AI時代のUI。中島聡さんと落合陽一さんの対談で思い出した、「AIプロダクトにおける関係性の設計」
落合陽一さんと中島聡さんの対談の中で、中島聡さんがこんなことをおっしゃっていました。
パソコンのユーザーインターフェースって古いじゃないですか。
僕がWindows95のプロトタイプを作ったのが91年、ちょうど35年前。
そこの時にアイコンだとかダブルクリックだとかドラッグ&ドロップとか。
元々言えばXeroxのStarだからもう50年前。
インターフェース変わってないですから。
相変わらずiPhone使って思うのはアプリアイコンが並んでいて
(中略)
なんかもう、時代遅れだと思う、このインターフェース。
「パソコンやスマートフォンの今のUIは古い」は、決して珍しい指摘ではないと思いますが、その生みの親たる中島さんの言葉となると、指摘の重みがというか、リアリティがまったく違うように感じます。しみる。
中島聡さんのお話はいつも知的で情報に富み、氏の有料メルマガ「週刊Life is beautiful」も購読させていただいています。(毎週とても面白い!!)
上記の対談YouTubeを拝見し、1年ほど前に僕がLayerX在籍中に書いた記事を思い出しました。
1行で要約すると、以下のようなことを書きました。
生成AIとは、「人間がコンピュータに合わせてきた数十年」を終わらせ、人類が700万年かけて進化させたコミュニケーション能力をコンピュータ相手にも使えるようにする技術である。
LayerXを退職してしまったこともあるので、noteの方にも考えの骨格だけ残しておこうと思います。
1年前に書いたことですが、今なお、いやむしろこれからこそ大事になる観点だと思います。
特にBtoCの領域で「このサービスいいなぁ」というAIを使ったサービスでは、すでにこの観点が実践されているように感じます。
僭越ながら、中島聡さんのご指摘とも地続きの話です。
全体像


1. 人間は「高度なコミュニケーションの生き物」

人類は長い進化の中で、
表情(ほとんどが微妙で無意識)
身振り
声のニュアンス
匂い
言語
などを組み合わせた総合的なコミュニケーション能力を発達させてきた。
言語の「内容」はその一部にすぎない。
営業マンの方の多くが新人の頃に経験があるでしょうが、
「プレゼンの反応よかったです!検討してくれるそうです!」
と報告したら、先輩社員からツメられるっていう。
若い営業マンが頑張ってプレゼンをしていたら、ストレートに「いらない」とは、なかなか言えません。
2. コンピュータとの対話は「極めて不自然」だった

これまでのコンピュータ操作は
CLI(コマンド入力)/GUI(マウス・アイコン)
フォーム入力
定型操作
など、人間ではなく機械の都合に合わせたインターフェースだった。
つまり
人間の本来のコミュニケーション能力はほぼ使えなかった。
どんなにGUIやチャットUIが“直感的”でも、
動かしているのは指先だけ。
「Slack上で論争になったが、会ったら5分で解決した」という経験は、多くの人にあるでしょう。
これ今のコンピューターのUIが、極めて少ない情報のやりとりしかできないことを表しています。
厄介なのは、人間は少ない情報から、全体を想像(捏造)する能力にも長け過ぎているということ。
文通でガチ恋ができたり、SNSで見ず知らずの人を怨み呪えるのは、
得られていない情報をnull(空白)のままにできず、勝手に埋めてしまう癖があるからです。
だから、今のコンピューターのコミュニケーションでは取り扱えていない情報が膨大にあるのに、その不自然さを認識できていないことが、とても多い。
まずは「これ人間にとっては不自然だよね」と、あえて明示的に確認することが大事だと思います。
3. 生成AIが起こした転換

生成AIの登場によって
言語でコンピュータと対話できる
人間に近い形で意思を伝えられる
ようになり、
人間がコンピュータに合わせる時代 → コンピュータが人間に近づく時代
への転換が起き始めました。
人間のコミュニケーションの奥義である「空気を読む」という謎の能力を、AIが急速に獲得しつつあるのだと思います。
4. 人形に話しかける子どもが示す「人間の本能」

人は幼い頃から
人形
キャラクター
などに人格を見出し、自然に話しかけます。
つまり人間は本来
「人間らしい存在」と会話するインターフェースに強く適応している。
「人間らしい存在」に対する認知能力が突出して進化しており、かつ「人間らしい存在」を無視できないようにできている。
ChatGPTと初めて会話した時の驚きを覚えていますでしょうか。
「人間みたいじゃないか!!」
が、兎にも角にも驚きの本質だったことはないでしょうか。(ぼくはそうでした)
生成AIがこれまでのコンピューターに比べて最もユニークな点は「人間みたい」なUXを与えれる点だと思います。
それは、iPod touchのタッチディスプレイを初めて触った時の衝撃とは、根本的に異なります。
それは、人間の心理(人間らしいものを無視できない)を実際のプロダクトにできる、まったく新しい入口です。
5. AI時代のプロダクト設計

AIによって
音声
表情
ジェスチャー
文脈理解
などを含むマルチモーダルなコミュニケーションが可能になります。
その結果
人間がコンピュータに合わせる仕事
→ 人間本来の能力を使える仕事
へ変わっていくでしょう。
人間のコミュ力に比べたら、これまでのコンピューターは「無機物の箱」に過ぎませんでした。
これからは違います。
まとめ

AIプロダクト開発においては、
「AIをどう効率化に使うか」といった機能設計ではなく、
「人間にとってどのような関係の存在にするか」という関係設計が肝になるでしょう。

一行まとめ
生成AIとは、「人間がコンピュータに合わせてきた数十年」を終わらせ、人類が700万年かけて進化させたコミュニケーション能力をコンピュータ相手にも使えるようにする技術である。
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