初めて資格試験の監督をした話📚️〜前編〜
もうイイ歳になりますが、初めて経験した仕事があります。資格試験の監督です。
持ち回りで時々誰かがやっているようで、突然話が舞い込んできました。
資格試験ですので、当然試験は休日になりますし、今更、全く経験の無い仕事をするのもいかがなものか、面倒だな…と考えましたが、逃げることはできませんでした…。
この資格というのが、自分が携わっている仕事の遥かに上を行くような内容の資格で、「自分が監督しても良いのですか?」レベルの試験です。
受験する人の多くは20代の若者です。中にはもう数年、歳をとっている人もいます。
朝8時半までに会場に集合しないといけない。会場は行ったこともない大学です。
事前にマニュアルのようなものを渡されています。これがまた分厚いのです…。ほぼ、ボランティア(休日開催なので一応代休はもらえます)の仕事にしては労力がかかり過ぎでは…?
しかし、何度も開催してきた試験だからか、事細かにセリフ(例)が記載してあります。一応前日にひと通り目を通しました。受験者が遅刻してきたら…不正をしたら…トイレに行きたがったら…地震が発生したら…など対応マニュアルがありますが、多過ぎて覚えきれません。
もういいや…なるようになるさ…。一応、補助役もいますし、無報酬だし…。と開き直り前日はさっさと眠りにつきました💤
当日。朝から雨が降っています…。とりあえず最寄りの駅まで辿り着いたものの、雨なので色々面倒になり、禁断のタクシー🚕を利用しました。
よく考えたら、交通費すら支給されていない…。1600円の出費です💧
遅刻してはいけないからと、早めに家を出たので、会場には集合時間の1時間前に到着しました。春が近いとは言えまだまだ肌寒く、冷たい雨が降っています☔
30分ほど、屋根付きベンチでボーっとした後、控室へ移動しました。問題用紙や答案用紙、監督の記録簿など必要なものが山積みに置かれていました。
補助役と合流し、マニュアルに沿ってまずは試験部屋のチェックに行きました。座席表OK。黒板の記載事項OK。座席もOK。1つ1つチェックしました。
大学の小さめの教室。私の担当する部屋は受験者は約50人の予定です。机の並べ方が雑だな…など思いながら、まあ綺麗に並んでなくても良いか…と。しかし大学で今時黒板とは…チョークも懐かしい…。
一旦控え室に戻り、主催者の簡単な説明を聞き、荷物を持って試験会場へ向かいました。
初めての経験なので、年甲斐もなく少し緊張しています。いや…。自分は監督…。この部屋では『神』のような存在でいなければならない…。と、自分を鼓舞して入室…。
いるいる…。ざっと50名…。そうです。本当に緊張しているのは、私なんかより、この50名の方なのでしょう。
教卓前の段差で躓いて失笑されないように気を付けつつ教室前方中央に向かい…いそいそとまずは問題用紙や答案用紙を整理…。そして、その後もいそいそとするフリをしながらマニュアルの台詞のチェック…。
出だしは…「ただいまより◯◯試験を行います……」だな…。少し入室が早過ぎたか…。まだ開始まで10分もある。いくらマニュアルがあるとは言え、入室して10分間も教室の前に晒されて無言なのはツラい…。何かしゃべろう…。よし…。
「試験開始は◯時です。それまではのんびりしておいてください。」
…あ。適当過ぎたかも知れない。「のんびり?」なんて言葉、受験者に向けて言っても良かったのか?まあいいか…。誰も気にしたりしないだろう…。
色々イメージトレーニングをします。解答用紙を配布して、問題用紙を配布して…。
時間になりました。最初が肝心。声質には多少自信がありますので、あとは声のボリュームと、マニュアルを棒読みになり過ぎないこと、視線も基本マニュアルのある下を向いていますが、頑張って時々前を見よう…。
「ただいまより◯◯試験を行います…。」
ざざっ…
おぉ…。受験者達が一斉に姿勢をただした気がします。大して偉くもない私の号令で、金の卵達が動きます。やはりみんな表情が硬い…。無理も無いか…年に1度の難関試験です…。
マイク🎤も準備してありますが少し位置が低く、腰を痛めそうなので使わないことにしました。
ひと通り説明を行い、答案用紙、問題用紙を配布しました。
開始5分前…。
補助役さんが近寄ってきました。
👩「あの人だけ何故か机の右側に座ってますね」
実は私も気になっていました…。みんな受験番号の表示してある机の左側の椅子に座って綺麗に1列に並んでいるにも関わらず、1人だけ右側にズレて座っているのです…。マニュアルには特に左右どちら側に座るなど書いていない…。本人は気持ち悪くないのかな?他人と違うことがしたいのか?他人と1列になるのが苦手なのか…?空気が読めないのか?敢えて読まないタイプなのか…?色々と想像を張り巡らされます…。
明確なルールは無いものの、やはりズレて座ると、斜め前の人の回答が見えてしまう可能性があるので、左にずれて座ってもらい1列に並んでもらいました…。
開始3分前…。
補助員さんが近寄ってきました。
👩「トイレに行きたがっている受験者がいます。私がついていきますので行かせても良いですか?」
いや、私に聞かれても…💧なぜこのタイミングで?試験開始を遅らせるか?いや、しかし試験中にトイレに行ったからと言って、時間を止めることはないから…。開始までに戻ってこなくても始めれば良いだろう…。私の説明が真面目で緊張してしまったのかな?しかしある程度、威厳は保たないといけないし…。
「では連れて行ってください」🚾
時間までに戻ってくるはずもなく…。
始めるか…。
「始め!!」
良かった…。短い言葉を大きな声で言うと、声が変に裏返ったりしてしまうのでは?と、少し心配しましたが、なかなか良い感じの「始め」が言えました…。
受験者を見渡します。さっと問題に向かう受験者もいれば、ゆっくりとした動作の受験者もいます。基本的にはちゃんとした若者達…。まあ試験日におかしな格好する人もなかなかいないでしょうが…。
受験票を回収しました。欠席が6人。受験者は49人でした。基本、平成15年前後生まれのようです。何世代と呼ばれる世代でしょうか。
最初は写真の照合や欠席者の確認などで少しバタバタします。
マニュアル通りの説明、動きを約30分間こなし、少し落ち着きました。あとは、主催者への途中報告と「やめ」と終了の発言をするのみ。
午前中は3時間です。一般的な教養の問題のようです。欠席者がいたので、手元に余った問題集があります。マークシート方式の5択問題です。若い時分には同様の試験を受けたりもしたものです。懐かしいな…。
どれどれ…5択だし、教養問題であれば多少はできるかも知れないな。少し見てみるか…。……う…これは問題文も異常に長文な上に、選択肢までウダウダ長い…。
どんな勉強をしたらこんなものが解けるのか…。そもそもこんな問題が人として解ける必要があるのか…?
そして、科目で言うと何にあたるのかすらわからない問題も多い…。いやいや、若いのに大変だな…。
あぁ、そうだ。きちんと監視しないといけない。しかしまぁ、3人も監視がいる中で不正をはたらこうという受験者なんているのかな?これだけの長文問題で、選択肢まで長文となると、多少単語をカンニングしたくらいでは解けないだろう…。まあ可能性としては、隣の受験者のマークシートをチラ見するくらいかな?でも隣の人の回答が合っているなんて保証はどこにも無いわけだし…。
とは言え、監視しないといけない。見渡しているだけでも不正抑止にはなるでしょう。
受験者によって、開いているページが全然違うな…。回答スピードの差もありますし、中には苦手な問題は後回しなんて人もいるでしょう。
…寒い。立っていると足元が寒いのです。暖房はついていません。受験生も寒そうだな…。なぜ暖房をつけないのか…。
よく見ると、中にはダッフルコートを着て問題に向かっている人もいる。薄着の人もいる…。試験会場とは思えない光景…。誰一人文句1つ言えない…かわいそうに…。
立ちっぱなしで腰が痛くなってきました。椅子が置いてある…座るか…いや、補助役の2人は立ちっぱなしです。私だけ座る訳には…。
午前中の試験は、教養問題だからかみんな最後まで問題に向かっています。教養問題は時間をかければ解けるタイプの問題もあるからでしょう。
誰一人として途中退室することなく、終了時間が近づいてきました。
1つ前の発言から約1時間半が経過しています。残り時間が10分になったところで、その旨伝えないといけません。静寂の中の1時間半ぶりの突然の発言…。
途中で何かアドリブで発言しようかと思いましたがマニュアルに無いことをして、迷惑を掛けてもいけないのでやめておきました。
「ただいま◯時◯分です。あと10分で終了です」
🙇♂️ビクッ!やはり…。長きに渡る静寂が続いた中、突然大きな声を発したので、驚いた受験者が数名いました。(時間を開けてハッキリと発言しようとすると、声量調整が難しいのです)
うーん。どうすれば良かったのか…?咳払いでもしてから言えば良かったのかな?驚かして申し訳ない。
刻一刻と終了時間は近付いてきました。さすがにほとんどの受験者は、手を止めて回答の見直し作業をしているようです。
時間が近付いてきた…
3…2…1…⏰️
「やめ!」
…いえ、言われなくても、ほぼ全員がやめているっぽい…。
答案用紙を回収し、午前の部終了です。
試験が始まってからは、誰もトイレには行かず、誰も途中退室はせず…。例外的な対応が不要でしたのでホッとしました。
「これで午前中の試験を終了します。午後は◯時から開始します」
と言い残し、教室を後にしようと歩き出したところ…
「先ほどは、変なタイミングでトイレに行ってしまい申し訳ございませんでした!」
と、開始直前でトイレに行った受験者が謝罪をしてきました。
「いえいえ。気にしないでください」
「トイレに行くな」なんて昭和じゃあるまいし、トイレを我慢する資格の試験(そんな資格あるのか?)であればそれもアリかも知れませんが、トイレに行くことをマイナスに捉えること自体あり得ないですし、時代錯誤でしょう。
その受験者も、マイナスにとられてしまうのでは?と心配したのでしょうが、生理現象でマイナスなんてあり得ないし、そもそも、私はボランティアみたいな監督なので、そこまで厳格では無いのです…。
回答用紙などを主催者に提出し、休憩に入りました…💤

