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はじめて絵本を作りました。後生だから見て下さい。

初めて着ぐるみを知ったのは、彼が作った一本の動画をおだんごさんが紹介していた記事を読んだ時だった。その動画はセリフもなければ、派手さもないわずか3分ほどの動画だった。『Recipient』というタイトルのその動画は直訳すると『受取人』という意味で、日常生活の些細な事から色んな物を受け取り溜め込んでしまってそして身動きが取れなくなる、そんな内容だった。

着ぐるみは以前に“うつ病”と診断され会社を休職していたことがある。今でこそ職場に復帰して頑張って働いているが、それでもうつ病が完治しているわけでもなく、いまだ病院受診をしている。彼は自分の経験してきた苦しみや挫折、そして復調して職場復帰するまでの過程を記事にしている。その記事は誇張や脚色など一切なく、ただ淡々と彼が経験してきた事実が綴られている。

僕はこれまでに精神疾患などを患ったことはない。もちろん落ち込んだことはあるが仕事を休むほどではなかった。そんな僕でも着ぐるみのこの記事を読んだ時には「きっとこの記事を読んで救われる人はたくさんいるだろうな」と感じた。励ましたり、うつ病の対策などを教えるわけじゃない。ただ彼がこの期間をどう過ごしてきたか、うつ病とどう向き合ってきたかを記しただけの記事だ。それでも僕は彼の記事を読んで「自分だけじゃなかったんだ」と安心する人はいるような気がした。


そんな着ぐるみが作った動画は心に沁みる優しい作品だった。少なくとも僕は動画見て大きな感動をもらった。何度も何度も繰り返し再生した。こんなに素晴らしい動画を作った彼のことを心から尊敬した。そして動画以外にも彼の記事を読んだり、彼のイラストを見たりして、彼の魅力にハマっていく自分がいた。

動画を見て程なくして、僕はひょんなことから着ぐるみと二人きりでチャットで話す機会があった。
「着ぐるみさんのイラストはとても素敵だと思います。特にあの毛むくじゃらの可愛いキャラが僕は好きです」

そう伝えた僕に彼は嬉しそうに答えた。
「あのイラストは全部iPhoneで描いたんですよ~」
「ええー!本当ですか!すごーい!!」
へへへ、と彼が打ち込んだ文字を見てなんとなく照れている姿を想像して嬉しくなった。


それからどんどんと着ぐるみと仲良くなっていった。偶然にも同じ歳ということが、さらに僕らの仲を深めていった。
アイコンを作ってもらったり、二人のハンドルネームを合わせて”コぐるみ”と名乗ったり、コラボ創作をしたりするなど、僕は彼と一緒に過ごす時間が本当に楽しかった。
仲良くなればなれほど、彼のことを知れば知るほど、僕は着ぐるみという人が好きになっていった。それと同時に彼が描くイラストが大好きになっていった。

優しいタッチで描かれる着ぐるみのイラストは見る人の心を動かすと思っている。楽しくなるイラスト、癒されるイラスト、感動するイラストなど本当に着ぐるみのイラストはバラエティに富んでいて、とても素晴らしい才能を彼は持っている。

着ぐるみのイラストを”もっとたくさんの人に見て欲しい”、”もっとたくさんの人に届けたい”、そんな思いを次第に募らせていった。
ただ、控えめな性格の彼はもしかしてそんなことを望んでいないかもしれない。僕が勝手に暴走して彼に迷惑をかけることだけはしちゃいけない、そう思っていた。


昨年の3月。東京で着ぐるみと会った。
その時になるべく重荷にならないように、あくまでさりげなく、彼にこんなことを聞いてみた。

「”いつか”さ、二人で絵本とか作れたらいいなぁ~って思ってる」

少し冗談めかして言う僕に、彼はいつもの気さくな様子で「いいね、やろうよ」と笑顔で応えてくれた。
彼の返事が本当は飛び上がるほど嬉しかったけど、なんとなく照れくさくて「うん、いつかやろう」とだけ僕は呟いた。

それから、お互いに忙しい日常を過ごして具体的に話は進まないまま、時は流れていった。


そんなある日のことだった。
僕たち二人を繋いでくれたおだんごさんが昨年に続いて今年も文学フリマ東京に出店すると聞いた。そんなおだんごさんが僕たちにこう声をかけてくれた。

「コぐるみの二人も本を作ればいいのに」

おだんごさんがどんなつもりでそう言ってくれたのかは分からない。なんとなくだったかもしれないし、本気だったのかもしれない。ただ僕はおだんごさんの言葉を聞いて、着ぐるみと約束した”いつか”が訪れたと思った。
「作っちゃう?」僕の言葉に着ぐるみは気さくな笑顔で「いいね、やろうよ」と言ってくれた。


そこから着ぐるみとの絵本作りが始まった。
僕たちが作りたい絵本はもう決まっていた。
初めて二人で話したあの日、着ぐるみがiPhoneだけで描いたと言った毛むくじゃらのキャラを絵本にしたかった。

数点のイラストと原案は着ぐるみが既に作っていた。その原案を元に僕が物語を作った。着ぐるみは足りないイラストを描いた。
何度も二人で打ち合わせをして、絵本制作を進めた。着ぐるみはたくさんのイラストを丁寧に描いた。これまでの彼の作品とは一風違ったイラストにも挑戦した。
僕は何度も文章を書き直した。毎日読んで毎日直した。自分でも何が正解かよく分からなくなることもあった。
それでも着ぐるみとの”絵本作り”は、僕にとっては喜びしかなかった。ずっと、ずっと楽しかった。


こうして出来た絵本が『アーヤと森のモフモフ』だ。

作者の一人としてこんなことを言うのは変だけど、これまで着ぐるみが描いてきたイラストの中で1番素敵な作品になったと思う。
そして自分で書いておきながらこんなこと言うのは変だけど、本当に素敵な物語が書けたと思う。

この絵本を今年5月に行われる文学フリマ東京で販売する。たくさんの人に買ってもらいたいと思っているけど、それ以上に僕はたくさんの人に着ぐるみの絵を、この『アーヤと森のモフモフ』を見て欲しいと心から願っている。


僕の親友マブダチは本当にすごいヤツなんです。
コぐるみで、はじめて絵本を作りました。後生だから見て下さい。


コッシー


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#BLじゃないよ
#ハマった沼を語らせて

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