2人きりになると、見えてくるものがある。
土曜日の朝、次男を発音のリハビリへ連れて行く。
病院は少し遠くて、片道20分ちょっと。
往復すると40分以上になる。
正直、休日の朝としてはなかなか長い。
でも私は、この時間が少し好きだ。
だって、その40分だけは、次男と2人きりだから。
車が走り出すと、次男のおしゃべりも始まる。
「もし、おうちにきょうりゅうがきたら、どーする?」
「もし、ママが100人いたら、どーする?」
「もし、ぼくがポケモンになったら?」
次男は、「もしも」の話が大好きだ。
何かを説明するときも、
「こうやって、ずどーんってやるんだよ。」
「ずどーん。ふーん、そっかー。」
不思議と、それだけで納得する。
「しゅーって。」
「ぴゅーんって。」
「どーん!」
擬音語だけでも不思議とすんなり受け入れられる。
きっとこの子の頭の中には、音や動きがそのまま浮かんでいるのだろう。
歌も好きだ。
車のCDに合わせて歌う日もあれば、急に自分の歌いたい歌を歌い始める日もある。
しばらくすると、
「ママ?音うるさいから止めて。」
なんて言う。
さっきまで一緒に聞いていたのに。
帰り道は、決まってポケモンの時間だ。
リハビリを頑張るともらえるシールを、自分で選んで持ってくる。
最近のお気に入りはポケモン。
「これは草タイプ!」
「ピカチュウはビリビリタイプ!」
「〇〇はメガ進化するんだよ!」
本当なのか少し怪しい情報を、得意げにたくさん教えてくれる。
私は「へぇー、そうなんだ」と相槌を打ちながら、ハンドルを握る。
兄弟3人でいると、次男はいつも誰かの間にいる。
お兄ちゃんの話を聞いたり、弟のお世話をしたり。
私もつい、「3人まとめて」を見てしまう。
でも、この40分だけは違う。
次男が何を面白いと思うのか。
どんな言葉で世界を見ているのか。
何が好きで、何を一生懸命話したいのか。
そんなことが、ぽろぽろと見えてくる。
毎日一緒にいるはずなのに、不思議だ。
「この子って、こういう子なんだなぁ。」
2人きりになると、改めて気づくことがたくさんある。
子どもは毎日見ているようで、案外、一人ひとりをゆっくり見る時間は少ないのかもしれない。
ご飯を作って、洗濯をして、兄弟げんかを止めて、お風呂に入れて、寝かしつけて。
気づけば、「みんな」で過ごす毎日になっている。
だから最近は思う。
特別なお出かけじゃなくてもいい。
コンビニまでの数分でも、病院までの40分でもいい。
ほんの少し、その子と2人きりになる時間を持てたら。
きっと、知っているつもりだったわが子の、新しい一面にまた出会える。
発音のリハビリに通っているはずなのに。
帰るころには、私のほうが次男のことを少し教えてもらった気持ちになっている。
