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令和8年6月の現代川柳横浜句会

 6月14日(日)に横浜市の神奈川近代文学館で開催された現代川柳横浜句会に参加してきた。

 今回のお題は、宿題が「手」「テープ」「データ」「敵」「天気」の5題と、席題が「出る」「照れる」「停止」の3題だった。今回、選者の方の都合が悪く、久しぶりに私が「出る」の選者を担当した。

 私が提出した句は以下の通り。便宜的に番号を付けます。
「手」   手加減をしてとウインク勝負前 ----------(1)
       メドゥーサと千手観音夢に出る ---------(2)
「テープ」 VHSに青春詰めた夏 -------------------------(3)
      私の弱い心にテーピング  ------------------(4)
「データ」 さ迷えるビッグデータの海の中 ----------(5)
      データには残らぬ魅力我は持つ   ---------(6)
「敵」   戦終え敵も人だと判る夜 --------------------(7)
      敵自滅手に入れた勝持て余す --------------(8)
「天気」  為政者の天気相場で生活苦  ----------------(9)
      人生は迷ってばかり天気雨   ------------(10)
「照れる」 褒められてでへへでへへと照れ笑い ----(11)
      褒め過ぎて下心見え照れ隠し --------------(12)
「停止」  停止とは負けと言われた二十代 -----------(13)
      停車場で運の欠片を拾ってる --------------(14)

 今回の入選句は、(3)(7)(12)の3句だけだった。特選は無し。

 今回の入選句について一言コメントと、気になった事を書いておきます。

(3) VHSに青春詰めた夏
「テープ」という題では様々なテープが思い浮かんだ。船が出向するときに
陸に残った人との別れを惜しむ色とりどりの紙テープ。救急ばんそう膏の傷テープ、マラソンのトップの選手がゴールで切るテープ、録音録画のテープ等、結構多種多様だと思った。その中で、楽しかった若い夏の思い出を記録したVHSのテープを何とか川柳にしたかった。選者に思いが伝わったようだ。

(7) 戦終え敵も人だと判る夜
他の方の入選句にあった敵は、ウィルス、恋敵、仕事上の同業者、恋人や配偶者など逆の意味の敵と様々だった。私の句の「戦」は、様々な場面での死闘とも言い換えられる厳しい競争をイメージしている。死闘の後の余韻を表現したかった。

(14) 褒め過ぎて下心見え照れ隠し
この句は特に説明は無い。そのままだ。円滑な人間関係を築きたいとか、相手に良く思われたいとか、世渡りに必要な嘘だとか。上手な人は嫌味にならない、嘘だと相手に思わせない。しかし、私はこんな嘘が下手で相手に見破られてしまう。この性格はきっと死ぬまで治らないだろう。

 今回、私の出した句の多くがボツになった。あまり体調が良くなかったとか、川柳の題について考える心の余裕があまりなかったとか、気合が入らなかったとか、理由はいろいろあった。しかし、それでも出すだけは出した。

 今回、久しぶりに選者をやって、自分の感覚のずれに気付いた。「出る」の題で、「一日分ゼンマイ巻いて出る準備」というAさんの句を入選句に選ばせて頂いた。

 選を終えて披講も終えた後で、「待てよ、『ゼンマイを巻く』という表現は川柳としては巧いが、これは50年前の話だな」と、気付いた。私の子供の頃は、ゼンマイ仕掛けの時計やおもちゃがたくさんあったが、今はそんな物は見かけない。川柳としては佳句だが、時代遅れすぎて不適切だったなと、後から気が付いた。

 この事を出席者の皆さんに話すと、Aさんは「誰が選者かを考えて出した」とおっしゃった。きっと、私のことを「昔の感覚を引きずったまま今を生きている人間」と見抜いていたのだろう。Aさんは私より一枚上手だった。

 現代川柳横浜句会の出席者の皆さんは猛者揃いで、次回、選者を担当するときは、今回より気合を入れて掛からねばならないと反省した。

 


 

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