽しんできたシリーズだし、キャストや制作スタッフにお疲れ様でしたと言いたい。
