高市政権が直面しそうな「危機」を予測する
2026年2月23日、アメリカの財務長官ベッセント氏は、日本の片山さつき財務大臣との非公式の会談のさいに、つぎのように述べたようです。
「このままでは日本の高市総理は、少し前のイギリスの首相だったトラスかメイになってしまうかも知れない」
このことが今後の日本の政局に及ぼす可能性について少し考えてみました。
まず、昨2025年に発足したトランプ政権のもと、アメリカのベッセント財務長官が、高市早苗首相に対してイギリスのリズ・トラス元首相やテリーザ・メイ元首相の名前を引き合いに出して警告したというニュースは、現在の日本の政局において非常に大きな意味を持つでしょう。
実際、この発言は、単なる外交上のアドバイスではなく「市場の洗礼」と「党内基盤の脆弱さ」という、政権運営における二大リスクを指摘したものだと考えられます。
まずベッセント氏が「トラス」と「メイ」という二人の名前を出した背景には、高市政権が直面する可能性の大きい「失敗のパターン」への懸念があります。
その事例として「市場による拒否」に遭遇したイギリスの元首相リズ・トラス氏は「トラスノミクス」とでも呼ぶべき財源の裏付けのない大規模な減税策を打ち出し、ポンドの急落と国債の暴落を招いて、わずか49日で退陣しました。
高市氏が掲げる「積極財政」や「円安容認とも取れる発言(円安ホクホク発言など)」が、日本の国債市場や為替市場で信頼を失えば、トラス氏と同様に市場から引きずり下ろされるリスクがあるというわけです。
ついでメイ元首相は、EU離脱を巡って党内の強硬派と穏健派の板挟みになり、何も決められないまま求心力を失って退陣しました。
そこで高市氏に目を転じると、彼女は自民党内でも保守強硬派に支持されていますが、党全体を掌握できているわけではありません。対立候補を支持した勢力との溝が埋まらなければ、重要法案が通らず「メイ政権のような機能不全」に陥る可能性があるわけです。
しかもベッセント氏の発言は、今後の日本政局に以下のような波紋を広げる可能性があります。
① 財政・金融政策の「軌道修正」への圧力
アメリカ財務省は、過度な円安や日本の財政赤字の拡大を警戒していま
す。この発言を受けて、高市政権は「タカ派的(積極財政)」な色を弱
め、市場との対話や日銀との連携を重視せざるを得ない状況に追い込まれ
る可能性があります。
② 反高市勢力の「攻撃材料」に
野党だけでなく、石破派や旧岸田派の流れを汲む勢力など、自民党内のライバル勢力にとって、この「米財務長官の懸念」は格好の武器になります。「高市首相では日本経済が混乱し、日米関係にヒビが入る」という指摘がなされることで、退陣への圧力が強まる可能性があります。
③ 「対米従属」か「独自路線」かの選択
トランプ政権の閣僚であるベッセント氏がわざわざ介入的な発言をするのは、日本に関税や為替交渉での譲歩を迫る「前振振り」の側面もあります。高市首相がこれに反発して独自路線を貫けば日米摩擦が激化するでしょう。逆に屈すれば国内の支持基盤(保守層)から失望を買うことになるでしょう。つまり非常に難しい舵取りを迫られざるをえないというわけです。
以上の問題点を要約すると、今後の関心は高市首相が「市場の信頼」をどう勝ち取るかに集約されるでしょう。
こうした問題をめぐって語られたベッセント氏の警告は、高市政権にとっての「イエローカード」だと考えられます。これを機に政策の現実路線への修正が行われるのか、あるいは「トラスの再来」を現実のものとしてしまうのか、今まさに日本の経済・政治は正念場にさしかかっていると言えるでしょう。
