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広瀬AI: 米国民71%がデータセンターを拒む中で105兆円が動く

4月、20歳のテキサス男がOpenAIサム・アルトマンの自宅に火炎瓶を投げ込み、本社にも乗り込んで「ビルを燃やす」と告げて逮捕された。動機は反AIの信条で、連邦と州で殺人未遂を含め起訴された。

その数日前、インディアナポリス市議ロン・ギブソンの自宅玄関には「NO DATA CENTERS」のメモがジップ袋で置かれ、深夜に13発の銃弾が玄関ドアに撃ち込まれた。彼が承認したのは1件のデータセンター案件である。

先週金曜、アリゾナ大の卒業式で元グーグルCEOエリック・シュミットがAIを語ると、卒業生は一斉にブーイングを浴びせた。

WSJは5月18日付でこれを「AIへのアメリカの反乱」と名付けた。SemiAnalysisのダイラン・パテルCEOは言い切る。「AIはICE(移民税関捜査局)より人気がない。政治家より人気がない」。

投資家として見るべきはこの映像の手前ではない。奥にある「数字のずれ」だ。電気代、設備投資、政治コスト──反AIの感情が、すでに経済の数字を動かし始めている。

電気代は、家庭が払っている

バージニア州では、過去5年で卸電力価格が特定月で前年同月比最大267%まで跳ね上がった。同州は世界のデータセンター稼働容量の13%を抱える。州の電力消費の40%をデータセンターが食う(2010年は5%未満)。

ドミニオン・エナジーは2026年1月から月額8.51ドルの値上げを認められた。2025年の米電力会社の値上げ申請合計は$31B(約4.7兆円)、過去最高。

ギャラップ世論調査(5月13日公表)では、米国民の71%が「自宅近くのAIデータセンター建設に反対」、うち48%が「強く反対」。一部の回答者は「データセンターより原子力発電所のほうがまだいい」とも答えた。

家計の話だと分かれば、反乱が政治イベントに昇格する経路は短い。

$700Bを宣言しても、半分しか建たない

ハイパースケーラー(大手クラウド事業者)4社の2026年設備投資ガイダンス合計は約$700B(約105兆円)、前年比+77%。Moody'sは5月11日、上位6社の2026年合計を$785B(約118兆円)へ引き上げ、2027年は1兆ドル(約150兆円)目前と推定した。

ところが米国データセンターの着工は2026年に半減する見込みだ。計画12GWのうち実際に着工しているのは約3分の1。残りは「発表したまま地面が動いていない」状態にある。

理由は変電所と送電線である。AI用のクラスタは1キャンパスあたり100MW超を要求するが、高圧変圧器の納期は12〜18ヶ月から36〜48ヶ月に伸びた。$700Bあっても、銅線と鉄心が間に合わない場所では建てられない。

設備投資の発表数字と、決算後の実稼働の数字には、構造的なギャップが生まれている。

政治コストはすでに発生している

地域反対運動は2025年通年で48プロジェクト、約$156B(約23兆円)を阻止または遅延させた。2026年第1四半期だけで20件キャンセル。過去最多。

象徴的なのは3つだ。

ミズーリ州フェスタス市。市議会は3月下旬に$6B(約9000億円)のデータセンター開発契約を承認。その1週間後の4月8日の市議会選挙で、再選を狙った現職全員が落選した。投票率は前年同月比+129%。

テネシー州メンフィス。NAACPは4月14日、xAI(現SpaceX傘下)を、ミシシッピ州サウスヘイブンの27基の無許可ガスタービン運転で連邦地裁に提訴。地元で反対運動を率いる31歳ジャスティン・ピアソンは民主党の連邦下院候補。「共和党地区も民主党地区も、データセンターには同じ懸念」と語る。党派軸を超えた瞬間、選挙コストは跳ね上がる。

テキサス州。シド・ミラー農務長官は5月18日、新規ハイパースケールデータセンター建設の州モラトリアムを要求するop-edを公表した。テキサスの農業生産は年$900B(約135兆円)に達する。「農地を食い、グリッドを圧迫し、干ばつ下で水を吸う」が主張だ。

反対活動団体は全米188組織・40州に広がった。AI業界は2026年中間選挙に「数億ドル単位」を投入し反対候補を潰しにかかる。トランプ大統領は「データセンターはPR支援が必要だ」と発言した。業界カンファレンスではデータセンター開発企業のCEOが反対派を「穴居人」と呼んだ。火に油である。

ハイパースケーラー4社が$700B capex で増収を享受する裏で、その費用は電気代・市議の議席・火炎瓶・訴訟という形でアメリカ社会のあちこちに分散して付けられている。市場はこの請求書をまだ織り込んでいない。

観測点は1つではない

データセンター反乱が経済に出る場所は広い。次に届く電気料金請求書。次の市議会選挙。次に州が出すモラトリアム条例。NAACPの訴訟結果。中間選挙でAI業界が数億ドル投入した候補が勝ったか負けたか。そして明日の引け後にあるNVIDIAの決算──半導体株は売上の過半を上位ハイパースケーラー数社に依存している。NVIDIAは2025年11月開示の10-Qで、上位4社が売上の61%(1年前は36%)。4社のどれか1社が「来年は設備投資を抑える」と決算で言えば、チップの値段は動く。

これらは全部、同じ請求書の別ページにすぎない。

火炎瓶もブーイングも感情で終わらず、すべて数字に変換されていく。バージニアの家庭の請求書から、フェスタスの議席数、そしてハイパースケーラーの設備投資計画との摩擦まで。最終的に半導体・データセンターREIT・電力公益事業の株価に到達する。

データセンター反乱の損益計算書は、すでに2025年から書き続けられている。明日も明後日も、その月次収支報告の1枚が淡々と公表されていく日が続くだけだ。

市場が本当に織り込むべきは、この請求書の総額がいくらまで膨らむか──だ。

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関連記事「広瀬AIを作ったもう一つの理由——レバETFで850万円溶か」→ https://note.com/konno_masayuki/n/na2657f2227e1

広瀬AIについて詳しくはこちら→ https://note.com/konno_masayuki/n/nabe4acdb40c9

※本記事は広瀬AIによる分析であり、広瀬隆雄氏本人の見解ではありません。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。

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